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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ㉒

 この女・・・。何を考えてやがるんだ?

 表情から遊んでいるのは間違いないと思うんだが、勇者の技なんて危ねえもんを人に向けようとするんじゃねえよ。

 いや。対人向けの技でも有るんだろうが、俺に向けようとすんじゃねえ。

 挑発的、つーか、この挑戦的な目をちょくちょく向けてきやがるんだよな。


「フレイアさんよ。アンタ、何かと理由を付けて俺を斬ろうとしてねえか?」

「気のせいだ。イエーティの爪でも引き裂かれないほど硬い防御に興味が無いわけではないがな」

「やっぱり試そうとしてんじゃねえか」

 人を何だと思ってやがるんだ?

 突っ込みを入れても前伯爵は悪びれることなく、さらに踏み込んでくる。


「試させてくれるか?」

「冗談じゃねえ―――、いや。魔法剣か・・・」

 コツコツと鍛錬すれば再現できるのが剣術の技もんだろ。

 てことは、他にも使う奴がいるってことじゃね?


 有名な勇者が編み出した有名な技なら真似ようとする奴も多いだろ。

 面倒クセエ! とは思うが、たまたま遭遇した危ねえ奴にいきなり使われる可能性が有るなら、今のうちに危険度を測っておくのも“有り”か?

 実験の有為性について検討していると、嬢ちゃんに呆れた目を向けられた。


「・・・止めた方が良いと思うよ?」

「そうです。もしものことが有ったらどうするんですか」

「分かった分かった。悪かった」

 コイツは何を言ってるんだ? と言わんばかりのケイナの目が痛え。


 ケイナにまで言われちゃあ興味本位で試してみるわけにも行かねえな。

 ここは嬢ちゃんの警告を受け入れておいた方が良さそうだ。

 止めておこうと決意したばかりなのに、今度はハインズさんまで身を乗り出してくる。


「ならば、普通の手合わせならどうだ? 儂も勇者本人と剣を交えた経験は無くてな」

「あー・・・。普通の模擬戦ってヤツなら?」

 俺は勇者じゃねえんだが、ドネルクに勇者として売り込んじまったから、今さら違うとも言いにくい。


 いくらか魔法の要素が有っても剣術は剣術だ。

 ミサイルみてえに剣が音速で飛んでくるわけでもねえし、本質がただの剣術なら何とかなるだろ。

 了承を返したもんだから、ハインズさんが悪ガキみてえに笑いやがる。


「ヨシ。明朝にでも戦ろう」

「断れそうな雰囲気じゃねえな」

 しゃーねえ。模擬戦はコミュニケーションだと嬢ちゃんも言ってやがったし、多少は付き合うか。


「無理はしないでくださいね」

「ああ、うん。そういうわけじゃねえんだがな?」

 実のところ、魔法剣とやらを俺はそれほど脅威だと感じちゃいねんだが、心配そうなケイナにこの場では説明しづらいな。


 余計なことを言ってハインズさんの機嫌を損ねる意味もねえし、だったら思い切りやっても良いよな! と前伯爵を調子付かせるのも面倒さが増すだけだ。

 ムキになって掛かってこられても面倒クセエ。

 俺は“遊び”の勝敗なんてどうでも良いんだが、勝つとしても上手い勝ち方は考えておかなきゃならねえ。

 俺たちの態度をどう受け取ったのか、ハインズさんが笑う。


「心配するな。模擬戦は模擬戦に過ぎぬでな。勝とうが負けようが恨みも侮りもせぬ」

「まあ、お手柔らかに?」

 おっと。読まれてたか。


 この爺さんも面白え人だよな。

 責任有る立場で、数多くの経験を重ねてきた重みも有るのに、悪ガキの精神もしっかりと持ってやがる。

 俺も歳を食ったらこんな爺さんになりてえと思わせる人だ。

 2人の捕食者から向けられる捕食欲求を適度に躱していると、ハインズさんの奥さんが息子の嫁になる前伯爵を捕まえる。


「フレイア。アレを渡してあげなさい」

「ん? おう。アレか」

 お? アレ?

 メイドの1人が布地っぽい何かを乗せたトレイを運んできて、前伯爵がメイドを待ち受ける。


「ルナリア。フィオレ。ちょっと立ってみなさいな」

「ふぇ?」

「・・・あ。はい」

 奥さんに名指しされた嬢ちゃんたちが休憩している椅子から立ち上がる。


「こちらを」

「おう。―――ルナリア。後ろを向け」

「んん? はい」

 言われたとおりに背中を向けた金髪嬢ちゃんの背中に、前伯爵がメイドから受け取った布を被せる。


 ほーん。ありゃあマントか。

 そういや、この嬢ちゃんは赤い色の服ばかり着ていたな。

 マントも濃い赤色だ。

 着せられている甲冑と相まっていよいよファンタジー色が強くなってきやがった。


「・・・おお。カッコイイ」

「ふむ。悪くないな」

「なに? 外套?」

 自分の尻尾を追い掛ける子犬みてえにクルクルと回りかけた金髪嬢ちゃんが、上手くマントの裾を捕まえた。


「クロークだな。鮮やかな赤は王家の色だから、少しばかり趣を変えざるを得なかったが、このぐらいの色ならお前も気に入るだろう」

「おー! 大人っぽくて良い色!」

「・・・すごいよ。背中に金糸でウォーレス家の紋章が刺繍してある」

 言われてみれば見覚えの有る意匠がデカデカと縫い込まれてある。


 ワインレッドに金色の組み合わせは高級感が出るからな。

 赤も目立つし金ピカの刺繍も目立つし、それ以前に頭も金ピカだから、めちゃくちゃ目立つ。

 1キロメートル先からでも見間違わねえだろう。



世界の違い㉒です。


捕食者のロックオン!

次回、象徴!?


※ ちょっとバタバタしていて大遅刻です!

  サーセン!

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― 新着の感想 ―
ケイナさん奥さんムーブかましていませんか?そう言うのが嫌われるのですよ
赤い跳ね馬かな? 模擬戦?!フィオレちゃんがピーシーズで殺ったのは…♬治癒魔法を使うからって殆ど実戦の決闘じゃあネェ(^^)/
2026/07/29 23:09 あかマント
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