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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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世界の違い ⑥

「・・・だったら、どんどん増えてくれれば良いや」

「それで良いんですか?」

 放り投げるような嬢ちゃんの言い草にケイナが首を傾げる。


「・・・お肉は多ければ多い方が良いんだよ」

「お肉に拘りが有るんですね」

 そうか? ケイナは好意的に解釈したようだが、俺には「食える肉なら何でもいい」という意味に聞こえたぞ。


 “名を捨てて実を取る”実利主義とも言えるんだろうし、堅実な考え方なんだろうが、どこかに「それで良いのか?」という疑念を感じちまう。

 なんつーか、逞しいな。

 “中身”の話も聞いたし、見掛けとのギャップには気付いちゃいるから、今さら驚きゃしねえがな。

 嬢ちゃんも自分の考え方に恥じるところは無いようで胸を張る。


「・・・お肉だけじゃないよ? お野菜も増やすし農地もどんどん増やすんだから」

「そう言えば、エライワーを育てようとしていましたね」

 嬢ちゃんの主張にケイナが感銘を受けたように返している。

 どうやら戦略的な考えが有ってのことのようで、嬢ちゃんがプランを披瀝してくる。


「・・・王国内も一枚岩ってわけじゃないから、ウォーレス領から豊かにするんだよ。ウォーレス領が豊かになったのを見れば他領も続こうとするだろうからね。自分たちも豊かになって、それを奪おうとする外敵が来るなら内輪揉めしてる場合じゃなくなるでしょ。王国内が結束すれば、神教会にだって対抗できる」

「防衛のために豊かにするのですか」

 ケイナが驚いた顔をする。


 ほぉん? 目指しているのは内戦で割れた国内の一本化か。

 派閥が違う連中も、利益をチラつかせて味方に引き込もうってわけだ。

 昭和の政治家みたいな考え方をしやがるな。

 即物的で賛否は有るだろうが、胡散臭い理想を熱く語って説き伏せるよりも確実で早え。


「・・・そうだよ? 王国が豊かになれば、また欲の皮が突っ張った敵が来ると思うけど、豊かにならなくても敵は攻めて来るからね。どうせ来るのなら豊かにならないと損じゃん」

「そういう考え方も有るのですね」

 言い方は余計な誤解を生みそうでアレだが、それも真理では有るんだろう。


 利益をバラ撒くことで、欲に駆られた敵を新たに生み出す可能性は有る。

 敵対する意思を捨てないまま利益だけを食いに来る“エサ取り”みてえな連中だっているはずだ。

 もっとデケえ敵を倒すためなら、そんな信じるに値しねえ小物の存在も敵側に転ばなけりゃ構わねえってか。


 真面目なケイナにとっては面食らう考え方かも知れねえが、俺としちゃあ綺麗事や理想を振り回されるよりも賛同しやすいし好ましく思える。

 確かにな。

 内輪揉めみてえなもん、外敵がいなくなってからすりゃあ良いんだ。その上でも、嬢ちゃんは勝てる自信が有ると―――、いや。小を捨てて大に就かねえと神教会は勝てない敵だと見ているってことか。


 今よりも豊かになれれば敵対派閥が外敵を嫌って味方に転ぶ可能性もゼロじゃねえ。

 少なくとも、何もしねえよりは味方を増やせる可能性は高え。

 魔獣の肉も有象無象を誘き寄せる撒き餌の1つだと言いたいんだな。

 その考えに立脚すれば、「食える肉なら何でもいい」となるのも頷ける。

 トコトン、割り切ってやがるなぁ。 


「・・・だからお肉も大事。獲れれば獲れるほど良いんだよ」

「それなら原因の解明は重要なのでは?」

 どこまで読み取ったのかは分からねえが、ケイナは改めて嬢ちゃんの思考放棄を咎めた。

 咎められた嬢ちゃんも苦笑を返す。


「・・・そうなんだけど、するべきことが山積みで手が回っていないんだよね」

「では、私たちもお手伝いした方が良さそうですね」

「・・・うん? お手伝い?」

 ニコリと笑ったケイナがレイクスへ視線を向ける。


「兄様。この採掘場の魔素はどうなっていますか?」

「魔素? 全体のかい?」

 レイクスの確認にケイナが頷き返す。


「魔獣は魔素から生まれているのだろうと予測が立ったのですから、環境を確かめる必要が有りませんか?」

「そうだね。その通りだ」

 兄妹のやり取りに金銀の嬢ちゃんたちが揃って首を傾げる。


「環境?」

「・・・ふむ?」

 レイクスは闇に包まれた夜の森へと目を向けている。

 仄かにレイクスの目が光を放っているように見えるから、“目”を使っているんだろう。

 嬢ちゃんもレイクスが何をしているのかに思い至ったようだ。


「・・・ああ。本当に迷宮化しているのかを確かめてくれてるのか」

「あ。そっか。魔力が見えるんだものね」

 金髪の嬢ちゃんもレイクスの“特殊な目”の存在を思い出したようで納得顔になる。


 一方のレイクスは、闇に包まれて黒い壁にしか見えねえ周囲の景色を見回して、さらに見回し直している。

 何か有ったか?

 難しく眉根を寄せていたレイクスが口を開いた。


「これは・・・。魔素が集まってきているね」

「・・・集まって来る?」

 首を傾げる嬢ちゃんの問いに、レイクスは1人で納得した様子で頷く。


「自然の魔素としては、凄い濃さだよ」

 レイクスの答えを反芻するように宙へ視線を彷徨わせて考える様子を見せた嬢ちゃんは、数泊の間、沈黙し、レイクスに視線を戻して再び問いを投げ掛けた。



世界の違い⑥です。


政治的工作!?

次回、魔素!?


※ ちょっとアレがナニしてソレしまして大遅刻です!

  すんまそん!

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― 新着の感想 ―
> ちょっとアレがナニしてソレしまして 松本零士の「男おいどん」によく出てくるフレーズだ~♪ 若い子には出てこないフレーズだから作者さんは中高年、下手したら高齢者~♪ マジか~♪
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