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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ⑭

 アスクレーはマルキオさんとシェリアさんの孫で、母親が前伯爵の妹なんだっけか。

 母親の実家に預けられているわけだが、ウォーレス領に来てからアスクレーの両親を1度も見てねえ。

 最も関係が近い家族は祖父母たちなわけだ。


 嬢ちゃんたちの話を聞いた感じじゃあ、アスクレーの実家とピーシス家、つーか、ウォーレス家との関係は良好らしいし、色々と深い部分でも協力関係に有るらしいしな。

 つまりは利権関係だ。

 地球の歴史に照らしても、貴族社会ってのは利権と血縁で動くものだよな?


 時代の違い―――、いいや。世界の違いか。

 俺が持っている日本の感性とは常識が違うだけなんだろう。

 世界の常識は横に置いたとして、アスクレー個人はどうだ?


 シェリアさんの様子を見る限り、アスクレーは軽んじられているわけではなさそうだし、未来の嫁さんになる嬢ちゃんとの関係も互いにドライでは有るが、仲は悪くなさそうなんだよなぁ。

 あのドライさは、政略結婚という関係性ではなく、2人の性格によるものに思える。

 こりゃあ、アスクレーの性格的に人付き合いが苦手そう、というか、他人との距離の取り方が苦手な部分が有りそうだ。


 アスクレーは今、7歳だっけな。

 他所様の家庭事情だから首を突っ込みにくいんだが、俺の常識とは違うと言っても、ちっとばかし置かれている環境がハードすぎねえか?


 いやいや。人生ハードモードと言っても一般論の範疇で、嬢ちゃんの生い立ちがベリーハードを超えた悪夢(ナイトメア)モードだから霞んじまうのは分かるんだが。

 アスクレーの反応を見るに、構って貰えたことを―――、いや。違うな。

 個人として認められたことを喜んでいるんだろう。


「儂にも見せてくれ」

「はい。お爺様」

 マルキオさんからも声が掛かって、アスクレーは控えめながらもしっかりと頷き返した。

 子供のくせに遠慮しやがって。

 子供はもっと自由で良いと思うんだがなぁ。


「良かったな。アスクレー」

「うん・・・」

 声を掛けてやれば、一瞬、目を見開いたアスクレーは照れくさそうに頷いた。


 この坊主の手助けもしてやりてえなぁ。

 どこか鬱屈したものを感じるから、取り除いてやりてえ。

 また何か方法を考えておくか。

 今は嬢ちゃんが重視している採掘場の件だ。


「フィオレの嬢ちゃんからは、あの採掘場は重要な財政の柱だから、今以上の迷宮化を防ぎたいと聞いている。この認識で合ってるか?」

 投げ掛けた問いにセリーナさんとシェリアさんが表情を曇らせて口を閉じ、ハインズさんたちは表情を厳しくした。


 この様子だと嬢ちゃんと認識は共有していたようだな。

 いや。嬢ちゃんはレイクスに魔素を視させて、自分の認識は間違っていなかったと喜ぶ様子を見せていた。

 つまり、”確定情報ではないが注視はしていた”、ってところか。

 男たちを代表するように、深刻な表情のハロルドさんが溜息雑じりに口を開く。


「迷宮化か・・・。間違いないのか?」

「少なくとも、採掘場で起こっていた魔素の動きは“嘆きの祠”と極めて似たものだったよ」

 ハロルドさんの反問に答えたのはレイクスだ。


 特殊な目を持つレイクスが現地で現象を観測した上での答えで、ハロルドさんたちはレイクスたちエルフ族の魔法に対する知見の高さに一目置いている。

 最終的な現象の解明には遠くても、現状で得られる情報の中では最も信頼に値するもので有ることを疑う余地はない。


「ううむ・・・。フィオレの仮定は正しかったのだな」

 腕を組んだマルキオさんが低く唸る。

 ほーん・・・。この様子だと、あの迷宮化の仮説自体を嬢ちゃんが立てたわけか。


「王国全体の情勢を見回しても、採掘場を失うわけには行くまい」

「塩の供給が止まるだけで内戦前の情勢に戻り兼ねんな」

「そうだな」

 マルキオさんとハインズさんの視線がハロルドさんに集まる。

 ハインズさんたちに頷き返したハロルドさんが俺たちに視線を向けてくる。


「防ぐ手立ては有るのか?」

「正直、分かんねえ」

「むう・・・」

 正直な感想を告げればハインズさんたちが揃って唸る。


 為政者としては、やっと安定に向けた巧妙が見えてきたところへ人知を越えた自然の脅威だ。

 難しい顔になるのは分かるけどよ。

 そう簡単に悲観しなきゃならないものでもないぜ。

 俺の認識を代弁してくれたのはレイクスとシェリアさんだ。


「分からないから、調べて見識を得るのさ」

「学問とは、そういうものですよ」

 知識人たちに諭されてハインズさんが頷き返す。


「確かにな。だが、どう調べる?」

「手っ取り早いのは、他の迷宮との比較検証だろうな」

 分からなけりゃあ現場を踏んで1つ1つ確かめていくしかねえ。

 泥臭く手間の掛かる作業だが、やってやれないことはないはずだ。


「ふむ。渡河地点の新たな迷宮。そして、“嘆きの祠”か」

 ハロルドさんが調査対象の具体名を挙げた。

 確かに俺たちは“嘆きの何とか”へ行ったが、魔石を採りに行っただけで調査のつもりはなかったからな。


 魔石にしか興味がなかったレイクス1人を除いて、みんな幽霊の対処方法を手探りするのに必死で、あんなもんは調査と言えるようなものじゃなかった。

 真面目に調査するなら、視界外でも魔素的に判別できる嬢ちゃんが欲しい。

 俺に判別できるのは「危険物かどうか」だけだしな。



世界の違い⑭です。


認識の摺り合わせ!

次回、戦争の足音!?

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― 新着の感想 ―
テツさんはアスクレー君とハートのキャッチボールをヤリタいと…♬
2026/07/21 17:44 あかマント
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