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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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転生者 ⑤

「ケイナと歳の近い者が誰も居なくてね。僕らエルフ族は、もう100人ほどしか生き残っていないんだよ」

「・・・よく分からない、というのは、そういうことですか」

 エルフ族の現状を明かしたレイクスの言葉に銀髪の嬢ちゃんが痛ましそうに頷く。


 前伯爵は目を怒らせ、金髪の嬢ちゃんは悲しそうな表情になっている。

 金銀の嬢ちゃんたちだけでなく前伯爵も善良な人間らしい。

 多少、取っ掛かりは強引だったが、あの態度も善意から保護しようと考えてのことだったのだろうと、今は素直に信じられるな。


「・・・ケイナちゃん? 誰にだって知らないことは有るよ。友だちって、レイクスさんとテツさんみたいな関係のことなんだけどね」

「兄様とテツさんのような関係・・・」

 銀髪の嬢ちゃんに諭されてケイナの目が俺たちに向く。


 俺は結構、誰とでも直ぐに仲良くなる方だが、のほほんとしているように見えるレイクスは意外と慎重でガードが硬え。

 それでも直ぐに深い仲になれたのは、俺とレイクスの波長が合ったんだろう。

 この嬢ちゃんたちとケイナの波長が合うのかはまだ分かんねえが、ケイナは慎み深いし、この嬢ちゃんたちも相手を慮れる性質を持っている。


 良好な関係は築けるだろうが、そこから先はどうなるか。

 本人の性格的な問題も有るからなあ。

 俺の心配を他所に、銀髪の嬢ちゃんがさらに歩み寄る。


「・・・知らなければ、これから知っていけば良いんだよ」

「これからは、わたしたちが居るから大丈夫よ!」

 金髪の嬢ちゃんもさらに踏み込んできた。

 なかなかにグイグイ行くなぁ。


 この嬢ちゃんは図々しさも持ち合わせてると感じていたが、それが良い方向に転がる可能性も有る。

 こりゃあ俺が心配するよりももっと、ケイナの良い友人になってくれるかもな。

 レイクスも俺と同じ印象を持ったみたいで、隣に座るケイナの顔を覗き込む。


「良かったね。ケイナ。初めての友人じゃないか」

「嬉しくは有るのですが、お二人に加えて王女殿下まで・・・。本当に良いのでしょうか」

 おっと。ここまで歩み寄られてもケイナは困惑が顔に出ちまってるな。

 見かねたようで、前伯爵もケイナに笑い掛ける。


「気にするな。テレサはルナリアの又従姉妹に当たる。テレサにとっても王都での友人は必要でな。王都で困ったことになったときはテレサを頼ると良い」

「はぁ・・・」

 こいつは参ったな。俺が思ってたよりもケイナは頑固だったらしい。


 いや。ケイナの実年齢は俺や前伯爵よりも年上だからな。

 当然、見た目通りの子供じゃねえし、政治的な面なんかの大人の事情も考えて慎重になってるんだろう。

 俺も背中を押してやるべきかと口を開きかけたところへ、銀髪の嬢ちゃんが再び口を開いた。


「・・・あのね? ドネルク叔父様を通じて国王陛下と接点を持つ以上、円満な関係を構築した方が良いでしょ。取引関係に有る大人同士では言いにくいことやお願いしたいことでも、お友だちなら言いやすいことも、お願いしやすいことも有るんじゃない?」

 この嬢ちゃん。損得勘定どころかコネの使い方まで教えやがった。


 ケイナの奥ゆかしさは美点なんだが、別の角度から見れば引っ込み思案で勝機を逃しかねない未熟さとも受け取れる。

 そんなケイナの傍に置く人間として考えれば、目一杯まで手札を使えと唆す嬢ちゃんの逞しさが頼もしい。

 俺の言いたいこと以上の説得に同意するしかねえ。

 ケイナの背中を押してやるなら、このタイミングで良いだろう。


「そいつは一理あるなあ」

「そういうものなのですね」

 俺が同意を示してみせれば、安心したようにケイナも表情を緩めた。

 態度を軟化させたケイナの様子に目を細めていた前伯爵も決着したと判断したのか、それまでとは違った感じに目を笑わせる。


「ところで、さっき気になることを言っていたな。私たちに精霊が付いているとか」

「はい。普通は自分に憑いている精霊しか見えないものらしいのですが、私は他人に憑いている精霊も薄らと見えるのです」

 自分の特技を正直に明かしたケイナの返事に、意表を突かれて笑う余裕も引っ込んだらしい前伯爵がこめかみを指先で揉む。


「待ってくれ。自分に付いている精霊を見ることが出来るのか?」

「コツを掴めば見えますよ。精霊は自分が気に入った人間にしか憑かないのです。何を気に入って憑くのかはよく分からないのですが、多くは体内の魔素が多い人間を気に入るようです」

 前伯爵も驚いているが、金銀の嬢ちゃんたちも目を真ん丸にして驚いている。


 俺にも憑いてるとか前にケイナが言っていたが、見えねえもんを気にしても仕方なくね?

 見えねえし触れねえし気配もねえんだから居ねえのと同じだと思うんだが、魔法を使うヤツにとっては重要なのかもな。

 いち早く再起動した銀髪の嬢ちゃんが首を傾げる。


「・・・精霊ってどういうものなの?」

「何なのでしょうね? 兄様は魔素の塊だと仰っていましたけど」

「そうだよ。意志は有るけど、在り方は単なる魔素の塊だね」

 嬢ちゃんの質問にケイナとレイクスが答える。

 状況を呑み込んで立て直したらしい前伯爵が再び口を開く。



転生者⑤です。


唆し!?

次回、涙!?

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