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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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ディール ⑦

「皆、ご苦労」

「お帰りなさい! ―――、これは大物ですね!」

 前伯爵の労いに、部下らしい騎士たち兵士たちが歓声を上げている。


 木々の切れ目から森を出ると、視界が開ける開放感と共に一気に照度が上がって眩しさに目を細める。

 今はまだ日差しの弱い冬の季節らしいんだが、薄暗い森の中と直射日光の下では明るさを較べるまでもねえ。

 ここは街道沿いだな。

 前伯爵たちのものだろう多数の馬が足元の草を食っていて、数台の馬車が停められている。


 数百メートル先には街道が横たわっているのが見えていて、街道の向こう側にはどこかの町が有る。

 頭の中に地図を思い浮かべて地名に中りを付ける。

 まあ、中りを付けるまでもなく、ピーシス領の町なんだろうけどな。

 情報としては予想と大きく外れたものじゃねえし、計画通りと言える範疇だ。


「うーむ・・・」

 ところがだ。

 俺の口から意図せず唸り声が漏れる。

 気持ちの良い冬晴れの空を見上げる前に、俺たちは馬鹿デカい異物に目を奪われちまって青空どころじゃなくなっちまっていた。


「すごく・・・、大きいです」

「ほほーう!」

 ケイナちゃんよ。放送事故扱いになりそうだから、それは止めなさい。

 フラフラと馬鹿デカい置物を見に行きそうだから、目を輝かせているレイクスの首根っこを掴んでおく。


 この魔法道具オタクめ。

 どうなるか分からねえ状況なのに、身バレしそうな行動は取らせねえぞ。

 フィティオスたち4人も呆気に取られてポカーンと口を空けちゃあいるが、コイツらはまだ大丈夫そうだな。

 最悪の状況は避けられそうだと確認した上で、もう1度、俺も著作権侵害の恐れがある巨像を見上げる。


 似てるなぁ・・・。

 事前に聞いていた通り、くっそデケエし、違和感がハンパねえ。

 俺も細部まで覚えているわけじゃねえから断言できねえんだが、どう見ても某公共的放送事業組織のマスコットキャラクターに似ている気がする。


「こいつは、“ど〇もくん”か・・・?」

「・・・ぴっ!!」

 呟いた俺の後ろで変な声が聞こえて振り返る。って、誰も居ねえじゃん。


「・・・シー!! シー!!」

「うおっ!? な、何だ!?」

 さらに変な声が下の方から聞こえて視線を下げれば、至近距離で銀髪頭が俺を見上げていた。


 腹の高さぐらいの身長だから見落としちまってたみたいだが、妙に迫力のある目力で、立てた人差し指を唇に当てて奇声を上げてやがる。

 普通に考えりゃ、この「シー!」は「黙れ」ってジェスチャーだよな?


 いやまあ。その場合の「普通」は日本人同士のコミュニケーションで通じるだろうもので有って、世界的に、というか、異世界でも通じる共通認識なのか疑問を抱かざるを得ねえ。

 だって、コイツ。どう見ても、こっちの世界の現地人じゃん。


 もしかすると、この必死さを感じるジェスチャーには、「危ない! 伏せろ!」とか「頭が高い! 巨像を崇拝しろ!」とか、そんな意味が有る可能性もゼロじゃねえんだし。

 しゃーねえ。一応、確認しておくか。


「“どー〇くん”のことか?」

「・・・アレは“獰猛くん”。イイネ?」

 さらに迫力を増した目力で念押しされた。


「お、おう」

 鬼気迫る圧力に了承を返しちまったが、“獰猛くん”?

 “〇ーもくん”で“獰猛”?


 某有名スポーツ用品メーカーの商標をもじって“アディオス”とか、某有名家電メーカーの商標をもじって“PONY”とか、バッタもん臭がハンパねえんだが。

 このネーミングセンスやオリジナル名称との類似性から連想するに、考えられることと言えば―――。


「なあ。もしかして、嬢ちゃん―――」

「・・・シー!! シー!!」

 最後まで言わせずに「黙れ」のジェスチャーを押し付けられた。

 オマケに、周囲の人間に聞かれていねえか周りを見回してやがる。


「お、おう。そういうことか。分かった」

 了承を返せば、銀髪頭はホッとしたように平たい胸を撫で下ろしてやがる。

 見た目的には、そうは見えねえんだが、どうやらこの銀髪頭は日本と関係を持っていて、そのことを周囲に知られたくねえんだろう。


 知られたくねえって言うのなら、そうしてやれば良い。

 俺たちにとっては大した問題じゃねえしな、と思ったんだが、そうは問屋が卸してくれねえらしい。

 俺にとっては大した問題になりそうだ。


「テツさん?」

 ジトーッとした目でケイナに睨まれる。

 これはアレだ。「お前、他所の女と何か秘密でも抱えてんの?」って目だ。

 要するに、嫉妬心。


 子供ってのは、他所の子供を構ってやっていると拗ねることが有るからな。

 焼き餅を焼いてんのかと微笑ましく思うのと同時に、この銀髪頭と会ったのは、ついさっきだろうが、と反論したくなる。

 何だ? この状況。


 銀髪頭は、ケイナの様子を見て、何だか分からねえがウンウンと頷いてやがるし。

 ケイナはケイナで、このまま有耶無耶にすると拙そうだし。

 幼くても女の機嫌を損ねて得をすることなんてねえからなぁ。

 解決策を講じておかねえと。



ディール⑦です。


類似品!?

次回、町!?

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