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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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ディール ⑭

「アダレー王の孫だと・・・?」

 ドネルクが見せた態度に問題の所在を考える。

 森で会った時点で、銀髪の嬢ちゃんは“俺が何者か”を事前に知っていた気配が有った。

 それは前伯爵もだ。


 ゴーレムを見たときの俺に対して嬢ちゃんが見せた反応から、嬢ちゃんは俺が日本人だと確信を持っていたことは確定している。

 しかし、嬢ちゃんはケイナたちがエルフ族であることには気付いていなかった。

 一方、前伯爵は会話の中でレイクスが用いた単語から、レイクスたちがエルフ族だと看破したと証言している。


 そして、ドネルクは俺たちの詳細情報までは話していないという。

 ドネルクに“俺たちのと付き合い方”を訊きに来させたのは誰か?

 最近までこの国のナンバー2かナンバー3の立場に有ったドネルクに命令できる奴なんて、この国の国王しかいないだろう。

 そのわりに、王都を発つ前のドネルクは、俺たちがウォーレス領へ足を運ぶようには仕向けていなかった。


 これはもしや、“タイミングの問題”か?

 ドネルクは軍人であると同時に上級貴族だ。

 国王直々の命令で動く奴が根回しをしないとは考えにくいな。


 森で俺たちの顔を見たドネルクは、「なぜここに居る?」と訊いた。

 となると、“事前の根回しをしに来ていたところへ俺たちが現れたのは想定外だった”ってことか。

 俺の“勘繰りすぎ”と考えて良さそうだな。


 前伯爵もエルフ族との縁を明かし、自分の剣をレイクスの手に預けることで敵対の意志がないことを示している。

 このエルフ族全体の命運が掛かった場面でレイクスもまた正体を明かし、前伯爵たちを受け入れる姿勢を見せている。

 レイクスは前伯爵たちを信用の置ける相手だと判断したんだろう。


 だったら、ここまでの経緯に俺がどうこう言うもんじゃねえな。

 エルフ族の生存を明かしちまった以上、状況は次の段階(フェーズ)へ移ったと考えて良い。

 俺の肩から力が抜けるのと同じように、金髪頭の嬢ちゃんが気の抜けた声を上げた。


「アダレー王って?」

「・・・エルフ族の国の王様だよ」

「ああ~」

 子供同士でテストの答え合わせをしているような金銀娘たちのやり取りに、ピリピリと警戒するのが馬鹿馬鹿しくなってくる。


 こっちの金髪の嬢ちゃんはガス抜き要員か。

 表情がコロコロと変わるところからも、金髪の嬢ちゃんの素直な性質は感じ取れる。

 興奮した銀髪の嬢ちゃんの暴走を止めるブレーキ役も果たしているみてえだしな。

 銀髪の嬢ちゃんが曲者だから、良いコンビなんだろう。


「ケルトレイオス陛下は、エルフ族最後の国、旧エルヴィン王国の最後の王だ。魔法道具に造詣が深くて、対魔族大戦の勝利に多大な貢献をされた人類の恩人とも言えるお方でも有るな」

「貴女は本当によく学んでいらっしゃる。未だに覚えてくれているヒト族が居ると知れば、お祖父様も喜んでくださると思うよ」

 娘たちに教えるように前伯爵が爺さんと亡国の概略を述べ、レイクスが称賛するように目を細めて笑う。

 レイクスの追認を得た前伯爵が喉の奥から低い笑い声を漏らす。


「なるほど、なるほど。我らが国王陛下は、旧アダレー王家の末裔とどう向き合えば良いかと意見を求められたわけだ」

 うーわ。引くわー。

 この女、やっぱりヤベエ。


 愉悦に満ちた笑みを浮かべているが目は完全に据わっていて、今にも人を殺しそうな気配を全身から放っていやがる。

 しかも、手元にはマジモンのサーベルだ。

 絵に描いたような“気違いに刃物”じゃねえか。


 (ことわざ)を絵に描いたようなヤツは俺の仲間ダチにも何人か居るけどよ。

 この女の場合は見た目がハリウッド女優みてえな美人だから余計にヤバく感じる。

 日本にいたら秒で通報されて警察の職務質問を受けるタイプのアブナイ女だぞ。


「いやいや! 陛下はエルフ族の生き残りをどう匿かくまえば良いかと判断に困られただけで、まさか旧王家の末裔だとは、俺も今、初めて知ったんだぞ!」

「今知ろうが明日知ろうが、そんなことはどうでも良い。神教会が何と言おうが知ったことか。陛下が困られているというならケルトレイクス殿たちはウォーレス家が保護する」

 血相を変えたドネルクを前伯爵はけんもほろろに弾き返す。


「待て待て! 神教会と戦争を始める気か!?」

「神教会のクサレ坊主どもなど私たちが―――」

 ギャンギャンとケンカを始めたドネルクと前伯爵たちをそのまま放置して、銀髪の嬢ちゃんが俺に目を向けてきた。


「・・・テツさんたちは、どう考えてるの?」

「おう? 俺たちか?」

 事態の中心にいる当事者へ意思の確認を向けたことで、ドネルクと前伯爵がピタリと口を閉じる。


「・・・腹を割って話そう。―――ドネルク叔父様も」

「了解した・・・」

 嬢ちゃんが俺からドネルクへと視線を移すと、バツが悪そうにしたドネルクが了承を返す。

 ドネルクが一瞬で鎮圧されたことで、母親の前伯爵もバツが悪そうにしている。

 これもう、どっちが大人なのか分かんねえな。



ディール⑭です。


ガス抜き要員!?

次回、交渉!?


※ ちょっとだけ遅刻です!

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― 新着の感想 ―
>生き残りをどう匿かくまえば良いかと ルビの誤りかな? >俺の仲間ダチにも何人か居るけどよ ここの「仲間ダチ」もかな
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