表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/149

小さな魔法使い ⑩

「バンダースナッチの血や、カルキノスの血です。口をこじ開けられて、流し込まれていました」

「えええ・・・」

 兄様が複雑そうな顔になりました。

 分かります。

 流し込まれる血を見ているほうも、複雑な気分でしたから。


「それは・・・。彼、吸血種(モルモー)では無さそうだけど、ずいぶんと血に拘るんだね」

「正確には、ご自分で倒した魔獣の血と心臓ですね。血は、一番、効率が良いそうです。肉も食べると効果は大きいけど、心臓は単に食感がコリコリしていて美味しいと」

 意味をはかり兼ねたのか、兄様が首を傾げました。


「効率って?」

「強くなれるそうです。それで、わたしも、ショージョーのボスの血を飲むことになったのですが」

「ふぅん・・・。血と心臓で、強くなれるのかい?」

 兄様は興味を持ったようです。

 やる気、ですか?


 微細な魔素の動きを見る眼を持っているので、確かに兄様は、魔術道具を作ったり魔方陣を開発するのが得意ですが、魔法術式の制御が苦手なわけではありません。

 兄様自身は勝つための手段に拘らないだけで、郷の者の誰よりも強さを求めていることを、わたしは知っていますから。

 それよりも、今は、わたしが直面している問題を解決しなければ。


「実は少し、わたし自身が困ったことになっていまして」

「どういうこと?」

 どうしたものかと考えていたのですが、やはり、相談できる相手は兄様かお祖父さましか居ません。


「魔素の加減ができなくなったというか、術式の制御ができないのです」

「ケイナの得意分野じゃないか」

 兄様が目を丸くします。

 思い出しただけで、自己嫌悪です。


「テツさんのお手伝いをしようと風術式の”槍”を使ったのですが、狙いが定まらなくなって、大爆発を起こしました」

「風の術式が爆発? そんなことって・・・」

 ですよね。

 さすが兄様です。

 おかしな部分に、すぐに気付いてくれます。


「わたしも驚きました」

 少し考え込んだ兄さんは、表情を改めました。

 何か、原因に思い当たったようです。


「ケイナ。ちょっと、()てみていいかな」

「お願いできますか」

 わたしを見る兄様の目が、魔素に満ちて色を変えました。

 眼が、魔素の動きを追って、忙しなくなります。


「―――これは・・・」

 兄様が絶句しています。

 特別な目を持っている兄様でも驚く事態が、わたしの身に起こっているのでしょうか。


「どうでしょうか」

「すごいね。もの凄く体内の魔素が増えてる。桁違いに、と言っていいぐらいだ」

 兄様の目が興味にキラキラと光って見えます。

 わたしは術式を発動したときの様子を思い返してみました。


「術式を発動するときに、精霊たちが騒いでいるように感じたのは、それが原因だったのですね」

「大量に魔素をもらえて、精霊たちも頑張っちゃったんだろうねえ」

 精霊は純粋だから、仕方ないよね、と。

 溜息が出ます。


「だからって、風術式が爆発するなんて・・・」

「加減を覚えるしかないね。術者としては贅沢な悩みだとは思うけど」

「他人事ではありませんよ。兄様も、魔素が増えたら、こうなります」

 本当に、大問題なんですよ?



小さな魔法使い⑩です。


がんばっちゃった!

次回、決意!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ