盟友 ②
「キミよりも年上じゃないかな。そして、僕は129歳だ」
「マジか!! エルフ、パねえな!!」
テツはいちいち驚いてくれるから、からかい甲斐が有って楽しいね。
「まあ、100歳を越えるまでは、心は子供という認識で合ってるけどね」
「やっぱり、子供なんじゃねえか!!」
“ぱねえ”という言葉の意味は分からないけど、顎が落ちそうな顔で驚く彼が面白くて笑ってしまった。
ひとしきり笑って、表情を改める。
「ただね。僕らの種族は長命ではあるんだけど、普通は20歳ほどで身体のほうは大人と同じにまで成長するものなんだよ」
「ん? ケイナって、あれで成長してるのか?」
怪訝そうにテツが首を傾げる。
「まさか。ケイナは10歳にもならないうちに、成長を止めてしまっている」
「成長を、止める?」
うん。と、僕は頷いた。
彼の世界では、有り得ない話なのかな?
もの凄く怪訝そうな表情で僕を見る。
「ケイナは精霊との交感度が高いから、自分を否定するケイナの無意識に精霊が応えちゃったんじゃないかな」
「自分を・・・? どういうことだ?」
そりゃあ分からないよね。
僕らにも憶測しか出来ていないんだから。
ただ、原因の仮説を立てられないわけじゃない。
「症例の記録がいくつか残ってるんだよ。事件や事故が原因で、自分の成長を止めてしまった子供のね」
「・・・ケイナは病気ってことか?」
テツが口にした「病気」という言葉に、チクリと胸の奥が痛む。
でも、認めたくは無くても認めるべきだろう。
「そうなるんだろうね」
「何が有ったか聞いて良いか?」
なぜ彼に、ここまで立ち入った話をしているのか、僕にも分からない。
裏表が無さそうな彼の人柄に惹かれたのか、郷に対する胸の内がそうさせたのか。
僕らの両親の死と、心ない郷の連中の非難で、ケイナが自分を責めてしまっていることを僕は話した。
じっと黙って聞いている彼のこめかみに、血管が浮いてきている。
お祖父さまから聞いた通り、彼は子供を守ろうとする意識が強いみたいだ。
バカみたいな強さを持ってるテツに郷で暴れられるのは困るなあ。
苦虫を噛み潰したような顔で、テツは深い溜息を落とす。
「他所者が軽々しく首を突っ込んで良いとは思わねえが、何とも、なあ・・・」
「もちろん、どうにか助けてやりたい、とは、僕もお祖父さまも、常々考えてるんだけどね」
へえ。感情豊かな男だけど、僕らの事情を理解した上で抑えるところは抑える冷静さも持ってるんだね。
いきなりショージョーを討伐しに行くのだから無謀な男なのかと思ったけど、そうじゃないのか。
だとすると、テツは勝算が有ってショージョーの群れに挑んだんだね。
事実、テツはショージョーの群れを討伐してみせて、郷の大人たちがケイナに向ける感情を塗り替えてしまった。
僕らには踏み込むことができない方法で、袋小路に陥った状況を力尽くで打ち破ってしまった。
事実というものは、星の数ほど積み上げた机上の空論よりも説得力を持つものだ。
かなり特殊な方法論を持っていそうだけど、この突破力には驚くしか無い。
いや。驚くべきは実行力の方だろうか。
面白いね。
テツは僕らが持っていない何かを、いくつも持っているわけだ。
苦いものを飲み込んだ表情でガシガシと頭を掻いた。
盟友②です。
病気!?
次回、本音の話!?




