ヒトの街へ ②
何をするにも、世知辛いことに、カネは必要だ。
爺さんやレイクスとも色々と話したんだが、その国の冒険者ギルドなり、商業ギルドなりに潜り込み、情報収集と、資金調達と、拠点構築と、人脈形成を、行うのが良いんじゃないかと考えた。
ギルドってのは、国家横断的な互助会的支援組織って認識で良いそうだから、ファンタジーに出てくる業界団体と同様のものだと理解した。
場合によっては、その国で、有用な亜人種なんかを身内に抱き込んで統合し、勢力拡大を図っても良いだろう。
有るのかどうかは分からんが、傭兵ギルドなんかで純然たる戦力を統合し過ぎてしまうと、国家から危険勢力として排除されてしまう恐れがあると思うので、目を付けられて敵を増やす事態は避けたほうが良さそうだよな。
どのみち現時点では、何を言っても絵に描いた餅に過ぎんけど、気を付けよう。
幸いなことに、その、リテルダニアなる国では、農業や家内制手工業レベルの工業製品製造よりも、魔獣素材を調達する狩猟討伐者―――、冒険者稼業が盛んらしいので、俺が森で魔獣を狩りまくって荒稼ぎしたとしても、他の国家へ潜り込むよりも、目立ちにくいだろう、という結論に達した。
そして、マイノリティの被差別対象ながらも、獣人族や、ドワーフ族が起居する国だというのが大きい。
今現在は、どうか知らんけど、百数十年前の情報ではドワーフ族が居ると聞いた、らしい。
もっとも、“被差別”ってのは“迫害”ってほど酷くはない、という、他と較べれば誤差レベルでマシってぐらいだったらしいけど。
その連中は、是非とも巻き込んで抱き込みたいと考えている。
社会的弱者や負い目の有る連中ってのは糾合しやすいからな。
そういう意味でも狙い目なんだよ。
強欲な神教会からの資金提供要求や、自国の貴重な労働力でもある亜人種族の無償引渡し要求などで、神教会や神教会影響下の周辺国家と折り合いが悪い国、というのも、ポイントが高い。
目下、一番ヤバイのが神教会だからな。
罪人でもない亜人種族を奴隷として無償で引き渡せと要求されても、常識的にも、倫理的にも、呑むわけ無いよな、普通。
カルト教団って奴は、万国共通でクレイジーだわ。
その何とか王国って国が神教会の影響下に飲み込まれて居なけりゃ良いんだけどな。
最も絡みたくない勢力の潜在的敵対勢力なら巧く煽れば食い込みやすいだろうし、どういうアプローチで戦力を構築するかは、現地の状況次第で判断だな。
結局、爺さんとレイクスは、通常サイズの犬石と猿石しか受け取らず、“大物”から抜いた魔石は、資金源として俺が持ち出して、猿皮は、今後を考えての郷の備蓄分とせることになった。
それまでの犬皮も、資金源に、ということで受け取りを拒否された。
外部と交易できるわけでも無いのに、魔法道具の素材以上の量を郷が持っても意味がない、と言われてしまうと反論のしようがなかった。
犬石や猿石そのもので食糧事情が改善するわけでもないので、街で買い漁った食糧や資材を俺が届けてやれば良いか、と思ったので、魔法道具開発の進捗確認や情報交換を兼ねて、ケイナの郷帰りのためにも、出来るだけ郷へ足を運ぶことにした。
他の物資に交換する必要のないものなら受け取り拒否できねえだろう。
毛皮がフカフカになって帰ってきた布団団子は、1.5倍ほどの大きさに膨張し、どうやって食糧の肉を持とうかと悩み始めていたら、レイクスが空間拡張術式とやらで収納量を大きく増やしたリュックサックをくれた。
地球で言えば、“キスリング”と呼ばれるタイプの、超、頑丈な大型ザックだな。
開口部が大きく開口部の大きさまでの物なら入る、が、重さは、そんなに変わらないから、詰め込みすぎに気を付けろと。
なんじゃ、そりゃ? と思っていたら、いわゆる、精霊不思議パワーを使った魔法鞄というファンタジー便利アイテムだと、同行者の可愛いお嬢様が懇切丁寧に教えてくれた。
何でも、魔石の魔素を利用して術式を発動する、魔石交換型の魔法道具で、犬っコロの20匹や30匹は、楽々、収容できるスグレモノらしい。
レイクスが手習いで作った「レプリカ品で性能が低い」モノ、とはいえ国宝クラスの魔法道具だが、魔石の燃費が悪すぎて郷では死蔵されていただけだから、バカみたいに魔石を獲ってくる俺なら使いこなせるだろう、って、郷の大人たちからも、褒められているのか貶されているのか、よく分からないOKサインを出された。
ヒトの街へ②です。
マージックバーッグ!?
次回、大人たち!




