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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ㊽

「・・・スライム避けだよ」

「スライム? トイレにいるヤツか?」

 ドヤ顔でスライムと言われても、それしか思い浮かばねえ。

 納得顔で銀髪頭がうんうんと頷く。


「・・・おトイレじゃなく野生の方。農作物を守るのに畑に魔石を埋めるの」

 追加の説明にズコッとズッコケそうになる。

 畑? トイレじゃねえのかよ。

 今、頷いてたのは何だったんだ?

 どういうことなのかを解説してくれたのはケイナだ。


「スライムは弱い魔獣ですから、魔石を埋めておくと魔石を怖れて畑に寄り付かなくなるそうですよ」

「へぇ。カネを払って買い集めた魔石を畑に蒔いちまうのか?」

 いくらの査定になるのか単価は知らねえが、安値でしか売れねえという死霊系の魔石1個を小銀貨1枚と仮定すると、200個を納品しても金貨2枚にしかならねえ。


 小銀貨1枚の交換レートを1000円とすれば、日本円換算で20万円ぽっちだ。

 7人掛かりで丸1日。

 幽霊退治はヘマをすると呪いを食らうし、どこから出てくるか分からねえから神経も使う。


 呪物に棲み着いちまったレイスとかいう幽霊が出たときには、うちのメンバーでもパニクってストロボライトで照らされたダンスクラブみたいになったぐらいだぞ。

 レイクスが作ったお札だって経費精算する必要が有るし、命懸けの日当で1人頭3万円にも届かねえんだから、稼ぎの効率は最悪と言って良い。


 そんなリスクを冒すぐらいなら、郊外の原野でバター炒めをすれば簡単に獲れる可能性が有る角ウサギかタヌキを狙った方が稼ぎが良いだろう。

 そりゃあ誰も仕事を請けたがらねえわけだ。

 そんなリスクの対価を肥料よろしく魔石を畑に蒔いちまうとなれば、金貨2枚はデケえ出費に思える。


「・・・必要経費だよ。農地が増えて農家さんの収穫が増えれば、最終的には税収が増えるからね」

「ははぁ。公共事業ってヤツだな」

 意外とまともな答えが返ってきたぞ?

 この嬢ちゃんたちは公爵に伯爵なんだったか。


 母親の前伯爵はまだ若えし、怪我や病気を抱えている様子もねえから、政治的なものか、お家騒動的なものか、何らかの事情が有るんだろう。

 そうでも無けりゃあ小学校低学年にしか見えねえ子供を当主に据えたりはしねえわな。

 納得しちまったら、銀髪頭も頷き返してくる。


「・・・そういうこと。ケイナちゃんも詳しいね」

 銀髪頭に笑い掛けられてケイナも照れくさそうに笑い返している。

 ふむ・・・。まんざらでも無さそうか?


 郷にはケイナ以外の子供は居ねえと聞いて居たし、旅の道中も巡り合わせが悪かったのか子供に会わなかったんだよな。

 ケイナには子供同士で対等に話せる友だちが居ねえ。

 中身はともあれ、実年齢が50代後半になるケイナがその辺の子供と対等に付き合えるのかと言えば、ケイナ自身が特殊過ぎてそれも難しい気がする。


 それに対して、この嬢ちゃんはマセてるっつーか、精神年齢が高そうに見える。

 まだ油断はできねえが、この嬢ちゃんたちが敵じゃねえならケイナの友だちになってくれると良いんだけどな。

 ケイナたちが友好的な空気を漂わせていると、空気の読めねえ筋肉ゴリラが嫌そうな顔で口を挟んできた。


「死霊系の魔石で農作物に悪いものが憑いたりしないのか?」

 無粋なゴリラにネガティブな質問を投げ付けられた銀髪頭が小さく首を傾げて、ハッと何かに気付いたようにレイクスへ顔を振り向ける。


「・・・どう思います?」

「何で僕に訊くの?」

 ゴリラな質問をそのままパスされたレイクスが首を傾げて、銀髪頭も首を傾げ返す。


「・・・詳しそうだな、と」

「面白いね。キミ」

「・・・いやあ。そうでも無いですよ」

 レイクスがクスリと笑って銀髪頭もニコッと笑い返す。


 何やってんだ? コイツら。

 牽制し合うように笑顔で睨み合ってやがんの。

 そういやコイツら、さっきも睨み合ってたな。

 何か思うところが有ったのか、レイクスが楽しそうに思案し始める。


「僕の予想だと属性による影響は何も出ないだろうね」

「・・・魔力はただの魔力だからですか?」

 銀髪頭が返した質問に今度はレイクスが小さく首を傾げた。


「魔力? ああ、魔素のことだね」

「魔素・・・?」

 思わぬ方向から女の呟き声が聞こえて目を向ければ、黙って成り行きを見守る態勢かと思っていた前伯爵だ。

 前伯爵の反応に気付いても居なさそうなレイクスは、銀髪頭の答えに、ゆったりと頷いて返す。


「正解だよ。魔石の属性は魔獣の生態に関連すると考えられていて、魔素の性質的には属性に偏りが出るけど術式で効果を定義しない限りは単なる魔素でしかない」

「・・・だから農作物に影響は出ないと。なるほど。参考になりました」

 レイクスの答えに、納得顔の銀髪頭が反芻するように頷いた。


 魔法談義は俺にはサッパリだが、レイクスにとっても銀髪頭にとっても有意義な時間だったらしい。

 130歳超えのレイクスと会話が噛み合うとは、この嬢ちゃんもなかなかだな。

 問題無いと判断したのか、何やら割り切った感じの前伯爵が、自身に意識を向けさせるように咳払いをする。



クラン㊽です。


おマセ!?

次回、連行!?

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更新が一日1回と2回の差が〜! なんか特急と普通列車が同じ駅に止まって、同じ風景が見れた!と思ったら特急はあっという間に普通を置いて行ってしまった。 置いてかれた普通は遅れて同じ風景を眺めます。
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