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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ㊾

 ドネルクの野郎は? と探してみれば、前伯爵と一緒に先を歩いてやがる。

 状況から察するに、この嬢ちゃんたちはドネルクの目から見て信頼が置けると判断しているんだろう。

 いや。ウォーレス家ってのは公爵家だったな。

 実家から独立して侯爵家を興す前はドネルク自身も公爵家の人間で、国王との距離が近い立場だった。


 公爵って爵位を持つ連中は王族の親戚だったはずだしな。

 もしかすると、国王の指示か?

 国王―――、いや。この国にとって俺たちの存在は、1等前後賞を合わせたような宝クジの大当たりのようなもので有ると同時に、国を丸ごと拭き飛ばし兼ねねえ特大の地雷でも有るはずだ。


 しかも俺は、社会問題を引き起こした過去の有る“クラン”という組織を、自衛手段として立ち上げようと交渉している。

 この嬢ちゃんが言った「付き合い方」について、国王が頭を悩ませるだろうことは予想していた。

 予想しているからこそ、俺たちと付き合う特大のメリットを売り込んだわけだからな。


 情報を集めたところ、神教会とその仲間が勢力を伸ばしていることで、この国は外交的に追い込まれつつ有る。

 地球人の技術とエルフ族の技術は、この国が追い込まれてる外交的苦境をひっくり返せるだけの“鬼札”に成り得る。

 喉から手が出るほどに欲しいはずなんだ。


 そのわりに、クラン設立の許可も可否判断の回答が予想以上に遅えんだよなあ。

 この状況は、そっちの問題点も有っての動きか?

 王都の冒険者ギルドでの別れ際に、ドネルクは「用事で出掛ける」と言ってたよな?

 だとすれば、やっぱり国王の指示でドネルクが動いて、この南部地域まで相談に来ていたと見るのが正しいか。


 だが、それは国王側から見ての問題点だ。

 俺たちにとっての問題点は、あの野郎がどこまで喋ったかだな。

 それ次第でドネルクや国王の腹の中がある程度は読めるだろう。

 俺の態度をどう捉えたのか、銀髪頭の方から話し掛けてくる。


「・・・歓迎するから泊まっていけば?」

「あー。気持ちは有りがたいんだが街道を使って仲間を先行させててな。心配させちまうから早めに合流してやりてえ」

 ここまでのやり取りから、この嬢ちゃんが子供らしくねえ頭の回転の速さを持っていることは感じ取れている。


 言葉を選ぶような話し方の独特な間も、頭を働かせているせいだろうと予想できる。

 うちのメンバーたちのことが心配なのも嘘じゃねえんだが、邪魔の入らねえ環境で身内と作戦会議できる時間を取りてえのが本音だ。

 大暴れして逃亡を決め込むにも、仲間をピックアップしてやらねえとアイツらにまで危険が及ぶ可能性が有る。


 下手すりゃヒト族嫌いのロブウッドが俺よりも先に問題を起こす可能性も有るし、さっさと手元に回収した方が安心できる。

 やんわりと返した断り文句を銀髪頭が潰しに来やがった。


「・・・伝令を走らせるよ? あっ。でも、領境を越えたかどうか関所に確認しないと居場所が分からないか」

「ウォーレス公爵領の何とか言う町で落ち合う予定になってるんだが」

 何つったかな。女の名前みたいな町の名前だったと思うんだが、いちいち覚えてねえよ。

 最南端の国境の町だってんだから、間違えようがねえからな。


「・・・レティアの町かな?」

「おお。それそれ。その町で名所を見てえ、つっててな」

 ドンピシャで正解を返してきた銀髪頭が首を傾げた。


「・・・名所?」

「何か、馬鹿デケえゴーレムが有るんだろ?」

「・・・ど、“獰猛くん”のことかな?」

 お? 変なところで動揺したな。

 子供っぽいのが年寄り臭えのか分かんねえ微妙なネーミングセンスは横に置いておいたとしても、知恵が回りそうなこの銀髪頭にしては隙らしい隙を初めて見せやがった。


「獰猛? 何だそりゃ?」

「・・・ゴーレムの名前だよ。私が作ったの」

 興味を引かれてツッコんでみれば、気まずそうに目を逸らして答えやがる。

 何か裏が有りそうだな。


 それによ。“ゴーレム”つーのは、アレだろ?

 石やら金属やらで出来た魔法的な動力で動く自律ロボットだよな?

 ゲームキャラクターの知識だから実物がどうなのかは知らねえが、レイクスの説明だと俺の理解は間違っちゃいねえはずだ。

 銀髪頭の弱味になりそうなネタも気になるんだが、ミャウラたちがゴーレムについて何か言ってたな。


「そういや、領主の娘が作ったって噂だったんだよな。本当のことだったのか」

「・・・本当だけど、移動させたから“獰猛くん”が有るのはレティアの町じゃないよ?」

 えっ? マジかぁ。

 連絡手段もねえのに、目印にしていたランドマークが2つに分かれちまうとは考えてなかったな。


「そうなのか? そりゃあマズったかねえ」

 ロブウッドの野郎、短気を起こして暴れちゃいねえだろうな?

 関所の兵士に高圧的な態度を取られたぐらいの些事でも、あのヒゲ親父なら簡単にキレ兼ねねえ。


 イカウは人当たりが柔らかいし、ミャウラは人懐っこいし、クァタルは大人の対応が出来るヤツだから、何とか乗り切るとは思うんだがなあ。

 リットはまあ、まだ大人とは言い難いし今後に期待だな。

 どうしたもんかと頭を悩ませていたら、ウズウズした感じで俺と銀髪頭のやり取りを聞いていた金髪頭の嬢ちゃんが参戦してくる。



クラン㊾です。


ヒゲ親父の人物評価!?

次回、歳相応!?

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