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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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南の町 ㊻

「ケイナ殿。差し支えなければ、私も精霊術式の使い方を今少し指南願いたいのだが」

「わたしもお願い!」

「良いですよ」

 ケイナの周りには金髪嬢ちゃんだけじゃなく女性騎士たちが集まっていて、少し緊張しているみてえだがケイナも笑い返してる。


 エルフ族の郷は人が少なくて閑散としていたし、他所の町では身バレも含めて油断できなかったからな。

 警戒しなくていい多くの人に囲まれる経験はケイナも初めてだろう。

 囲まれている相手が頼りがいの有りそうな年上の同性ってのも、警戒心を緩められる要因か。

 俺と一緒になって微笑ましそうに見ていた銀髪嬢ちゃんがケイナに声を掛ける。


「・・・ケイナちゃん。こっちは任せて良いかな?」

「フィオレは?」

「・・・私は、あっち」

 銀髪嬢ちゃんが指したのは俺たちだ。

 特に俺がターゲットとしてロックオンされてね?


「お願いしますね」

「・・・任せて」

 ケイナと笑い合った嬢ちゃんが俺たちの方へやってくる。

 「俺たち」ってのは、獣人族の3人に俺を足した4人だな。


「・・・じゃあ、魔力の放出を教えようかな」

「お、おう」

「「「お願いします!」」」

 相変わらず俺が狙われている気配をビンビンに感じるんだが、獣人族3人組は気合いの入った返事をしてやがる。


「・・・おっ。ヤル気だね」

 邪気のない顔で嬢ちゃんがニコリと笑う。

 元から顔の作りが整っているせいか、見た目は可愛らしく見えるんだよ。


 だが、そこはかとなく邪気を感じてならねえ。

 危険物センサーも「敵対するな」と訴えてきてやがる。

 ヨシ、分かった。ここは穏便に乗り切ろう。


「魔法術式が使えれば、少しは狩りが怖くなくなるかと」

「・・・あー。魔獣を待ち伏せするんだっけ」

 嬢ちゃんの笑顔にコロッと騙されたイカウが、早速、眉尻を下げてやがる。


「そうニャ。スッゴく怖いのニャ」

「オレはもっと確実に魔獣を止められればと」

 ミャウラとクァタルもイカウに続く。


 ミャウラは根っこが人懐っこい性格だし、クァタルは主人筋だったらしい嬢ちゃんを疑うことがねえ。

 うーん・・・。まあ、大丈夫だろう。

 イカウとミャウラは狩りとは縁のない人生を歩んできたヤツらだったし、対人戦闘しか経験がなかったクァタルもよくやってるとは思うんだがな。


 魔獣ってのはクッソでかい上に動きも速えし凶暴なんだよ。

 こいつらが魔獣にビビったり苦戦するのも無理はねえ。

 それを言ったら俺も似たようなものなんだが、俺の場合はビビる猶予もねえんだ。

 嬢ちゃんが何とかしてくれるって言うなら頼らせて貰おう。

 一通りの思いを聞き届けた嬢ちゃんが笑みを深めた。


「・・・うんうん。そっか。じゃあ、先ず自分の中に有る魔力は感じ取れるかな?」

「胃の辺りに有る熱のことだよな?」

 それぐらいのことは俺にも分かるぞ。

 これな! と確認すれば、嬢ちゃんは深く頷く。


「・・・そうそう。それだよ。それ、動かせる?」

「「「「むむむむむむ・・・」」」」

 ケイナに受けさせられていた訓練で、3人組も胸の熱を感じ取ることが出来ているのは俺も知ってる。


 ところが、手で触れられもしねえものを動かすのは簡単じゃねえ。

 腹の中に詰まってる小腸や大腸を自分の意思で動かせと言われても動かせやしねえだろ。

 3人組と一緒になって俺もしばらく唸っていると、俺たちの様子を眺めていた嬢ちゃんがアッサリと方針転換する。


「・・・だいたい分かったから、もう良いよ」

「「「はい・・・」」」

 3人組がガックリと肩を落とす。


 うーむ。何か根本的な部分が違うんだろうな。

 嬢ちゃんは「できる」と信じて疑っちゃいねえ様子だし、これはボタンの掛け違い感ってヤツか。

 嬢ちゃんの目がガタイの良い元騎士へ向く。


「・・・クァタルさんって身体強化魔法は使えるよね?」

「あまり得意ではないですが、一応は」

 クァタルの返事に嬢ちゃんが首を傾げる。


「・・・得意じゃないっていうのは、体内保有魔力量が少ないから使っていなかったせいじゃないの?」

「それは・・・、有るかも知れません。エクラーダ人は魔力量が少なかったですから」

 嬢ちゃんの指摘に困惑気味にクァタルが頷く。

 ほう? 嬢ちゃんは誰かから事情を聞いたことが有るっぽいな。


「・・・だったら、もっと使うと良いよ。以前と違って、今はそこそこの体内保有魔力量を持ってるんだから」

「あ。はい」

 迷いのない嬢ちゃんの助言にクァタルが素直に頷く。


「・・・イカウさんとミャウラさんは?」

「私も一応、使えることは使えます。ただ、私の場合、重たいものを運ぶときに少し楽になる程度で、戦闘に使えるようなものではないと言いますか・・・」

「アチシもニャ。高いところへ上るときぐらいしか使ったことないのニャ」

 次のターゲットになった2人が現状を伝えると、嬢ちゃんの顔に理解の色が広がる。


「・・・ああ。苦手意識かな? どんな形でも使えているなら、もっと積極的に使って慣れると良いよ。2人とも、一般的なヒト族よりも体内保有魔力量は多いし」

「慣れですか」

「アチシも魔力が増えてるのニャ?」

 意外なことを言われたように2人が目を丸くする。

 こっちの助言も嬢ちゃんは自信が有るみてえだな。



南の町㊻です。


邪気の有る幼女!?

次回、意外な事実!?


※遅刻です!(72時間耐久完走

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― 新着の感想 ―
ケイナちゃん組が婦人会活動のようですねぇ フィオレちゃん組はテツさんの雰囲気的に定時制工業高校の格闘技クラブかなぁ(^_^)v 銀英伝マラソン挫折しました(^_-)
2026/07/06 17:28 あかマント
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