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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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南の町 ㊶

「そういうことかぁ。王宮の内側や遠くの貴族領の情報までは、僕らでは知りようがないものね」

 こっちの世界は運搬技術や通信技術が未発達な分、「世界」が狭いからな。

 地元の貴族に関する情報ぐらいなら聞き込みをすれば情報を集められるが、近隣の領地でも一気に情報量が減って情報収集の難易度が跳ね上がる。


 そういう意味でも、俺たちが選んだ冒険者って職業は色々な領地への移動が許される自由業だから、比較的、情報を集めやすい立場にある。

 その上で、費やした労力や時間に比較して情報量が少ないのが現状だ。

 情報の少なさは、状況変化のへ対応や危険回避の精度に拘わって生存率に直結する。


「・・・王宮内にはミリア叔母様たち―――、アスクレーくんのお父様とお母様が影響力を持っているから、何とかしてくれるとは思うんだけど、それでも、最初から手出しを躊躇う状況を作って行くに越したことはないから」

 ほう? 国王にも対抗し得る王宮を抑えられるだけの人脈も作って有るわけか。


 その「アスクレー」ってのは、目を輝かせて魔獣のスケッチを取っていたマニアックな坊主のことだよな?

 めちゃくちゃリアルなスケッチで、子供らしからぬ画力の高さに軽く引いたんだが、この嬢ちゃんの許嫁だと紹介されたな。

 レイクスの関心は坊主本人ではなく親の方に有るらしい。


「彼のご両親も親戚なんだ?」

「・・・ミリア叔母様は、お母様の妹だよ。結婚前はピーシス家の次女。今は王妃様の右腕として社交界に強い影響力を持っていて、王妃様はお母様の親友。テレサのお母様でもあるね」

 伯爵家の次女で、王妃の最側近で、その王妃は前伯爵の親友で、王女は嬢ちゃんたちの親友だったか。


 もう、ガチガチの人脈じゃねえか。

 王妃ってことは国王への影響力も強いんだろうし、その最側近が社交界に影響力が有るってのは納得だな。

 つーか、確かアレだろ?


「王妃って人はドネルクとも血縁が有るんだったか」

「・・・ドネルクさんは王妃様のお兄さんだよ。テツさんたちが仕事で行ったクローゼリス公爵領にはアンリカ叔母様が次期当主夫人として近く嫁ぐから、アンリカ叔母様とも仲良くしておくと良いよ」

 ふーん・・・。


 ドネルクの家も北部地域の中核になっている公爵家だったか。

 クローゼリス公爵家ってのは東部地域の中核と言われている家だったな。

 その「アンリカ」って人は、前公爵の側近じゃねえの?


 あの好奇心が強そうな金髪美人だ。

 主人に近付く人間の品定めをするのは側近の仕事として正当な業務だと分かっちゃいるんだが、あの女の場合は”品定め”の質が“捕食者”なんだよなぁ。

 ”金髪美人”って時点でケイナの目が厳しくなるし、出来れば距離を取っておきてえ。


「貴族令嬢だろ? 仲良くと言われてもなあ」

「・・・簡単なことだよ。そのうち模擬戦を挑まれると思うから相手をしてあげると良いんじゃないかな。ウォーレス領では挨拶みたいなものだし」

「お、おう。分かった」

 嬢ちゃんは軽い調子で「人柱になれ」と言いやがる。


 あの“捕食者”の目は、まさに獲物を見定める“狩人”の目だったわけだ。

 必要なことなら()るしかねえんだが、面倒くさそうだから近付きたくねえなぁ。

 今さらながら、レイクスが感嘆の息を吐く。


「こうして聞いてみると、凄い人脈のド真ん中に僕らは居るんだね」

「・・・縁を繋ぐために動いてくれたのはドネルクさんだよ」

「そうだね」

 嬢ちゃんの指摘にレイクスが同意を返す。


 そういや、そうだな。

 この嬢ちゃんや前伯爵が濃すぎて霞んでいるが、間を繋いでくれたドネルクの果たした役割はデケえ。

 あいつは人間性も真っ直ぐだしな。


 ドネルクも十分、信頼に値する。

 問題はウォーレス家という防壁(ファイヤーウォール)を介在させるべきか、直接取引の道を模索するかだ。

 俺としちゃあファイヤーウォールを重視したいところだが、当事者がどう考えるか。


「どうする? 不味いようなら、ドネルクを通じて国王とも交渉するが」

「いいや。作ることも売ることも構わないよ。そうなるだろうことは最初から分かっていたんだし、それは良いんだよ」

 口先では「良い」と言いつつレイクスの表情は難しいままだ。

 嬢ちゃんもレイクスの意図が分からねえようで、首を傾げている。


「・・・他にも何か問題が?」

「数十個程度なら問題ないと思うけど、もっと大量に、となると純粋に手が足りなくなるだろうと思ってね」

 ははぁ。純粋な人手の問題か。


「・・・ああ。生産能力かぁ」

 嬢ちゃんも理解に至ったようで、表情を難しくする。

 どれだけ高度な技術を持っていてもエルフ族そのものが少数だからな。

 レイクスの視線がヒゲ親父に向かう。


「それはロブウッドたちも同じじゃない?」

「まだ図面しか見ていねえが、アレを作るとなれば数十個でも大変だろうよ」

 ロブウッドも難しい表情で頷く。


 情報の機密性保持と人手確保の問題はバーターだからな。

 技術が生命線になっているエルフ族にとっても、ドワーフ族にとっても、看過できねえ問題だ。

 難しい表情で考え込んでいた嬢ちゃんは考えがまとまったようで、1つ頷く。



南の町㊶です。


相反する問題!

次回、解決策!?

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― 新着の感想 ―
平家 源氏 ハプスブルク…血統重視だと女系社会なような??細けー作業は任せるぜ!
2026/07/01 20:50 あかマント
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