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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ㊵

「うーむ・・・?」

 これは何だろうな?

 必勝を期した根回しをしていた戦争に主力が間に合わなかった?

 滅ぼされた緩衝国ってのは、リテルダニア王国へ向かう通り道で邪魔だったから滅ぼされたんじゃねえのか?


 いやいや。そっちの国も内戦を起こされて結束が揺らいだところへ攻め込まれたように聞いた。

 神教会の主戦力らしい勇王国ってのも搦め手を使って攻め落としたわけだ。

 なぜ搦め手を使って時間を掛けるような真似をした?


 ギルドで仕事を請けるときに地図を見せて貰ったんだが、内戦の舞台になった西部国境地域と勇王国が攻め落とした国の間には、まだ1つ2つの緩衝国が残っていて緩衝材の機能は失っちゃいねえ。

 残った緩衝国も始末するか軍隊の通過を認めさせねえと、勇王国はリテルダニア王国に攻め込めねえ。

 軍隊を通らせられる道がねえんだ。


 だとすれば、勇王国にとっては“必勝のタイミングじゃなかった”ということだ。

 リテルダニア王国内で起こった内戦への介入も、戦略物資―――、塩の流通阻害や支援なんかの中途半端なものだったと聞いた。

 何だ? このズレは。


 必勝を期してネタを仕込んでいる最中に“仕掛けの1つ”が暴発して、ズレを生じさせたんじゃね?

 1つの暴発に、もう1つの仕掛けも暴発したと考えれば、勇王国の動きや中途半端な介入の説明は付かねえか?

 俺の目が銀髪嬢ちゃんへ吸い寄せられる。


「イレギュラーか・・・」

 滅ぼされた国の内戦が始まったのは、この嬢ちゃんが暗殺事件に巻き込まれて、その暗殺事件が発端となって神教会の浸透工作が表面化したって話だったはずだ。


 リテルダニア王国でも、内戦の発端は、この嬢ちゃんが違法な奴隷としてウォーレス領まで運ばれてきたことで、敵対勢力―――、神教会勢力の浸透工作が露見した事件だったか。

 この銀髪嬢ちゃんと金髪嬢ちゃんが関連する事件を発端に強く結びついて、鬼札(ジョーカー)とも言えるウォーレス家を表に引っ張り出しちまった?


 全部、この嬢ちゃんが絡んでるな。

 真のジョーカーはこの嬢ちゃんじゃね?

 何がどうなって裏目に出たのかは知らねえが、神教会は、なぜ最初の暗殺事件で嬢ちゃんを殺さずに、奴隷として売り飛ばすような真似をしたのか。


 神教会にとっての“ボタンの掛け違い”は、そこだよな。

 この嬢ちゃんが最初に死んでいれば、リテルダニア王国に対する仕込み作業中に“仕掛け”が暴発することもなかった。


 ウォーレス家が国内の反動勢力を一掃しに出てくることもなかったし、2正面作戦を弾き返されることもなかった。

 神教会も、この嬢ちゃん1人の存在で企みをひっくり返されて、仕掛けていた陰謀が破綻するとは考えてもいなかっただろう。


「うーわ・・・」

 ヤベえな。この嬢ちゃん。

 結果として、この嬢ちゃんが、神教会勢力の思惑が裏目裏目になる原因になって、リテルダニア王国が強くなる結果を引き出しちまってやがる。


 たった1人のイレギュラーな存在が、大国同士の情勢を逆転させちまってやがるのか。

 さらに言えば、この嬢ちゃん自身にそこまでの自覚がないのは明らかだ。

 いや。この嬢ちゃんはこの嬢ちゃんで、何とか侵略に打ち勝とうと全方位の努力を重ねちゃいるんだがな。


 この予想、嬢ちゃんに伝えた方が良いのか?

 いやいやいや。今現在が上手く回っていて、前向きに頑張れているなら、余計なプレッシャーは掛けねえ方が良いか?

 安全ピンが抜けた爆弾に手足が生えて歩き回ってるのが、この嬢ちゃんみてえなもんだろ。


 だとしても、フレイアさんたちやドネルクの耳には入れておいた方が良いな。

 この嬢ちゃんの扱い1つで風向きが変わりかねねえ。

 コントロール下で爆発させるなり、安全確実に処理できる状況が出来上がるまで、そっとしておくのが不発弾処理ってもんだ。

 レイクスたちは神教会がリテルダニア王国産の魔石に拘る理由の推察を続けている。


「対魔族大戦で通商路を封鎖するしかなかったからじゃないかな。黒龍山脈を緩衝地帯にして戦争を終えたと聞いたから、今でも状況が変わっていないのだとすれば、迷宮も封鎖されたままだろうし」

 ほーん? 緩衝地帯?


 黒トカゲ山が有るあの山脈は、人間側の土地でも魔族側の土地でもなくなってる?

 エルフ族の国が活用していたダンジョンは、手出しできねえ場所にあるってことか。

 だったら、侵略を試みるだけの理由にはなりそうだな。


「先の内戦を機に王国は魔石の輸出を止めている。魔石の調達に困れば奴らは旧通商路の迷宮に手を出し兼ねんな」

 レイクスの推察を聞いたフレイアさんが盛大に渋面を作る。


 緩衝地帯への手出しは拙いだろう。

 魔族側から見ると“侵略の意思有り”と判断してもおかしくねえ。

 レイクスの判断も俺たちと同じだ。


「そうなると、魔族領域との軋轢になるだろうね」

「面倒な連中だ。とっとと滅べば良いものを」

「そうだね」

 忌々しそうに吐き捨てるフレイアさんの言い草に、苦笑しつつもレイクスが同意する。


 こっちはこっちでヤベえな。

 “ヒト族至上主義”なんてもんを掲げているんだから、魔族なんて完全に敵だろう。

 “大戦”と呼ぶだけ有って、デケえ戦争だったらしいしな。

 周り全部を巻き込んで、キ〇ガイ教団が自殺同然の戦争を引き起こしかねねえぞ。



世界の違い㊵です。


不発弾幼女!?

次回、受け入れ準備!?

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