表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
408/413

世界の違い ⑩

「もう終わるだろう。少し体も冷えただろうから、食堂で温かいお茶でも飲んでから仮眠を取るか」

「手配してきます」

「任せる」

 前伯爵の提案にメイドの1人が階段を下りていった。


 寒いってほどでもねえんだが、何時間も狭い高所で監視作業をしていたから、多少なりとも心身は緊張しているはずだ。

 俺たちも有り難く乗っからせて貰ってお茶でも飲んだ方が仮眠を取りやすいだろう。


「俺たちも下りるか」

「僕もお茶を飲んでから少し眠ろうかな」

 グッと体を伸ばして、欠伸をレイクスが噛み殺す。


 レイクスは魔素を視る特殊能力も使っていたしな。

 能力を使うことで心身に負担が有ってもコイツは言わねえだろうから、本人が休む気になっているときに休ませた方が良い。


 負担が掛かっていても口に出さねえのはケイナもだ。

 ケイナは移動と野営が続く度の道中でも不満を漏らすことがねえ。

 辛くても我慢して頑張りすぎちまうから体を休ませるように誘導してやる必要が有る。


「女の子に体の冷えは天敵だからな。ケイナもそうしろー」

「はい」

 食堂で温かいお茶を貰ってしばらく駄弁った俺たちは、いくらがリラックスして仮眠を取ることが出来た。


 翌朝、というか、数時間の仮眠を取った後、出荷作業と回収作業を手伝い終えた俺たちは、前伯爵たちと一緒にレティアの領主館へ帰還した。

 兵士たちの出迎えに応えている嬢ちゃんたちを眺めていたら、俺たちのところへ前伯爵が歩み寄ってくる。


「テツ殿。レイクス殿。良いか?」

「何か有ったか?」

 確認すれば前伯爵が首を振る。

 問題の発生を疑ったが違ったらしい。


「そういうわけではないんだが、見解を聞きたいだろうと思ってな」

「ああ。ハインズさんたちか。了解した」

「僕も構わないよ」

 昨日、採掘場へ出掛ける直前にもハインズさんが一緒に行くと言い出して、書類が溜まっていると奥さんに指摘されて、マルキオさんとハロルドさんの2人に連行されていったんだよな。


 ぞろぞろと連れだって領主執務室へ移動すると、ハインズさんとマルキオさんとハロルドさんが、仲良く机を並べて書類との格闘を続けていた。

 3人とも机の端には書類の山が積み上げられている。


 領主一族が書類の決裁処理に忙殺されている状況は、事務処理システムに問題の存在を感じさせられちまう。

 事務処理を簡素化、効率化して、負担を減らす知恵を俺が持っていりゃあ提供するんだが、俺は自分の業務上に必要な事務処理能力しか持っちゃいねえからな。


 残念ながら、俺では手を貸してやりようがねえ。

 嬢ちゃんなら俺よりも事務処理の知識を持っていそうなもんだが、自分に出来ねえことを他人に求めるもんじゃねえし、棚上げだな。


「ただいま! お父様、お爺様たち!」

「・・・ただいま戻りました」

「うむ! よくぞ戻った!」

「ああ。お帰り」

 子供たちの元気な声に、書類から目を上げた男たちが表情を緩める。

 セリーナさんが孫たちに声を掛ける。


「報告は私たちでしておきますから、貴女たちは着替えてらっしゃいな」

「分かったわ!」

「・・・ん? ああ、甲冑かぁ」

 金髪嬢ちゃんは即答し、銀髪嬢ちゃんは指示の内容を吟味してから頷く。

 返事1つを取っても個性が出るもんだな。


 甲冑、つったな? 小さな子供に甲冑を着させるのか?

 異世界の文化を理解しきれている自信はねえし、他所様のご家庭内の風習に軽々しく口出しすべきじゃねえから黙ってるが、現代日本の感覚に照らすと違和感がスゲえ。


「行くぞ」

「・・・あ。はい」

 吟味していて返事が遅れた嬢ちゃんが母親に促されて返事をする。


 甲冑と言ったら、騎士たちが着ているような金属甲冑だろ?

 鉄板を身に纏うわけだから、大人用だと数十キログラムもの重量が有るんだよな。

 サイズが小さい分、多少は軽いんだろうが、嬢ちゃんたちだと自分の体重と同じぐらいの重量が有るんじゃねえのか?

 ある種の児童虐待じゃね? と考えちまうのは、俺も現代のポリコレに毒されちまっているのか。


 七五三の衣装にしちゃあ物騒だし、ゲテモノの部類だと思うが、昔の日本でも、”七五三の衣装として実際に着られる鎧兜を仕立てるご家庭は有ったらしい”、とは聞いたことが有るからなぁ。

 2年も経てば子供は成長するし、数回しか着ねえ衣装にどんだけカネ掛けんだよ。

 子供用の甲冑に興味を抱いたのはケイナも同じようで、小さく手を挙げて申し出る。


「私も行って良いですか?」

「行くわよ! ケイナ!」

 前伯爵たちが先に立ち、嬢ちゃんたちの防具に興味を持ったらしいケイナも、金髪の嬢ちゃんにガシッと手を取られて拉致されていった。


「ノーアも」

「・・・うんうん。おいで~」

 銀髪嬢ちゃんは妹の手を取ってケイナたちを追いかけていく。


 ああやって引っ張っていってくれる同年代の友だちは有り難いもんだな。

 どれだけバカな結果になっても構わねえ。

 成功も失敗も、ダチと一緒に重ねた体験と記憶はケイナ自身を窮地から助ける知啓となるだろう。

 ハインズさんたちにレイクスと2人、ソファーセットを薦められて腰を下ろすと、ハロルドさんもソファーへ移動してくる。



世界の違い⑩です。


永遠の事務処理問題!

次回、コピー!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
名目上 二人は総大将「公爵様」と参謀長「子爵様」なので衣装も其れなりのモノを……見映えとお爺ちゃん達の趣向がてんこ盛りな一品 元は味方を鼓舞し敵を威圧……ナノだけど フルプレートに厳ついヘルムに華麗な…
2026/07/18 16:23 あかマント
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ