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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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転生者 ⑥

「それは、魔力―――、魔素が意志を持ったもの、と考えれば良いのだろうか?」

 エレぇ真剣な表情だな。

 好奇心とか、そんなレベルじゃねえぐらいに目が輝いていて、期待と喜びに落ち着きをなくした子供みてえなんだが、声だけは落ち着き払っている。

 前伯爵から投げ掛けられた問いにレイクスが頷く。


「そんな感じだね。意志―――、いや。自我と言った方が正しいのかも」

「へぇ~。魔力なのに生きてるんだ?」

 3人の中で一番落ち着いている金髪の嬢ちゃんが軽い調子で感嘆の声を上げる。


 あ~。アレな。レイクスの答えに俺も思い当たることが有る。

 ケイナがちょくちょく誰も居ない宙に向かって1人で話してるヤツだ。

 もう1人、銀髪の嬢ちゃんも表面上は落ち着いて見えるんだが、母親と同じぐらい目が輝いている。


「・・・どうすれば見えるの? ―――あ、いや。そうじゃないな。精霊魔法って、どうすれば使えるようになるの?」

「存在を感じ取るのが最初でしょうか。自分の意志とは関係なく魔素が騒ぐことは有りませんか?」

 ケイナが答えを返すと銀髪の嬢ちゃんは自分の胸を見下ろして手を当てた。


「・・・有る。ご祈祷の祝詞のときも大騒ぎして大変だったよ」

「私は子供の頃に、一時期、魔力の制御に困ったことが有ったな」

「わたし、感じたこと無いんだけど」

 銀髪の嬢ちゃんに引き続いて、記憶を探るようにした前伯爵が頷き、金髪の嬢ちゃんが不満そうに唇を尖らせる。

 その様子に笑い返したケイナが目を凝らすように金髪の嬢ちゃんを見つめた。


「ルナリア様―――、ルナリアに憑いているのは土の子のようですから、大人しいのですよ。ああ。風の子も憑いていますね。フレイア様には、6属性の子が憑いていますよ。フィオレにも6属性の、―――あら? 他にも変わった子が憑いていますね」

 金髪の嬢ちゃんの名前を敬称なしに言い直したのは、友人になろうとするケイナなりの姿勢だろう。

 テーブルを挟んだ対面側へ順々に目を向けて答えたケイナが首を傾げ、銀髪の嬢ちゃんが顔を上げた。


「・・・変わった子?」

「これは・・・、植物? 何かの木から生まれた子かも知れませんね」

「・・・木!?」

 目を凝らしているケイナの推測に、大きく目を瞠って息を呑んだ嬢ちゃんがテーブルの上へガバッと身を乗り出した。


「・・・見たい!! どうすれば見られるの!?」

 何だ? どうした? 必死さを感じさせる銀髪娘の姿に前伯爵も金髪娘も目を丸くしている。

 訴え掛けられたケイナは目を細め、銀髪娘を落ち着かせるようにゆっくりと答える。


「精霊の存在を感じ取ってください。そこに居ると信じて、何を伝えたがっているかを感じ取れるようになれば、そのうち見えますよ」

 慌てて腰を下ろした嬢ちゃんは大事そうに両手を自分の胸に当てた。

 銀髪の嬢ちゃんに触発されたのか、前伯爵と金髪の嬢ちゃんも自分を胸を見下ろして集中し始める。


 話し相手を放ったらかして始めんなよ、と思う部分は有るが、まあ構わねえ。

 女としては強面とも言える前伯爵の意外な一面を見られたことも有るし、頭のキレや子供らしからぬふてぶてしさが目立つこの銀髪の嬢ちゃんが子供らしい態度を見せたことへの安心感も覚える。

 何より、この母娘、本当に魔法が好きなんだなと感じさせられる姿に微笑ましさを感じる。


 1分―――、いや。2分間ぐらいか。

 何が起こるのかと3人を見守ってると、銀髪の嬢ちゃんが「あっ」と小さな声を上げた。

 どうかしたのかと目を向ければ、嬢ちゃんは胸の前で両の手のひらを開いて何かを受け止めようとする仕草をしている。


 こりゃあ、アレか。

 目に見えねえアイツらか?

 相も変わらず俺の目にはマントマイムをしているようにしか見えねえんだが、成功したんだろう。

 おめでとう、と声を掛けるべきかと口を開きかけたが、様子がおかしいな。

 大きく見開いた嬢ちゃんの目に、みるみる内に涙が湧き上がってポロポロと頬を伝い落ちる。


「・・・ずっと・・・。ずっと傍に居てくれたんだ・・・」

 お? どうした、どうした? と少し驚いたが、嬢ちゃんの呟きに状況を察する。

 どうやら嬉し泣きってヤツっぽいな。

 噛みしめるような呟きを耳にした金髪娘が、銀髪娘の様子に気付いて優しく目を細める。


「フィオレ・・・」

 椅子から腰を上げた金髪の嬢ちゃんが腰を屈めて、隣の席に座っている銀髪の嬢ちゃんを抱きしめた。

 前伯爵も娘たちの様子に目を細めている。

 頭をヨシヨシと撫で始めた金髪の嬢ちゃんに、心配そうに表情を曇らせたケイナが声を掛ける。


「フィオレは、どうしたのですか?」

「木かなぁ。本当に木の精霊が居るのなら、フィオレにとって特別なんだと思うわ」

 推測を口にする金髪の嬢ちゃんは銀髪頭を撫で続けていて、自分のことだと気付いている銀髪の嬢ちゃんは涙が止まらずに声が出せない様子でコクコクと頷いている。

 心配は無さそうだな?


「そうなんですね。フィオレが特別に思っているから、その子もフィオレに憑いているのかも知れません」

 金髪娘の答えにケイナも納得顔で目を細めた。

 前伯爵たちの様子を見る限り、何か色々と有ったんだろう。


 他所様の家庭事情にいちいち首を突っ込むもんでもねえし、必要が有れば話すんだろうしな。

 向こうが話してくるまでそっとしておいてやれば良い。

 銀髪頭を撫でる手を休めない金髪の嬢ちゃんがコテッと首を傾げる。



転生者⑥です。


アイツらのせい!

次回、嫌な記憶!?


※ 今日も遅刻です!

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