大名行列と、おじいちゃんとおばあちゃん ⑧
またふつうに学校へ通うようになってから、何日かたった日。
学校から帰ってきて宿題をしていたら、えりかお姉ちゃんが、おうちへわたしを呼びに来ました。
会社のおうせつ室へおいで、と。
お姉ちゃんについて行ったら、ちょっと高そうなお部屋に、社長さんと、知らないおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんも、おばあさんも、すっと、せすじが伸びていて、お上品な感じのひとたちです。
「あらあらあら! 可菜ちゃんの小さい頃に、そっくり!」
ねえ、あなた。と、わたしを見て、おばあさんがうれしそうに言いました。
おじいさんは、わたしの顔をじっと見ているだけで、何も言いません。
すこし、こわいです。
「ちゃんと、ご挨拶しよっか」
えりかお姉ちゃんに、背中を押されて、わたしは、お部屋に入りました。
「岩田陽菜です・・・」
ぺこり、と、おじぎしました。
ちゃんと言えたかな?
きんちょうして、ヘンな声だった気がします。
「偉いわね! ちゃんと出来ていましたよ!」
そふぁあ? から立ったおばあさんが、わたしの目の前にしゃがんで、やさしく頭をなでてくれます。
「私が貴女のおばあちゃんで、この人が貴女のおじいちゃんですよ」
おばあちゃん? が、おじいさんをしょうかいしてくれましたが、おじいさんは何も言ってくれません。
しょうがない人ね。と、おばあちゃんが困ったように笑うと、おじいさんが、そふぁあから、すっと立ち上がりました。
「行くぞ」
ずんずんと、わたしに近づいてきて、わたしのうでをつかみました。
「痛っ・・・!」
ちょっと、いたかったです。
「何、してるんですか!!」
え? え? と、よく分からなくておどろいていたら、えりかお姉ちゃんが大きな声でおこって、おじいさんの手をふり払いました。
「ヒナちゃんの気持ちを聞くって話じゃあ、なかったんですか!?」
「この子は私の孫だ。他人が口出ししないで戴きたい」
「あなた。先ずは、陽菜ちゃんの話を聞くという、お約束でしたわよね?」
可菜ちゃんのときと、同じ間違いを繰り返すんですか? って。
カナちゃん、って、ママのことだよね?
「・・・む」
えりかお姉ちゃんのけんまくに、おじいさんは冷たく言いましたが、おばあちゃんがわたしをだきしめて、せめるように言うと、おじいさんが口ごもりました。
「陽菜ちゃん? 私たちはね。貴女のことが心配で来たの」
おばあちゃんたちの、おうちへ来ない? って。
ママは、おじいちゃんおばあちゃんたちとケンカをして、出て行っちゃったけど、ずぅっと心配していたんだ、って。
ママが死んじゃって、おじいちゃんは、いじを張って来なかったけど、おばあちゃんは、ママのお墓参りにも来てくれていたんだって。
いろいろとはんたいされて、ママのおそう式に来られなかったことを、今でもこうかいしてる、って。
「どうかしら?」
ママのおうちは、すごく古いおうちで、ママのためって思ってうるさく言ったけど、ケンカしたままママが出て行っちゃって、帰ってこなくなっちゃったんだって。
おばあちゃんがわたしのことを、ほんとうにしんぱいしてくれているのは、何となく分かりました。
おばあちゃんの目はママに似ていて、すごく、やさしい目でした。
「・・・わたし、ここにいたいです」
悪いことをしている気持ちになりながら、まっすぐ、おばあちゃんを見て言いました。
「パパが帰ってきて、わたしが、いなかったら、パパ、ひとりになっちゃう」
そう・・・。と、だけ、おばあちゃんは笑って、すっと立っておじいちゃんに向き合いました。
「私、しばらく、こっちに居ますね」
「お、おい・・・」
にっこりと笑ったおばあちゃんに、おじいちゃんがおどろいた顔をしました。
「帰りたかったら、貴方だけで帰ってくださいな」
ぴしゃり、と。
えりかお姉ちゃんみたいです。
笑顔に、はくりょくがあります。
社宅には、まだ空き部屋があるので、おじいちゃんも少し、こっちにいることになりました。
お仕事は? って、しんぱいになったけど、ママのおとうとさん―――、わたしのおじさんがいるから、少しぐらいだいじょうぶ、なんだってー。
大名行列⑧です。
ナンダッテー!?
本章はこのお話で最終話となります!
次話より、新章、第5章が始まります!
次回、犬祭り!?




