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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ㉕

「何の話だ?」

「・・・昨日の朝、エライワーの種子が芽を出すように”頑張れー”って声を掛けて、精霊にお手伝いして貰ったんだよ」

 自分の頭に手を置いたままの母親に問われて嬢ちゃんが答える。


 何かケイナがそんなことを言ってたな。

 たまたま嬢ちゃんたちが何かをしているのを見掛けて助言したとか、そんな話だったはずだ。

 娘の答えに前伯爵が目を丸くする。


「ほう? 精霊術式か」

「フィオレには変わった精霊が付いていると報告が有ったが、それのことだな?」

 ハロルドさんも興味を―――、いや。警戒心を持ったようで確認を入れる。

 ハロルドさんの警戒を解くためか、ケイナが助け船を出す。


「木の精霊―――、いいえ。植物の、でしょうか。とても珍しい子ですよ」

「フィオレは植物の育成を早められると?」

 ケイナが口にした情報にハロルドさんが首を傾げる。


 何か話が飛躍したな。

 育成を早める?

 何でそんな発想に至ったのかと考えてみれば、火の精霊は火の魔法を使うのを助け、水の精霊は水の魔法を使うのを助けるんだったな。


 だったら、植物の精霊は植物の魔法を使うのを助けるんだろう。

 植物の魔法ってどんなのだ? と想像すれば、植物がニョキニョキ伸びるぐらいしか俺もイメージできなかった。

 ハロルドさんの問いにケイナがニコリと笑う。


「多少はそういう部分も有るかも知れませんね」

「ふむ? 多少は?」

 ケイナの答えに、傾いていたハロルドさんの首がさらに傾く。

 ケイナの答えは俺がいつも聞いていたものと同じだ。


「精霊は願いに応えてお手伝いをしてくれるだけですから」

「願いに・・・、ということは、何が起こるかは予測できない部分が有り得ると理解して良いのか?」

 自分なりの解釈をぶつけ直したハロルドさんに、ケイナが頷いて返す。


「そうですね。術者の思いを精霊がどう感じ取ったのかは、術式が効果を現してみないと分からない部分が有ります」

 ほーん? そういえば、旅の道中でも精霊はケイナに水の在処を教えたりしていたが、ケイナとの間に明確な会話が成立しているわけじゃなく、「気持ちを伝えてくるだけ」だと言っていたな。


 逆に、精霊はケイナの気持ちを察して、体内の魔素を対価にケイナが使おうとしている魔法を手伝うんだと。

 ケイナがよく口にする言葉通りだな。

 精霊はケイナの気持ちに応えているだけだ。

 今度は前伯爵が自分の解釈をケイナにぶつける。


「術者の想像力に依存するのだな? だとすれば、他系統の術式と根っこは同じということになるが」

「そうですね。精霊には憑いている術者の思いや想像しているものが分かるようで、応えてくれますから。想像力に依存するという受け止め方は間違っていないかと」

 ほほう? 精霊が手伝おうが手伝わなかろうが魔法そのものに違いはねえってことか? 


「ふむ。面白いな」

 魔法の研究者だと聞く前伯爵も、ついでに、後ろで黙って聞いていたシェリアさんも何やら納得して頷いている。

 シェリアさんも魔法の研究者なんだったか。

 セリーナさんは別の部分が気になったようで、嬢ちゃんへ視線を向けた。


「エライワーというのは植物油が採れるという植物だったかしら」

「・・・はい。芽が―――、正確には“根”だと思うのですが、発芽しにくいものだと聞いていたので驚きました」

 何度聞いても変な名前だな。


 日本語の方言に似た名前だからって「変」というのも変なんだが、どうしても耳に残っちまう。

 根? 芽で良いんじゃね? とも思うが、どうでも良いな。

 嬢ちゃんがそう思っているなら、それで良いんだろう。


「普通ではないことなのね?」

「・・・えっ? あ。はい。そうだと思います」

 何やら深刻な空気を纏って訊くセリーナさんに、質問の意図がよく分かっていなさそうに嬢ちゃんが答えた。

 嬢ちゃんの答えを聞いたセリーナさんとシェリアさんが顔を見合わせる。


「人目に付かないようにした方が良いかも知れませんね」

「私もそう思うわ」

 シェリアさんの助言にセリーナさんが真面目な顔で頷く。


 何の話だ?

 今、話していたのは、何かの種が芽を出したって話だろ?

 「驚くほど芽を出すのが早かった」と言っているだけで、特段、おかしなことは言っていなかったように思うんだが。


「・・・ではどうしましょう? 芽が出た場合、苗床に植え付けて、少し育ってから農地へ植樹するつもりでいたのですが」

 何かを警戒しているらしい祖母たちの反応に、嬢ちゃんが困惑を顕わにした。

 特におかしなことを言ってるようには思わねえな。

 俺の知り合いの農家も、そんな手順で苗を育てていたはずだ。


「ピーシス領とロス領で試験栽培させるつもりだったのですよね?」

「そのつもりだったけれど、拙いかも知れないわね」

 嬢ちゃんに答えないままセリーナさんたちが作戦会議を始めて、嬢ちゃんが首を傾げる。


「・・・拙い、ですか」

「思ったよりも人の流入が多いのよ」

 今度はセリーナさんが嬢ちゃんの疑問に答えた。

 人? ピーシス領と、もう1つの領地への人口動態を言ってるのか。


「・・・流入ということは、エクラーダ系の領民のことでしょうか?」

「西部国境地域からの移住民もですよ。まだ居住希望の段階ですけれどね」

 嬢ちゃんの確認にシェリアさんが頷く。


 あ~。嬢ちゃんの母国からの戦争難民だけじゃなく、内戦で焼け出された戦争難民も流入してるんだったな。

 だが、人の流入と種が芽を出したことの何がどう繋がるんだ?

 セリーナさんも嬢ちゃんへ目を向けて頷く。



世界の違い㉕です。


えらいわー

次回、農業談義!?

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トトロ的成長促進ニョキッポンポン(=^..^=) よそ様の作物で価値の高い油が採れる「だってオリーブだもん(^_^)vフィオレちゃん教えて上げて」エライワーは利益率が高いから秘密に… 精霊魔法の真髄は…
2026/08/01 14:36 あかマント
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