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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ⑰

「そうなんだがな。矢も術式も届かん距離で先手を取るのなら、必要ないかと考えてな」

「撃ち漏らしが押し寄せたときに危険ではないか?」

 肩を竦める前伯爵の言い分にマルキオさんが指摘を返し、前伯爵がさらに反論する。


「“蒼焔”や“白焔”に耐えられる兵が居るのなら、だな」

 前伯爵の反論でハインズさんとマルキオさんが黙った。

 数秒間ほど考えたハインズさんとマルキオさんが前伯爵に視線を戻す。


「ふむ・・・。“準備砲撃”か」

「敵兵の全てを術式で削り取れる自信が有るのだな?」

 2人の視線を受け止めた前伯爵が嬢ちゃんに視線を向ける。


「フィオレ。どの程度の距離までなら敵軍に“蒼焔”を当てられる?」

「・・・見えていれば、5キロメテルぐらいまでなら」

 話を振られた嬢ちゃんは驚く様子もなく、とんでもない数値を口にした。


 ちょっと待て。

 高倍率の望遠鏡スコープを使った地球の世界最長狙撃距離でも4キロメートルだぞ。

 5キロメートルも離れていたら、肉眼では人間の姿さえ判別できねえだろ。

 “そうえん”ってのは魔法の名前なんだろうが、そんな距離で攻撃を当てられるもんか?


 嬢ちゃんは自信満々みてえだが、にわかには信じられねえな。

 魔法での感覚がどうなのか俺には分かんねえが、どこに敵がいるのかも見付けられないのが普通じゃねえか?

 ハインズさんも目を剥いている。


「5キロだと・・・?」

「自信が有るようだが、どうやって当てるつもりだ?」

 絶句していたマルキオさんが衝撃から復帰して、嬢ちゃんに発言の根拠を問うた。

 対する嬢ちゃんは何のこともないように答える。


「・・・魔力で敵の位置は探知できますから、その反応と目視を合わせれば確実に狙った場所に術式を落とせると思います」

「ほう」

 嬢ちゃんの説明に前伯爵が面白そうに目を笑わせる。


 ああ~。アレか。俺も納得しちまった。

 この嬢ちゃんは、魔素の反応を感じ取ることで壁の向こう側に隠れている人間でも察知できるんだったな。

 確か、嬢ちゃん自身は“アクティブソナー”と呼んでいたアレだ。


 存在を知らなければ5キロメートル先の敵軍を見付けることは出来ねえだろうが、「あの辺にいる」と分かっていればアタリを付けられる。

 健常者は視覚情報に頼るが、視覚障害者なら聴覚情報や嗅覚情報に頼ることになる。

 嬢ちゃんの場合は魔素の反応が五感に加わるってわけだ。


 その6番目の感覚は“レーダー”や“ソナー”と言える使い方で、理に適ってやがる。

 嬢ちゃんの魔法がどの程度の威力なのかは知らねえが、距離と方向が分かれば攻撃を当てられることは地球の兵器技術が証明している。

 お陰で気付いちまった。


 それ、俺の“危険物センサー”でも応用できんじゃね?

 こいつは良い話を聞いたな。

 ケイナに頼り切りの遠距離攻撃をいくらか俺も担えれば、ケイナが楽になる。

 接近拒否ってことじゃなく、事前に敵を弱らせてリスクを引き下げる意味で、俺も遠距離攻撃手段を研究してみるか。


「なるほど。探知か」

「そういう術式の使い方も有るのか」

 ハインズさんたちも納得の声を上げて説得されちまった。


「それは“有り”だな。私もやってみるとしよう」

「・・・お母様なら、すぐに感覚を掴めると思うよ」

 嬢ちゃんの銀髪頭を力強く撫でた前伯爵が、自分の側近たちに目を向ける。


「コツを覚えればエゼリアたちにも出来るだろう」

「訓練のし甲斐が有りそうですね」

 前伯爵から話題を振られた側近の姉ちゃんたちも強気に笑ってやがる。

 その側近たちへ目を向けたマルキオさんも前向きになったようで、思案顔になった。


「ふむ・・・。ならば、心配するまでもないか」

「逃げ回る敵を追い回すだけの戦になりそうだな」

 ハロルドさんは諦め顔で戦争の展開を予想する。


 そいつは、嬢ちゃんたちが魔法で遠距離攻撃を加えるだけで、敵勢力を大きく削れるってことか?

 つーことは、嬢ちゃんの魔法も前伯爵の魔法も、かなりの高火力と考えて良さそうだな。

 この2人、戦略兵器みてえな扱いかよ。


「“準備砲撃”か。攻城戦だけでなく、野戦でも使えるとなれば戦が変わるのう」

 ハインズさんも諦め顔で首を振る。

 そのハインズさんを、攻撃的な笑みを浮かべた前伯爵が一言の下に斬り捨てる。


「戦など、楽に勝てるに限る」

「それもそうだな」

 言い負かされた男たちが揃って頷いた。


 合意が形成されて決着したのは良いんだが、今、ハインズさんが気になることを言ったな。

 さっきも言ってた気がするが、「射程5キロメートル」の爆弾発言で聞き流しちまってた。

 “準備砲撃”?


 それはアレか? 上陸直前の艦砲射撃や突撃前の野戦砲攻撃のことか?

 俺の理解が正しいので有れば、ウォーレス領軍の戦術が見えてくるな。

 高火力の魔法で戦場を更地に変えてから、陸上部隊が進軍して残敵掃討をするわけだ。


 大砲による砲撃に相当する高火力を嬢ちゃんたちが持っているなら効率的では有るな。

 そりゃあ強えわけだ。

 現代地球の戦争でも通用する戦術を魔法で再現しちまっているのなら、剣や槍じゃあ太刀打ちできるわけがねえ。



世界の違い⑰です。


戦略級母娘兵器!?

次回、作法!?


※間の悪いタイミングでアレがナニしまして遅刻です!

 サーセン!

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― 新着の感想 ―
「逃げ回る敵を追い回すだけの戦になりそうだな」 果たしてそうかな?
現状フィオレ式索敵攻撃方を伝授可能な方々は義母 義叔母様達 ウーマンズ・ウォーレス・プラトーン(笑)最前線で騎士服「オスカル風」将官級軍装 軽装鎧装備メイドが並び 約5キロのアウトレンジより「準備砲撃…
2026/07/24 15:31 あかマント
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