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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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南の町 ㉗

「あの肉、食えるのか?」

 穴底にウジャウジャ居るんだが、アレ全部が魔獣なんだろ?

 肉の安全性に疑念を抱いたのが逆鱗に触れたのか、フィオレの嬢ちゃんがグルンと俺に顔を向けてきた。

 目がマジだな。


「・・・食べられるに決まってるじゃん。内戦中には加工したお肉を戦地へ大量に送ることで敵の食料買い占め工作を無効化したよ。どんどんお肉が獲れるから領内ではお肉が安く食べられるし、内戦後も余剰分は干し肉に加工して国内への輸出に回してる。輸出分は領外へ持ち出すときにしっかりと税金を取ってるから、ウォーレス領はものすごく儲かってるんだよ」

 お、おう。そうなんだな?


 柳眉を逆立てて口を挟む隙がないほどの早口で捲し立てられた。

 鹿が、というよりも食い物が地雷か?

 この嬢ちゃんは意外と短気っぽいから、迂闊なことを口走らないように気を付けねえとな。


「へぇ。永久に枯れることのない、“肉が湧き出る泉”ってわけだ」

「迷宮って儲かるんだねぇ」

 現実的にモコモコと肉が湧き出たらホラーなんだが、肉片を1枚取り上げて皿に載せればホラーには見えねえもんな。


 世の中には知らない方が良いモノってのは有るもんだ。

 出所が何だろうが、それで腹を満たせて儲けられるのなら大した問題じゃねえか。

 レイクスと2人で持ち上げてみれば、嬢ちゃんが落ち着きを取り戻す。


「・・・だから、新しい迷宮で採れる砂糖にも、ものすごく期待してる」

「迷宮、様々だな」

 ダンジョンが生み出す資源で財政を支える、なんて描写はフィクションでは普通に出てくるが、現実のものとして目にしちまうと不思議なもんだな。


 目に見えねえし手に触れられねえし、呼吸しても害のない空気みてえなものから生き物が湧いて出て食えるんだぞ?

 こんなもん、農業革命どころの騒ぎじゃねえし、肉のオマケに換金性が高い魔石まで付いてくるんだから儲からねえわけがねえ。


「・・・あくまで、収益の柱の1つでしかないけどね。ウォーレス領は、元々、軍馬の名産地だったし、領内に鉄鉱山も持ってる。」

「そこへ岩塩と鹿肉と砂糖の輸出が加わったのか。そりゃあ隣国が攻めてくるわけだな」

 川1本を隔てた隣に山盛りのお宝を吐き出す宝箱が有るんだから、現代文明国だって欲を出すだろう。

 未だに同冷静なんてものが現役の発展途上文明なら、なおさらだ。

 心配顔でレイクスが嬢ちゃんを見る。


「そんなに儲けてどうするの? 1ヶ所に富が集中すれば、別の問題も起こりそうだけど」

「・・・王国全体を守る軍備を整えようにも、こんなものでは、まだまだ足りませんよ。でも、だからこそ治癒魔法術師や騎士を育てる学校を作るんです」

 レイクスの懸念を嬢ちゃんが蹴り飛ばす。

 ほう。国全体? 面白えことを言い出したな。


「儲けた利益を学校への投資に回す・・・? 領外からも人を受け入れることで、貸しを作って黙らせるってことか?」

「・・・そういうことです」

 澄まし顔の嬢ちゃんがコクリと頷く。


 レイクスも感心してやがる。

 国全体の事業として形を変えた利益が分配される。

 しかも、ダンジョンが有ってはじめて生まれる利益だから、土地を奪わねえ限り利益の源泉を奪われることもねえ。


「国王もよく黙っているものだと思ったけど、関係は悪くないみたいだね」

「・・・エゼリアさん―――、お母様の妹が、近くドネルクさんの奥さんになるんですよ。ドネルクさんは王妃様のお兄さんだから、元々、親戚だったウォーレス家と王家の距離は、さらに近くなります。ルナリアとテレサ―――、第三王女殿下は再従姉妹ですしね」

 王家との距離が近い上に強い軍隊を持っていて、戦費を賄えるカネも儲けていると。

 何で内戦の主役が王家じゃなく“南部の雄”なのかと不思議に思っていたが、これが理由っぽいな。


「それで王家に代わって領土の端から反対側の端まで軍隊を出してたのか?」

「・・・先日の内戦当時は、お母様が国の要職に就いていたんだよ。まあ、発端がルナリアと私だし、ウォーレス家が出兵を決めた“物証”も私だし」

 俺の質問にフィオレの嬢ちゃんが首を振る。


 穴底を見下ろしていたルナリアの嬢ちゃんも、穴底から顔を上げて真面目な表情で手摺りに背中を預ける。

 ほう? 何か裏の事情が有りそうだな。

 不穏な言葉にケイナも眉を顰めている。


「フィオレが物証?」

「・・・色々と有ってね」

「そうね。色々と有ったわ」

 嬢ちゃんたちが2人揃ってアンニュイな息を吐いた。


 髪の色も金銀で違う2人の顔を見比べる。

 この嬢ちゃんたちは四六時中2人一緒に居て、姉妹みてえに仲が良い、つーか、姉妹なんだよな?

 両親の再婚で姉妹になるって話だったが、どこからどう見てもフィオレの嬢ちゃんは毛色が違う。

 もっと具体的に言えば、フィオレの嬢ちゃんは民族が違う。


 王都でも金髪から茶髪の髪色しか見なかったしな。

 恐らくだが、嬢ちゃんは外国人なんだろう。

 外国ねぇ・・・。

 外国人と言えば、うちの連中も外国人だったな。



南の町㉗です。


食べ物ネタは地雷!?

次回、旧縁!?

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外国人⇔エクラーダ・エルフ・獣人族・(ナイショの吸血種)・地球人種(勇者)なかなかのラインナップっすな 欠食児童のトラウマ刺激したらいかんわテツさん 国家事業の裏側まで聞かされたら引き返すのは無理よ(…
2026/06/17 14:34 あかマント
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