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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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転生者 ③

「そうなのですか?」

「・・・ゴーレムの傍でテツさんと話していたのは、その件」

 嬢ちゃんが目を向けているのはケイナだ。


 よほど驚いたらしく、嬢ちゃんの暴露にケイナが目を真ん丸にしている。

 これは“〇ーもくん”の前でケイナがヤキモチを焼いたときに言っていた話か。

 子供のヤキモチなんてものを意に介さないだろう前伯爵が嬢ちゃんへ目を向ける。


「なぜ、バレたんだ?」

「・・・あのゴーレム―――、“獰猛くん”って、日本ではそこそこ知名度が有る空想上の生物を基にしてるんだよ」

 実際の理由は分からねえが、日本での記憶を持っていることは家族内だけでの秘密にしてたんだな。


「ああ。テツ殿も知っているから、作った者が分かれば、お前の身の上も分かるという理屈だな」

「・・・うん。私が迂闊だった」

 事情を聞いた前伯爵はアッサリと納得する。


「まあ。仕方あるまい。咄嗟に想像できるものなど選んでは居られん」

「・・・ごめんなさい」

「もう良い」

 フッと笑みを浮かべた前伯爵が娘のヘマを軽く蹴り飛ばす。


 この姉ちゃん、マジで男前だな。

 ただでさえビジュアルが整っている上に性格までタカラ〇カ系と来れば、日本でSNSでもすれば間違いなくバズって教祖化するだろう。

 大体の事情は察した、というよりも、何となくの憶測が確定情報になったな。


 だとしても、どう接するのが正解なのか答えは出ていねえ。

 場合によっちゃあ、メチャクチャ面倒臭え立場だろ。

 つーか、この前伯爵、アッサリと嬢ちゃんのヘマを許したのは、俺たちを始末して口封じすれば情報は漏れねえとか考えてるんじゃねえだろうな?


「嬢ちゃんも勇者なわけか」

「・・・私は勇者じゃないよ。私の体は、こっちの世界の人間だし」

 再確認する意味で訊いてみれば、嬢ちゃんは明確に首を振って否定する。

 否定はしたんだが、気になることを言ったな。


「んん? 体は? 元、ってのは?」

「・・・私、日本で死んだんだよ。そして、どういうわけか、こっちの世界で目覚めたら今の体に入ってた」

 淡々と告げる銀髪の嬢ちゃんだけでなく、前伯爵も金髪の嬢ちゃんも動じる様子がねえ。


 ちょっと、にわかには信じ難い話だが、否定する材料はねえな。

 むしろ、テレビどころか電話も存在しねえ世界に“ど〇もくん”という物証を持ち込んでいる以上、転生者、あるいはイタコみてえな霊能者であることを否定する方が難しい。


「異世界転生。“生まれ変わり”ってヤツか・・・。本当に有るんだな」

 俺の周りには色々なヤツらが居たが、精々が霊感が強くて幽霊が見えると自称する程度で、さすがに転生者は居なかったなぁ、と考えながら、銀髪の嬢ちゃんの顔を眺める。

 ところが、嬢ちゃんは目を真剣にしたままだ。


「・・・この件を知ってるのは、お母様とルナリアとお父様とミセラさんたちの数人だけだから、知らない人たちの前で余計なことを喋らないで欲しいんだよね」

「喋りゃしねえけどよ。ああ~。あんときのアレは、そういう意味だったんだな」

 “どー〇くん”を前に、何か必死に“黙れ”とジェスチャーで訴えてきていた姿を思い出す。


 情報ってのは“価値”だ。

 “雄弁は銀、沈黙は金”って言葉も有るが、アレにも色々な意味が有る。

 ベラベラ喋ったところで情報そのものも喋っている奴の人間性も値打ちを下げるだけで、プラスは生まねえ。

 満たされるのは自尊心と優越感だけだ。


 余計なことを喋らねえ姿勢と自制心が“口の固いヤツ”という信用を作るし、テメエの軽挙妄動を律する精神性は“冷静な見極めができるヤツ”と評価を高める取っ掛かりになるもんだ。

 著作権的にヤバそうな巨像を前に自分が獲った行動が正解を引いていたことに安堵する。

 だが、嬢ちゃんの言いたいことは、もっと根の深い問題に繋がっていた。


「・・・大事なことだよ? テツさんが居て、ケイナちゃんたちが居て、中身が元日本人の私が居る。しかも、私の体は勇王国に滅ぼされた国のお姫様だったらしいし」

「こっちも亡国の姫様か。勇王国ってことは神教会絡みだな」

 漏れそうになった溜息を喉の奥へ押し込んで堪える。


 ケイナも大概だが、この嬢ちゃんも属性モリモリだな。

 しかも、どれもこれもが最大の敵―――、神教会に繋がってやがる。

 真剣な目で嬢ちゃんは釘を刺しに来る。


「・・・そういうこと。私たちの誰か1人だけでも、神教会勢力を引き寄せ兼ねないのは分かるよね?」

「了解した。こっちも今のメンバー以外には話さねえと約束する」

 この手の隠し事は知る者が少なければ少ない方が良い。


 承諾を返せば、俺たちと向かい合う嬢ちゃんたち3人の空気に安堵の色が雑じった。

 この件は一件落着ってことで良さそうだな。

 同じ秘密を共有する仲ってのは関係を深めるもんだが、泥沼の深みに嵌まる一面も有るから気を付けねえとな。


 呉越同舟、いや、一蓮托生か。

 完全に絡め取られた感じも有るが、ここまで来れば、もう今さらだな。

 合意が成ったと見て取ったレイクスがテー振りの上へ身を乗り出す。



転生者③です。


著作権的にどうする!?

次回、交換条件!?


※ こっちも遅刻です!

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― 新着の感想 ―
「レイクスがテー振りの上へ身を乗り出す。」 「レイクスがテーブルの上へ身を乗り出す。」ですよね
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