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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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ヒトの街へ ③

 この、”郷の大人”たち。

 かつては、エルフ族の王宮に仕えた官吏だったらしく、決まり事に煩かったり物言いが固かったりするのは職業病らしい。

 日本の公務員の中間管理職みたいだな。

 柔軟性が無いのか、といえば、話の持って行きかた次第なところも日本人っぽい。

 なら、仕方ないな。真面目な仕事人には俺も寛容だぞ。


 その日の早朝。夜明け前だから、未明って言ったほうが良いのか?

 俺たちは郷の住人全員に見送られて旅立とうとしている。

 もらった濃灰色のフード付きマントを羽織る俺の隣には、派手さのない"丁子染"っぽい色のフード付きマントを、頭からスッポリと被っているケイナ。

 丁子(ちょうじ)(ぞめ)ってのは、ほんの気持ち赤味がかったベージュ色だな。

 日本古来の染め物の色で、壁紙だったか何かの建材で、建築主の趣味に合わせて和風の色彩を調べまくったので記憶に残っている。


 今生の別れって訳ではないのだが、みんなして、気を付けて、がんばれ、と、励まされた。

 ケイナが涙ぐんでいたので頭をポンポンしたら、恥ずかしかったのか俺が爺さんやレイオスと挨拶を交わしている間に、先に出発されてしまった。

 お前、俺を置いていってどうすんだよ。

 もちろん、俺の危険物センサーは絶好調で、警戒を緩めてはいないのだが、ここで改めて、国家なり、カルト教団なり、既存の既得権力構造に対する“対抗力”のというものを考えてみよう。


 俺は昔、似たようなことをやったことがある。

 日本全国のクソガキどもの間で、暴走族やチーマーなんてバカの集団がキ〇ガイ沙汰で大流行した頃が有ったんだよ。

 時代時代で「〇〇連合」とか「〇〇ギャング」とか、定期的に流行ってたんだけどな。

 俺の世代にも、そんなのが有った。


 世のクソガキどもと同年代で、例に漏れずおバカの仲間入りを果たしていた俺は、持ち前の腕力と頑丈さで、調子に乗ってバカ面を晒していたわけだが、バカの極みに達していた俺は、何をとち狂ったのか全国統一なんてバカを言い出して、バカの頂点を目指し始めた。

 そうすると、俺と同レベルのバカどももハッスルして、バカの集団が、壮絶なバカ面を下げて、バカ同士で相互に衝突し始める結果となった。

 津々浦々、全国単位でな。


 鼻つまみ者のバカどもがバカの頂点を目指して、無軌道にバカをやらかすわけだから、盛大に問題を起こしまくったんだが、困ったことにバカどもは悪知恵の回るバカどもだった。

 「行方不明」になるバカが続出する程度には世間の裏側でバカどもが世間様を巻き込んで暴れまくったんだが、表面上は組織的に見えなくて、単発の事件扱いで「荒れる若者」だとかレッテル貼りの報道をされることは有っても、バカどもが組織的な抗争状態に有ったことを、世間様は最後まで知ることがなかった。


 この辺りの「大人の事情」は、一地方で悪事の限りを尽くしたバカの一人に某政治家の息子が居たせいだったり、大人たちが勝手に「大人の事情」に格上げしたせいだったりだ。

 夜中に騒音を撒き散らして世間様にご迷惑を掛けて回るバカが相手でも、「不幸な事故」が起これば取り締まる側の正義の味方が一方的に悪者だとレッテル貼りされる、頭のおかしな世相だったからな。

 頭のおかしなバカを繰り返している俺たちから見ても、頭のおかしな状況だった。

 事態の深刻さを知っていたのは、水面下で取り締まる側と世間の裏側に棲むバカどもだけだった。


 全国の治安担当の公務員さんたちが本腰を入れて乗り出してくる結果になったわけだが、そこで偶々、俺はカナと出逢ってしまった。

 もう、カナ以外のことはどうでも良くなる勢いだったんだが、「男なら、自分が火を付けた騒ぎは自分で後始末を付けて来なさい」と叱られて、「男を見せろ」なんて言われてしまっては、放り出すわけにも行かなくなったんだよな。


 指名手配まではされていないものの、方々ほうぼうの公務員さんたちにはマークされているし、人目を憚りながらも俺は闇に紛れて全国行脚を始め、片っ端から、各地方、各地域の頂点に上り詰めていた連中と“仲良く”なって回ったのだ。

 やってることが一緒? その通りだな。


 だが、一方的に叩きのめす目的の肉体言語で会話するのと、仲良くなる目的の肉体言語で会話するのでは、雲泥の差だと思う。

 そう思いたい。

 そうなんじゃないかな?

 ただの自己弁護だな。


 結果として、俺を含めて9人にまで絞り込まれていた、各地方、各地域のバカの頂点と、肉体言語で仲良くなり、各集団の上位統合組織として一つのチームを作って、各地方、各地域のバカ騒ぎを、文字通り鎮圧して回ったんだよなあ。

 その頃には俺自身は頂点に立とうだとか、もう、どうでも良かったから、意外と丸く収まったぞ。

 突き抜けたバカどもが手の付けようがないバカどもを抑え込んで、バカ騒ぎを鎮めて回ったために、公務員さんたちは俺たちの存在を知りながらも、“必要悪”の無視できない集団として黙認するようになった。

 その頃の俺たちの担当窓口をしていたのが「おやっさん」だな。



ヒトの街へ③です。


バカの頂点!

次回、不可触民!?

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