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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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文明回帰への一歩 ⑥

 こんな崖、道具も持たないフリークライミングで、どうやって下りるんだよ。

 道具が手元に有ったとしても、登山経験ゼロのド素人が、ロッククライミングなんて出来やしねえって。

 崖に沿った水平方向を見回せば、延々と続く崖が左側の遙か遠くで消失している。


 右側は崖が湾曲しているのか、崖の終わりが見通せない。

 目指す方角は左側で、崖の終わりを確認する意味も崖の対岸へ渡る意味も無さそうだから、パスして良いだろう。

 左側のトカゲ山方面の地形を再確認する。


 これは、崖上が下がって行っているのではなく、崖下がトカゲ山方面に向かって上がって行っているのか?

 ”坂道錯視”だっけか。

 騙し絵というか、不思議スポットというか、「上り坂だと思っていたら下り坂だった」みたいなヤツ。


 あんな感じに見えなくもないが、どのみち、崖が木々の緑色に飲み込まれて見えなくなる消失点は遙か彼方だ。

 あの崖の終わりまで崖沿いを歩ければ良いが、この崖と交差する方向で別の崖が有った時点で崖沿いには進めなくなるだろう。

 それ以前に、なんとなく想像していたよりも、実際のトカゲ山は遠かった。


 これ、相当な難事だぞ。

 ぶん殴って、終わり、みたいに考えていたが、見積もりが甘かったとしか言いようがない。

 現代日本と、この原生林地帯では、大気中の塵の量も違うだろうから、当然、大気の透明度も違うはずだ。


 単純に距離感の“見立て(アタリ)”を決めつけるのも、予想外のリスクを生み出し兼ねない。

 富士山が、標高3000メートル級。

 トカゲ山のスケールが標高6000メートル級で、2倍の距離がある、なんてことも考えられる。


 推定10000メートル超の高高度から判別できた高山だぞ?

 そもそもが、現在地点の標高も不明なら、この星の直径も不明。

 俺の距離感が間違っている可能性のほうが高い。


 トカゲ山が地平線の向こうに有って、先っちょが見えているだけかも知れねえじゃねえか。

 場合によっては、数ヶ月間を、密林地帯で彷徨わなければならない恐れすら有る。

 道中に、何が棲息しているかも不明な今、自分自身を強化するだけでなく、できるだけ安全に、道中を踏破するための備えも考える必要があるだろう。


 ここで、後回しにしていた、というか、現実を突きつけられて、考えないようにしていた問題と向き合わざるを得なくなった、だけなんだよなあ。

 俺一人で、誰の協力も得ないで、「可能なのか」という、本質的な部分だ。


 人里を探す?

 トカゲの背中で見た上空からの景色に、人工物のようなものは見当たらなかった。

 もちろん、見ていた方角が違っただけ、という可能性はある。


 意思疎通が可能な人類が棲息している可能性は?

 人類が居るとして、その文明レベルは?

 友好的な関係を築いて、協力を得られる可能性は?


 道中に、トカゲ以上の化け物が闊歩している恐れも、相当な可能性で有る。

 大きなケガでも負えば、そこでゲームオーバーだ。

 よって、俺は、トカゲ以上の化け物を撃破して、できるだけ無傷で居なきゃならない。


 トカゲ山まで到達可能な、戦力を得る必要がある。

 飛行機、とまでは行かなくても、バイクやクルマ、馬でもいい。

 移動速度を上げられれば、道中の危険度を引き下げられるかもしれない。


 不確定要素が多すぎるな。

 仮定ばかりだ。

 不確定要素を減らすには情報を得る必要が有る。


 情報を得るにも、やはり人里を探すのが先決かな。

 思い切り、溜息を吐く。

 堂々巡りだな。



文明回帰⑥です。


楽観論では超えられない壁!?

次回、新生物!?

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