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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ㉔

「・・・兵の士気に関わる?」

「そうだ。強き将の背中を見れば兵は奮い立つものだ」

 銀髪嬢ちゃんの疑問には祖父のマルキオさんが答える。


 そりゃそうだわな。

 勝てると思うか負けると思うかは、殺し合いの場に立つ連中の心理を考えればメチャクチャ重要だ。

 すると、この場は“武将の心構えを教える重要な通過儀礼”って理解は間違っちゃいなかったわけだな。


 かなり早えんじゃないか、とは思うが、嬢ちゃんたちにとっては戦場に立つことを認められた人生の節目になるってことだ。

 まだ6歳の子供を戦場に立たせるなんてイカレてると感じちまうが、日本の戦国時代だと元服―――、成人前の初陣は珍しくなかったとも聞いた覚えが有るし、現代日本の価値基準(モノサシ)で見るもんじゃねえな。


「その分、敵兵を呼び寄せるものでも有るんだがな。兵の目に留まる必要は有るんだが、加減が難しい」

「「へぇ~」」

 溜息雑じりに零すハロルドさんのボヤキに嬢ちゃんたちが感心の声を上げる。


 納得だわ。

 敵からすりゃあ将来の敵将で、強くなる前に始末しておきたい高価値目標だもんな。

 当然、狙われるし、目立たせすぎても拙い、サジ加減の難しいもんだろ。

 ところがハインズさんは鼻息で懸念を吹き飛ばす。


「有象無象など薙ぎ倒してこその将だぞ」

「そうだな」

 ハインズさんの指摘にハロルドさんが頷く。

 スゲえ自信だが、心構えとしちゃあ、その通りだな。


 負ける気でケンカするバカもいねえ。

 本能に任せてケンカするバカガキはサル山のサルみてえなもんだが、足りねえ知恵でも負けられねえから本能的に虚勢は張るもんだ。

 そして、テメエの足りねえ実力を知っちまうと、体を鍛え始めたり武術を習い始めたりする。


 そいつは必要な通過儀礼で、そうやってサルが人間に進化していくんだよ。

 別にサルと変わらねえバカガキどもを馬鹿にしてるんじゃなく、俺自身がサル山のボスザルになっちまったクチだからこそ、群れてバカを繰り返していた頃が俺にとって必要なものだったと感じるんだよ。

 人間って動物は、そうやって進化してきたんだしな。


 ただ、進化する前に死んじまったら意味がねえ。

 戦争を生業の1つとして抱えている貴族だからこそ、年端もいかねえ嬢ちゃんたちが魔獣狩りに出掛けることを容認するんだろうし、こうやって教育を施していくんだろう。

 モノサシの基準がどこに有るかの違いで、見習うべき部分は有るな。


「次の戦において、お前たちはウォーレス家とピーシス家の当代として前線に立たねばならぬ。ルナリアは総大将、フィオレは副将としてだ。良いな?」

「「はい!」」

 厳しい表情のハインズさんが出した出陣命令に嬢ちゃんたちが声を揃えて答える。

 孫娘を可愛がっているハインズさんも辛えんだろうが、おくびにも出さねえ。


「我らは南部を預かる王国の要。常に死は隣りに有る。それを忘れるでないぞ」

「「はい!」」

 ハインズさんの後を引き継いだマルキオさんの薫陶にも嬢ちゃんたちは迷いなく答える。

 渋面を作ったハロルドさんは本音を口にする。


「必ず生きて帰れ、と言いたいところだが、こればかりはな」

「むむっ」

 子供たちを送り出す先はマジモンの戦争で、戦争って奴は人が死ぬもんだ。

 フィクションじゃない以上、避けようのない現実って奴だな。


 勝ち目のねえ絶望的な戦いなら逃げる選択も有るんじゃねえかと思うんだが、そうならねえように、常に戦争に備えているのがこのウォーレス領だ。

 課せられた責任の上でも逃げる選択肢なんてないんだろう。

 逃げる気がねえのは嬢ちゃんも同じみてえだな。


「・・・生きて帰りますよ? どんな敵でも、ルナリアの周囲1キロメテル圏内には1兵たりとも近寄らせません」

「向こうからすると攻城戦に近いからな。敵の集結地点は1キロメテル圏内だと思うぞ?」

「・・・入って来た瞬間、焼きます」

 茶々を入れた前伯爵に嬢ちゃんが即答する。


 その「焼く」ってのは、二つ名になった強力な魔法でか?

 俺はまだ実物を見たことはねえが、スゲえ魔法だと王都でも噂になっていた。

 躊躇なく先手必勝を選択するところが嬢ちゃんらしいな。


「戦の作法から外れすぎるのはダメだと言っただろう?」

「・・・むっ。じゃあ900メテル圏内で」

 ハロルドさんからの指摘を受けて、嬢ちゃんが難しい顔になる。


「敵軍の最前列だと900メテル圏内かもな」

「・・・じゃ、じゃあ800メテル圏内で」

 前伯爵からの再びの茶々に、悔しそうな嬢ちゃんが少しだけ妥協を見せる。


「値切り交渉みてえだな」

「・・・むー」

 つい、ツッコんじまったら、むくれられた。

 表情を緩めたハロルドさんがフォローに入ってくる。


「ウォーレスの兵は強いからな。お前たちだけで何とかしようと無理をする必要はないぞ」

「・・・はーい」

 自分の中で妥協の折り合いを付けたらしい嬢ちゃんは、クルッと顔の向きを変えて自分のメイドに声を掛ける。


「・・・ところでレヴィアさん。さっきのって何だったの?」

「エライワーですよ。もう発芽し始めたらしくて、フィオレ様に報告するべきではないかと相談していたようです」

「・・・もう発芽したの!? 昨日の今日だよ!?」

 んん? “えらいわー”?


 何だそりゃ?

 関西弁みてえな単語だが、聞き間違えじゃねえよな?

 芽が出たと嬢ちゃんが驚いてるのだから、何かの植物の名前っぽいが。


「精霊が応えてくれたんですね」

「・・・ハッ! アレか!」

 メイドの指摘に嬢ちゃんが愕然としてやがる。



世界の違い㉔です。


評価基準の違い!

次回、精霊!?


※ 今日もちょっと遅刻です!

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― 新着の感想 ―
ルナリアに近づく敵は焼き尽くすって息巻くフィオレを一人で突っ走り過ぎと嗜めるフレイア母 テツさん関心しつつフィオレの魔法に興味が…… エライワーってなんやねん?テツさん多分この後精霊魔法やらなんやらと…
2026/07/31 13:45 あかマント
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