表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
393/423

南の町 ㊸

「人手は何とかなりそうだ」

「うーむ・・・。本当に一人前の職人は要らねえってのか。恐ろしいことを考えやがるな」

 考えても見なかった解決策を提示されたレイクスは苦笑し、旧来の制度に未練というか、執着を見せるロブウッドは渋面を作る。


 とはいえ、工程で分割して職人に与える情報量まで管理しようという分業制の有用性は理解しているみてえだからな。

 ロブウッドの場合は職人という保守的な生き方から、変化に尻込みしているだけなんじゃねえか?

 まだ迷いを見せるロブウッドを嬢ちゃんが追い込みに行く。


「・・・戦争に勝つための道具を作るんだよ? 技術を盗まれたら勝てなくなるじゃん。みんなを守るための道具なんだから盗ませないよ」

「徹底してんなぁ」

 決然と言い切る嬢ちゃんに頑固オヤジが舌を巻く。


 いや。マジで大したもんだわ。

 知識も大したもんだが、割り切りと覚悟がスゲえ。

 さらにいえば、嬢ちゃんが地球の知識を持ち込もうとしている理由は私利私欲なんて利己的なものじゃなく、多くの人間を救うためのもんだ。

 メチャクチャ個人的な理由で魔法道具を欲している俺としちゃあ、後ろめたく感じちまうな。


 だからといって、俺も日本への帰還は譲れねえ一線だしな。

 ここは嬢ちゃんの判断に任せて協力に徹しよう。

 この嬢ちゃんなら野心に目覚めたり人の道を踏み外したりはしねえだろ。

 俺は信じるに値すると感じたんだが、嬢ちゃんは首を振った。


「・・・私なんて、まだまだだよ」

「「「「「ええ・・・?」」」」」

 周囲から「これ以上が有るのか?」と言わんばかりの声が上がる。

 嬢ちゃんは自嘲するように小さく笑う。


「・・・事実だよ。私が持っている知識は食料を得るためのもので、ワナの知識が防衛にも使えるってだけだもの。魔法の技術は学んでいても魔法道具については基礎知識も持っていないからね。どう技術を守れば良いのかさえ分からない」

 専門外だから?

 いや。今の自嘲は自分の生き方に対してのもんか?


 この嬢ちゃんが、前世の頃から生き残るためだけに特化した生き方をしてきたんだろうってことは、何となく察せられる。

 そりゃあそうだろう。

 食糧自給率なんかもガン無視した中身のないグローバリズムで、“目先の物だけは溢れ返っている現代日本”だぞ?


 そんな国で、猟師でもねえのに野生動物を獲って生きられるだけの知識と技術と実行力を持った奴が、どれだけいる?

 日本の人口を1億人として、狩猟免許を持ってる奴に自衛隊員まで足しても、サバイバル出来そうな連中なんて50万人ぐらいじゃねえか?


 それって何%だよ。

 予備自衛官だっているし農家だっているんだから、実際にはもっと多いのかも知れねえ。

 それでもだ。

 俺も色んな奴らを知ってるが、ここまで特殊な奴には初めて会ったぞ。


 この嬢ちゃんは、自分が偏った人間だってことを理解した上で、足りねえ知識は持ってる奴に任せて、そいつらもまとめて守ろうとしてやがる。

 その結論が物理的に情報を分断する分割統治だ。

 情報を守る方法か・・・。

 俺ももっと真剣に知恵を絞らねえとな。


「それで“分割統治”なんだね」

「・・・盗まれないようにする方法を他に思い付かなかったんですよ」

 納得顔で頷くレイクスに、嬢ちゃんは肩を竦めてみせる。

 嬢ちゃんの自嘲にレイクスが首を振る。


「テツも言っていたけど、そっちは僕らに任せて貰えないかな」

「・・・良いんですか?」

 お? 俺か? 俺はもう考え始めてるぞ。

 窺うような目を向けてくる嬢ちゃんに俺も頷き返す。


「言っただろ? 一蓮托生だからな。そりゃあ構わねえんだが、魔法道具を戦場に持ち込んで敵に鹵獲されると不味くねえか?」

 俺が指摘したのはリバースエンジニアリング―――、要するに“パクリ”だ。

 戦場での鹵獲だけじゃなく、盗難や横流しも有ると考えた方が良い。


 新しい技術が開発されれば、どんな業界でも最初に行われるのは、分解して分析して検証して再現だ。

 そうやって最先端技術から置いて行かれねえように研究する。

 現代だと特許で守られていたりするからルール違反で問題化するんだが、それ以前の時代にはパクるのが当たり前で、そうやって地球人類は発展してきたんだ。


 そいつは善悪の問題じゃねえ。

 前を行く奴は、パクられねえように防御策を考えておくのも必然だ。

 俺が思い付いたように、嬢ちゃんも気付いていたようで難しい顔をする。


「・・・それなんだよ。分解すると爆発したりの仕掛けは作れないかな」

「自爆装置かぁ。必要だとは思うが、爆弾の概念から教えねえと無理じゃね?」

 怖えこと考えやがるな。

 やっぱ“尖ってる”わ、この嬢ちゃん。


 でもまあ、言ってることは間違っちゃいねえ。

 黙って技術の恩恵に浴していりゃあ良いものを、欲を出してパクリに来るってんなら、そいつらだけが手痛いしっぺ返しを食らうトラップを仕掛けりゃあ良い。


 そういや、この嬢ちゃんは罠が得意なんだったか。

 しっかりと得意分野を活かした発想をするんだな。

 俺と嬢ちゃんが同じ方向を向いていると見て取ったレイクスが訊いてくる。



南の町㊸です。


リバースエンジニアリング対策!

次回、爆弾!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
魔女の方でも色々話題に上がってますがドボジテ自爆ナノか?呪いや融解等々一部破壊で良くない「ショッカーに栄光アレー」ド~~ン!!がロマンならシャーナシか(ゝω・)
2026/07/03 17:46 あかマント
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ