↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
444/463

新たな盟約 ②

「レティア姫・・・?」

「「―――!?」」

 爺さんの口から意図せず漏れたらしい言葉は、この町と同じ名前―――、いや。この町を拓いた人物の名前だった。


 事情を聞いている嬢ちゃんたちも、かなり驚いた様子で爺さんに目を向けている。

 これはアレか?

 フレイアさんはレティアって人の生まれ変わりと言われてるんだったな。


 ウォーレス家に関連する主要人物の人物評は、クァタルたちが情報を集めてきたから俺も報告は受けている。

 当然、フレイアさんの人物評もその情報の中に有った。

 写真や肖像画が残っているわけではなさそうだが、爺さんの反応を見る限り本当に似ていたらしい。


「んん?」

 驚かれている当人は首を傾げている。

 いやいやいや。事情はアンタも知ってるんだから気付けよ。

 この爺さんはアンタのご先祖様をよく知っている友人だろ。

 爺さんとフレイアさんを見比べたケイナが、クイクイと爺さんの袖を引く。


「お祖父さま、お祖父さま。こちらへ」

「おお。済まぬな」

 我に返った爺さんがケイナに手を引かれてハインズさんたちの前へと歩み寄る。

 爺さんたちに付いて行ったレイクスが、一族の長であるハインズさんに向けて爺さんを手のひらで示した。


「閣下。紹介いたします。こちらが僕らの祖父です」

「いや。失礼。そちらのご婦人が、あまりにも知人に似て居られたもので。私はケルレイオス・アダレーと申す者。我が孫たちがお世話になっております」

 非礼を詫びた爺さんにハインズさんが首を振る。

 豪胆なハインズさんでも国王レベルとを前にすると緊張するっぽいな。

 武人らしくピシッと背筋を伸ばしたハインズさんが礼の姿勢を取る。


「初めてご尊顔を拝します。我らは始祖レティア・ウォーレスの血に連なる者。私は血族の長を務めるハインズ・ウォーレスにございます」

「その覇気。確かにレティア殿の血を感じずには居られません」

 後進に道を譲ったとはいえ、一国を代表する武人だった男は並々ならない生命力というか、精気を感じさせるものだ。


「おお。これは有り難きお言葉。幾千幾万の言葉を重ねられるよりも嬉しきものです」

「レティア殿は良き子孫を持たれましたな」

 ハインズさんと爺さんは完爾と笑い合う。

 代表者の挨拶が終わったと見て取ったハロルドさんが最敬礼を示して頭を下げる。


「私はハインズが一子、ハロルド。大陸史に残る“賢王”ケルレイオス陛下のご来訪を心より歓迎いたします」

「“愚王”にございますよ。それに、今の私は“陛下”などと呼ばれる者ではございません」

 柔らかく窘めた爺さんに、表情を緩めたハロルドさんがフッと笑い返す。


「これは失礼を。では、“閣下”と呼ばせていただきます。“族長閣下”?」

「参りましたな。降参するしか無いようです」

 ハロルドさんの意図を察したらしい爺さんが苦笑を返す。


 ほう? 今、ハロルドさんは、爺さんを持ち上げて試したか?

 何を試した?

 ハロルドさんは、わざわざ500年も昔に滅んだ国の肩書きで爺さんに呼びかけていたな。

 もしかすると、アレか?

 爺さんが国王の座に固執するようなら危険だと考えたのか?


 日本の歴史で例えれば、瓦解して実体も実権も失っていた室町幕府の足利義輝が過去の栄光に縋ったのと同じような懸念を、ハロルドさんは払拭したかったのかもな。

 確か、復権を狙った将軍義輝がゴソゴソと裏工作に勤しんだ結果、起こらずに済んだはずの戦争がいくつも起こったんだよな。


 この爺さんにそんな野心はねえだろうし、杞憂だと思うがな。

 慎重な辺りが実にハロルドさんらしい。

 考えようによっちゃあ、結構な失礼だろうが、気にした様子もない爺さんがハロルドさんに頭を下げる。


「ルナリア嬢のご尊父ですな。ご息女には我が孫ケイナが仲良くしていただいておるそうで、心より感謝いたします」

「何を仰られますか。ピュリケイナ嬢には娘たちも多くを学ばせていただいております」

 爺さんとハロルドさんも和やかに笑い合う。


 “子は(かすがい)”って言葉は夫婦だけに当て嵌まるものじゃねえ。

 子を持つ親同士の縁もまた、子供が繋ぐもんだ。

 爺さんは親じゃなく祖父だけどな。

 その爺さんの目がフレイアさんに向く。


「そう言っていただけると有り難い。―――して。こちらのご婦人は?」

「血族が1人、傍系のフレイアです」

 ハロルドさんからの紹介に、武人らしく背筋を伸ばしたフレイアさんもまた、爺さんに最敬礼を示す。


「拝謁の栄誉に浴します。私はフレイア・ピーシス。“フィオレの母”と申し上げた方が早いでしょうか」

「やはり貴女がフレイア殿でしたか」

 納得顔で頷く爺さんにフレイアさんが首を傾げる。


「“やはり”と申されますと?」

「我が友、レティア姫の生まれ変わりと評される人物がおられると耳にしましてな」

「ほう?」

 フレイアさんの目が俺とレイクスに向いた。

 そりゃまあ、そうだよな。

 爺さんの情報源は、どっちだ? と。


 別に何の思惑が有ったわけじゃねえんだが、噂を広められて喜べるものばかりじゃねえし、伝えて良いか? とフレイアさんに確認を取ったわけじゃねえしな。

 それが良い噂だったとしても、本人がどう思うかは別次元の問題だ。

 サッサと降参しておくか。



新たな盟約②です。


大人の挨拶!

次回、最終決戦!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
信長公がフレイア義母(怖いモン!)秀吉公がテツさん(腹芸が!)家康公がルナリア(皆を腹黒く翻弄して 裏でフィオレがムニャムニャ!) テツさんが向こうへ帰ったら レイクスさんが秀吉公で!
2026/08/25 18:20 あかマント
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。