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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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南の町 ㉑

「・・・ネイアさん! オーリアちゃん! 護衛お願い!」

「「はっ!」」

 慌てた様子の嬢ちゃんが女性騎士に指示を出し、階段を見上げた女性騎士たちがルナリアの嬢ちゃんたちの後を追う。


 危険はないと言っていたが、やっぱり魔獣だもんな。

 レイクスたちが上っていった木製階段を見上げれば、城壁と変わらねえ高さに足場が有って人影が見える。

 高所作業中ってわけか。

 魔獣も高所も危険だから、護衛、兼、お目付役で女性騎士たちを付けたんだな。


「・・・猟師さんたちは?」

「崖上の回収へ向かいました」

 フィオレの嬢ちゃんに質問された兵士が即答する。


「・・・出荷作業は?」

「上で子供たちがやってますよ」

 一問一答で返ってきた答えに、嬢ちゃんが心配そうな目を上空の足場へ向けた。


「・・・子供たちだけで作業を?」

「もう手慣れたもんですよ」

「・・・そっか。ありがと」

 一兵卒の答えにも嬢ちゃんは礼を述べた。


 嬢ちゃんの様子に兵士は微笑ましそうに目を細めていたが、建設現場における安全管理で“慣れ”から来る油断は大敵なんだよ。

 だからこそ、“指差し確認”が推奨される。

 それを分かっているらしい嬢ちゃんが俺たちの方へ目を向けてきた。


「・・・私たちも行こっか」

「はい」

「おう」

 嬢ちゃんの後に付いて木製階段を上がりかけて足を止める。


 大丈夫か? コレ。

 遠目に見たときから大体の想像は付いていたが、城壁の内側に貼り付くように設置された櫓の内側に、細めの丸太を束ねた階段がつづら折りに据え付けられている。

 緊結方法はロープで、建設金物のような補強材が使われている様子はねえな。


 踏み割って壊さねえように気を付けながらドンドンと踏んで階段の強度を確かめる。

 (たわ)みもガタつきもねえみたいだが、根本的な部分で不安を覚えちまうなぁ。

 アンカーボルトなんて贅沢は言わねえが、(かすがい)ぐらいは欲しい。


 “鎹”ってのは、アレだ。

 「コ」の字型の太い釘で、2つの木材を橋渡しするように撃ち込んで木材同士を繋ぎ止める建築金物で、“子は鎹”って諺ことわざのアレだな。

 あんなもん簡単な構造で素人にでも作れるもんだろ。

 鍛冶師に教えて大量生産させりゃあ良いじゃねえか。


「なあ。敵の侵攻を防ぐには、ちょっと脆弱じゃね?」

「・・・脆弱というと?」

 不満―――、というか、不安をぶつければ嬢ちゃんが銀髪頭を傾げる。


「木材そのものがどれだけ強くても、背が高すぎるんだよ。直立した丸太を繋いでるのは横向きの“梁”だけだろ? この構造だと梁や接合部の耐久力を超える圧力や衝撃が加わったら、全体が一気に倒れるかも知んねえぞ」

 城壁の天辺を指し示せば、嬢ちゃんには理解できたようで難しい顔で頷いた。


 まあ、元日本人なら、俺が言っている意味は理解できるわな。

 ただ、今、この場で言ったところで、どうにも出来ねえんだろう。

 どうにも出来ねえことは諦めて、嬢ちゃんの後に付いてゾロゾロと階段を上り始める。


「・・・まあ、確かに。緊急で建てたから仮設の城壁だし、落ち着いたら石材を使った砦に建て替えるって聞いてるけどね」

「仮設か。それならまあ、仕方ねえな」

 嬢ちゃんの返事に納得する。


 そういやあ、このウォーレス領では建築物のほとんどが四角い石材を積み上げた石造りなんだよな。

 アレはアレで、噛み合わせて積み上げる石材に縦穴を空けて鉄筋を差し込めば、ブロック塀みたいに横揺れで石材がズレることを防げるんだが、提案するべきか?


 かと言って、町の城壁や領主館なんかのデケえ建築物には継ぎ目がなくて、3Dプリンターで出力したような一体構造に見えた。

 3Dプリンターで建てる建築物の場合は“積層構造体”だっけか?

 そういった工法とも違ったように思う。


 こっちの世界には魔法が有るから、斜め上の工法が有ってもおかしくはねえんだよなぁ。

 あの城壁や戸建て住宅の工法の違いはよく分かんねえが、どうなってんだろうな?

 俺の顔を見上げて嬢ちゃんが苦笑する。


「・・・本当に急いでたんだよ。内戦のときに神教会勢力の分断工作を無効化するのに領有宣言を急いだら、隣国からの侵攻を早めることになってね。実際、この採掘場でも敵の潜入部隊との交戦が有ったし」

 嬢ちゃんの説明に驚くと言うよりも呆れちまった。


 この採掘場が有るのはレティアの町から相当奥へ森に入った辺りで、10キロメートルぐらいは距離が有ったはずだ。

 しかも、国境線ギリギリにレティアの町が有って護りを固めているのだから、あちこちに触角ヘビだの犬っコロだのが潜んでいる森の中を迂回してきたんだろう。

 それって、かなりの冒険じゃね?

 

「こんな森の中にまで敵軍が攻め入ってくるんだな」

「・・・この採掘場を奪うのが敵の目的だったから。でも、もうここまでは来ないんじゃないかな」

 俺の表情を確かめた嬢ちゃんが安心させるように首を振る。

 何か、自信が有りそうだな。


「なんで来ないと言えるんだ?」

「・・・渡河地点に新しく防衛拠点を置いたからだよ。ただまあ、そっちを建てるときに迷宮を発見しちゃったんだけどね」

 ほーん? 将棋で言えば、“金将”や“銀将”の前に“歩”を置いたようなもんか。

 嬢ちゃんの説明にケイナが食い付いた。



南の町㉑です。


一体成形建築物!?

次回、ダンジョン!?

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大河サーガ フィオレ一夜砦の談o(^o^)o
2026/06/11 16:59 あかマント
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