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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ㊾

「いつまでも立ち話をしている必要も有るまい? 討伐が終わったなら、サッサと処理を済ませて町へ戻るとしよう」

 何だ? 今の反応・・・。

 僅かに眉根を寄せたのも一瞬のことで、咳払いで注意を集めた前伯爵が場を締めに掛かる。


「・・・あっ。そうだよ。血抜きしなきゃお肉が臭くなっちゃう」

「バンダースナッチの処理もしたい。向こうまで運べるか?」

 腰のナイフに手を伸ばそうとした銀髪頭の嬢ちゃんを前伯爵が手で制した。


「・・・うん。両方とも私が運ぶよ」

「任せる。―――、テツだったな。お前たちも来ると良い」

 娘の返事に頷き返した前伯爵が俺たちへ目を向けてきて、言うだけ言って、さっさと背中を向ける。


「来ると良い、ねぇ」

 背中を晒したってことは、ある程度の警戒は解いたって意味なんだろうが、何かもう、いかにも“貴族”って感じだな。

 危険物センサーが反応しねえってことは悪気はないんだろうし、アレが普通の態度なんだろうが、日本人感覚では圧力的で強引に感じるな。


「・・・念のために言っておくけど、“来い”ってことだよ? 取って食ったりしないから、大丈夫大丈夫」

 何が大丈夫なのか分かんねえが、銀髪頭が母親を擁護するような姿勢を見せた。

 何のフォローにもなっていねえけどな。


 ここまで来ると今さら逃げるわけにも行かねえし、ドネルクの顔も有る。

 付いていくしかねえな。

 いつでも反撃できる態勢を維持しておくか、と考えつつ銀髪頭に頷き返す。


「だろうな。って、熊まで運んでくれるのか?」

「・・・心配しなくても横取りしたりしないよ?」

 何の支えもなくフワッと魔獣の死骸が中に浮いたのを見上げていると、銀髪頭が首を傾げて、金髪頭がふんふんと頷いて肯定の意図を示してくる。


「そういうつもりで言ったんじゃねえんだが。まあ、良いか」

 微妙な気分になるが、これも今さらだな。

 別に熊の1頭や2頭を没収されたところで生活に困るわけじゃねえし、ケイナたちの安全を図る方が熊なんぞよりも100万倍は重要だ。


「・・・あ。でも、血抜きのときに熊の血は飲ませて欲しいかな」

「あっ。わたしも!」

 は? 前伯爵も含めて敵対する意志はなさそうだからケイナたちの身バレだけ防げば―――、なんてことを考えて油断していると、金銀の2人が予想外のことを言い出した。


「「「「「えっ?」」」」」

「「えっ?」」

 俺たちが思わず目を向ければ、目を真ん丸にした金銀の2人が首を傾げ返してくる。

 金髪頭を背負ったまま宙に浮いている銀髪頭も、当たり前のように背負われたままシュッと手を挙げて主張した金髪頭も、俺たちが何に驚いたのか本気で分かっていないらしい。


「獲物の血を飲むのか?」

「・・・テツさんも飲んでみると良いですよ?」

 念のため確認してみれば、困惑顔のまま銀髪頭がアドバイスのようなものを口にする。

 コイツら、マジで意味分かんねえな。

 分かんねえんだが、善意で言ってるつもりだろうことは感じ取れる。


「ああ、うん。そのつもりでは居たんだが」

「・・・へっ? そうなの?」

 何をどこまで明かして良いものか悩みつつ言葉を返せば、逆に目を剥いて驚かれた。

 エルフ族も知らなかった血の効果は、森の外では常識なのか?


 100年も有れば技術革新が起こっても不思議じゃねえしなぁ。

 エルフ族は100年以上もヒト族との接触を断って森に引き籠もっていた連中だから、こっちの世界の常識から置いて行かれた浦島太郎になっていても、おかしくはねえ。

 おかしくはねえんだが、森から出て以降も魔獣の血を飲んでるヤツは1人も見掛けていねえし、聞いたこともねえ。


 何が一般的な知識で何が一般的じゃない知識なのか線引きが難しいな。

 冒険者を育てるためのカードとしてアドバンテージに数えていたんだが、作戦を変更する必要があるかも知れねえ。

 態度に出さねえように意識しつつ、どうしたもんかと頭をフル回転させていたら、女児たちが顔を見合わせる。


「わたしたちの他にも飲んでる人がいたのね」

「・・・一般的ではないけどね」

 ズルッとズッコケ掛けた。


 何だよ。一般的じゃねえのかよ。

 だがしかし、常識から外れた同じ情報を持っている相手が目の前に居て、敵対の意志がないと示している。線引きを確認する良い機会か?


「情報交換したいもんだな」

「・・・そうだね。私もドネルクさんから頼まれてることが有るから、話したいかな」

 ほう? ドネルクねぇ?

 この言い方から察するに、「頼まれてる」ってのは、俺たちに関係する何かなのは間違いねえだろう。


 俺たちに関する「何か」が、何を指すのかなんて簡単に推測が立つ。

 情報ガバナンスやプライバシー保護はどうなってんだ?

 あの野郎が、誰に、何を、どこまで喋ったのか、確認しておく必要も有るな。

 リスクは有るが、もう少し踏み込んで情報を探るか。


「頼まれてるってのは?」

「・・・テツさんたちとの付き合い方・・・になるのかな?」

「付き合い方ねぇ?」

 さてと。これをどう捉えたもんか。



クラン㊾です。


情報ガバナンスは!?

次回、問題点!?


※ 今日も遅刻です!

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― 新着の感想 ―
ありがたく読ませていております。 こんな素敵で面白いお話、 遅かろうが早かろうが読めるだけでありがたいです。
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