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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ㉟

「問題はレイクスたちの素性をどう隠すかだが―――」

「なに言ってるのさ。僕らも森から行くに決まってるじゃないか」

 “当然だろ?”と言わんばかりの顔で言われて言葉に詰まっちまった。

 お前、“森から出てえ”って言ってたじゃん。


 気を回したつもりだったんだが、俺が間違ってたのか?

 森から出ずに狩りを続けながら移動するってのは、気を緩めることも出来なくて疲れるもんだ。―――、普通はな。

 危険物センサーのお陰で魔獣の接近は事前に把握できるから、別に付いてくるのは構わねえんだが確認しておくか。


「俺とケイナは慣れてるが、結構、危険だぞ?」

「僕らにとっては魔獣よりもヒト族の方が危険だと思うけど?」

「それもそうか」

 説得力、スゲえな。

 思わず酸っぱい顔になっちまう。


 言われてみれば確かにそうだった。

 エルフ族がヒト族にされた仕打ちを思えば、ケイナだけでなくレイクスたちも俺と一緒に居た方が安全だ。

 うちの連中は、多少の差は有れどヒト族に酷え目に遭わされた経験を持ってるが、エルフ族は他の種族の比じゃねえ目に遭わされてる。


 エルフ族うんぬんを省いて考えたって、この世で最も危険で信用ならねえ生物が人間だからな。

 地球の歴史でも人間の裏切りや残虐行為なんてもんは数え上げればキリがねえ。

 俺の表情を見てクスリと笑ったレイクスが妹に目を向ける。


「ここのところ、ずっとケイナと離れ離れだったしね」

「狩りのコツを私が教えますね」

「それは楽しみだ」

 ケイナが兄貴に笑い返して丸く収まった感じになった。


「じゃあ、何も問題は無くなったな」

 本人たちが”森を行く”、つってるんだから良いんだろう。

 俺からしてみても、危険物センサーを信じて一番前で敵をブン殴るだけで、後ろにいるのがケイナ1人でも、ケイナたち6人でも、することは何にも変わんねえ。


 リュックのサイドポケットから引っ張り出した地図をガサガサと広げて、目的地を決める作業に取り掛かる。

 現在地点は幽霊の迷宮から真っ直ぐ西へ出た辺りのはずだ。

 森の外の地名で言えばファーレンガルド領に入る関所の手前だな。

 この辺りじゃね? という現在地点を指先で指し示せば、みんなが地図の覗き込む。


「合流地点は―――、端の端まで南下しなきゃならなくなる恐れが有るな?」

「南の端ということは、―――ウォーレス公爵領ですね」

 地図の文字を読み取ったケイナが地名を読み上げた。


 推定現在地点から真っ直ぐに南へ指先を滑らせると、ナーガ川とかいう国境の川にブチ当たるらしい。

 ギルドが持っている原本を丸まま描き写した略図に近い地図が正しければ、だな。

 地名を聞いたミャウラが、興味の在処を示すようにネコ耳をピッとケイナへ向ける。


「あっ。ウォーレス公爵領って、最近、名所ができたらしいのニャ」

「名所?」

「ゴーレムですよ。領主が作ったとか領主の娘が作ったと聞きましたけど」

 こういうところにも性格が出るんだよなあ。


 噂の詳細を覚えていたのはムラッ気の有るミャウラではなく、カネ勘定が得意なイカウだった。

 どうでも良さそうな噂話に一番大きく反応を返したのはレイクスだ。

 100歳をとうに超えてるくせに、子供みてえに目を輝かせてやがる。


「ほう! 人造ゴーレムかい!?」

「エレえ食い付きだな」

「だって、ゴーレムだよ!?」

 何がどう「だって」なのかサッパリ分かんねえ。

 レイクスの食い付きに気を良くしたイカウが追加情報をサービスする。


「何でも、空の雲に届くほど大きなゴーレムだとか」

「そりゃあ大袈裟だろ」

 日本での一般的なイメージで、つい反射的に否定しちまったが、そうでも無いのか?

 確か、地上で発生する霧や(もや)も雲と同じ現象なんだっけか。


 つっても、こっちの世界に来てから雲らしい雲を見てねえんだよな。

 砂漠ってほどではねえんだが、この国の気候は温暖なわりに乾燥しているようで、一度も雨に降られていねえ。

 雲の高さなんてものには全く興味が無さそうなレイクスがピッと人差し指を立てる。


「誇張が含まれていたとしても、一見の価値は有るよ」

「ゴーレムってのは、そんなに凄いものなのか?」

 しまった。

 力説するレイクスの勢いに押されて訊き返しちまったら、さらに熱が入っちまったみたいでレイクスが前のめりになる。


「ゴーレムというものは伝承の中にのみ名前が残る怪物でね。人の手で造り出そうとした試みは何度も有ったそうだよ。ところが、いざ造ってみると、まともに動かせない。人造ゴーレムは術式が複雑になり過ぎて魔法技術では作れないとされてきたものなんだ。いわば、究極の魔法道具と言って良い。本当に実現したのなら魔法史に残る偉業になるんだよ。どうやって作ったのか、動かすことが出来たのか、僕も是非とも見てみたいし聞いてみたい」

「お、お、おう。そうなのか」


 急にレイクスが早口になって引いちまった。

 現物が有るっていうのなら、見ることは出来るんだろう。

 それでレイクスの欲求が満たされれば良いんだが、思ったほどじゃなかったら、コイツ、ヘソを曲げたりしねえだろうな?



クラン㉟です。


ゴーレム、大人気!?

次回、精霊!?

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