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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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南の町 ㊵

「・・・強くないと大切な人たちを守れないんだよ。だってね? 隣の国はヒマが有ったら攻めてくるし、勇王国も近隣諸国を攻め落として着々と近付いて来てる。負ける気は無いし、実際、負けないんだけど、躊躇していられる余裕なんてないよ」

 嬢ちゃんの言い分は筋の通ったもので、度々、嬢ちゃんが口にしていたものだ。


 それを理解した上で俺たちはウォーレス家との同盟を結んだのだし、躊躇いを感じていられる最終ラインを俺たちはすでに超えてちまってる。

 俺の覚悟の足りなさを指摘された気分だな。

 レイクスたちだって後へ退き下がれる余地はねえんだ。

 何やってんだ、俺。


「そりゃあそうだな・・・。ヨシ。その魔法道具の件は俺がレイクスたちと相談しておく」

「・・・本当に任せて良いの?」

 ジッと俺の目を見返してくる嬢ちゃんに決意を持って頷き返す。


 途中で居なくなるのだろう俺が手を貸したとしても、汚名を背負って行くのは嬢ちゃんになるだろう。

 その1点が気掛かりだったんだが、嬢ちゃん自身に迷いはねえ。

 そんなことぐらい、この嬢ちゃんが気付かないわけはねえからな。


「嬢ちゃんに責任を背負わせるのは心苦しいが、少なくとも今は一蓮托生だろうが」

 嬢ちゃんが目を見開いて驚いた顔をする。

 そして、何かを察したように表情を緩めて頷き返してくる。


「・・・私はそういった武器に詳しくないからお願いね。ケイナちゃんたちを守るために」

「おう。分かった」

 この嬢ちゃんらしいな。

 単なる「分かりました」で終わらずに、ケイナの名前を出して「本気でやれよ」と釘を刺してきやがる。


 日本で生きた記憶を持っていても、聞いた感じ、この嬢ちゃんは日本人時代も女だったっぽいからな。

 「詳しくない」という自己申告は正直な告白なんだろう。

 日本に居た当時からワナ猟の資格は持っていたらしいが、戦争に使う兵器となれば畑が違うんだろうしな。


 自衛隊に勤めている仲閒(ダチ)なら兵器に詳しいんだが、俺も一般人レベルの知識しか持っちゃいねえしよ。

 どこまで嬢ちゃんの期待に応えられるかは分かんねえが、全力で知恵を絞るしかねえな。

 つーか、この嬢ちゃんなら銃よか手榴弾を作ってやった方が喜ぶんじゃねえの?

 俺に釘を刺しただけでは止まらず、嬢ちゃんの目がレイクスへ向く。


「・・・あと、自動車と携帯電話が完成したらウォーレス領軍にも大量に売って欲しい。情報伝達と移動速度と兵站輸送で圧倒できれば戦争そのものが優位に立てるからね」

「大量に、ね・・・。詳しく―――、いや。裏側に有る理由を聞いても?」

 レイクスも一方的に要求を飲むのではなく目を細めて事情を訊く。


 嬢ちゃんの方は意味深にニコリと笑みを返してくる。

 「裏側の理由」―――、政治的な事情か。

 そのまま話し始めるのかと思いきや、嬢ちゃんの目が俺に向いた。


「・・・携帯電話の存在自体はドネルクさんが知ってしまったわけだし、自動車がはテツさんたち自身が使うでしょ?」

「そうだな」

 否定する要素もねえから、そのまま肯定する。

 嬢ちゃんが伝えたいのは、王都における政治的なパワーバランスの現状だったらしい。


「・・・王都に出入りして活動する以上、間違いなく目立って王宮にも噂が伝わるし、王様とドネルクさんが出来るだけ王宮を抑えてくれるとは思うけど、王様は政治的な理由で強硬な手段での抑え込みはしないだろうしね。ドネルクさんは騎士団長を務めていた頃よりも、どうしても影響力が下がっちゃってるから」


 ドネルクは信用できる味方だが、現役の騎士団長から退いたことでの影響力低下は必然ってか。

 そりゃあそうだろうな。

 だが、そいつは織り込み済みの話だろう。


「それでウォーレス家が防波堤になるんだよな?」

「・・・うん。表面上、お父様とお母様は隠居したことになっているけど、まだまだ現役なことは誰でも知ってる。つい最近にも王国中に武名を轟かせたからね」

 俺の確認に嬢ちゃんは淀みなく頷いた。

 前伯爵というか、ウォーレス家は表面上の代替わり程度で誤魔化せねえほどの恐怖心を国内貴族に植え付けたらしい。


「よほど怖がられてるんだな」

「・・・そりゃあね。2ヶ月間も掛からずに10個近くの領地を攻め落としたんだから怖いでしょ。ウォーレス領の名前を前面に出して王宮や貴族からの干渉を封じ込めてしまわないと、あちこちから狙われて王都に居ても危険だと思うよ」

 なるほどなぁ。

 ドネルクの影響力低下は俺たちが思うよりも大きかったてことか。


 いや・・・。嬢ちゃんは、さっきから国王と王宮を分けて話してるな。

 王宮―――、国内貴族の権力は国王に対抗できるほど強えってことか。

 俺が想像していた王権制のパワーバランスと違うな。


 そいつは要注意だ。

 ドネルクだけじゃあ王宮を抑えきれねえ可能性が有るからこそのウォーレス家の名前で、ドネルクには抑止力よりも緩衝材の役目を期待した方が良さそうだな。

 レイクスも納得顔で天を仰いだ。



南の町㊵です。


パワーバランス!?

次回、婚姻外交!?



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王家への繋ぎを約するフィオレちゃん テツさんに魔道具開発の促進を 自衛官が詳しいのは自身が使う武器類かと 兵器開発者かよっぽどのミリオタじゃないと≈≈懐かしの戦国自衛隊シリーズ小説も映画も悲劇だったな…
2026/06/30 19:09 あかマント
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