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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ⑦

 答えが出ないうちに獣人族の3人が戻ってきて、鍛冶場から戻ってこない父娘が炉に火を入れようとするのを引っ剥がして、全員を幌馬車に乗せて買い出しへと向かった。

 控え目ながらも馬車の荷台で目を輝かせて騒いでいる姿をチラリと見て、手綱を握り直す。

 少しは希望を見出して、鬱屈した気分が薄れてきたのかも知れねえ。


 新メンバーたちにも全体の計画像を伝えておいたほうが良いかも、だな。

 計画の協力者に仕立て上げるにしても、目的とロードマップは共有させたほうがいい。

 新メンバーたちにとっても共感を持てるプロジェクトのはずだ。

 今夜、拠点で晩メシでも食いながら皆に話すとするか。


 俺とケイナもお世話になった古着屋で、全員分の衣服を着替え分を含めて各自に3セットずつと、亜人種族であることを隠すために全身をスッポリと覆うサイズのフード付きマントを1着ずつ。

 この国に奴隷制度がなくても、実際に奴隷商人に捕まった事実を踏まえれば目立たないことに越したことはねえ。


 靴屋で新メンバーに森歩きができるブーツと、拠点での部屋履き用のサンダルを。

 ドワーフ父娘は部屋履きよりも鍛冶場用の、足首の動きに余裕が有る長靴を希望した。

 新メンバーを着替えさせてから、ミャウラの意見を参考に市場で備蓄分と郷用も合わせて、小麦、豆、コーン、乾燥野菜、芋、バター、チーズなどを大量購入しては、リュックに放り込む。


 特に小麦だ。小麦がメッチャ安い。

 小麦に何種類も品種が有るとか知るかよ。

 日本人に分かる小麦粉なんて薄力粉と中力粉と強力粉が有るってぐらいだろ。


 小麦粉に種類が有るのは知っていても、普通のご家庭は薄力粉しか買わねえ。

 よく分からんから、殻の付いた小麦を麻袋単位でどんどん買う。

 小麦粉を買おうとしたらストップがが掛かって拠点用にも小麦を買わされた。


 肉の在庫は常に有るとしても、いつ全員で拠点を空けなくてはならなくなるか分からないから、生野菜を少量しか買い込めないのが辛いな。

 調味料を扱っている店を見付けたから話を聞いてみれば、この店主は西方諸国とやらから来た行商人らしい。

 西方と言えば例のキチガ〇教団を連想する。


 警戒して言葉を選びつつも商品の説明を聞いていくと、驚いたことに、穀物酢、味醂っぽい液体、昆布っぽい味がするキノコなど、日本の味に近い調味料のいくつかは存在しているそうだ。

 へえ、大昔の勇者伝来? お侍さんか?

 食い物に凝る辺りが日本人らしい。


 砂糖は、クッソ高え! と思ったら、砂糖ですらなかった。

 何か、壺に入った水飴みてえなヤツだったが、ケイナの顔よりも小さな壺1つで金貨1枚と言われたら購入意欲が無くなった。

 醸造酒は有るが蒸留酒は無い? 技術的なものかねえ。


 味醂っぽい調味料が有るのに原料は米じゃないらしい。

 輸入品だからクッソ高いのか。

 この国で酒と言えば、ワインっぽいワインのようなものを中心とした果実酒が一般的。


 エールっぽいものは有るが、味見させて貰ったら防腐剤のホップが無いのかビールの味じゃなかった。

 ドワーフ父娘曰く、エールの味はそんなもんだと。

 郷用にワインも少し買っていたら、ドワーフ父娘の目が期待でウルウルしていたから、圧力に負けて1日の酒量に上限を設ける条件で拠点用にもいくらかの酒を買ってやった。


 マジでドワーフのイメージ通りなんだな。

 仕事をしたら給料を出してやるから、自分の給料で買うようにしろよ?

 雑貨屋で食器類や日用道具類を、数を多めに。


 粉引きしていない小麦やコーンなんて、どうするのかと思っていたら、ケイナとミャウラの2人から杵や突き臼と石臼と笊と桶を所望された。

 拠点の炊事場を覘いたら調理器具の類いがぜんぜん無かったらしい。

 粉にすると湿気なんかで長持ちしないから、その都度、使う分を自分たちで粉引きするようにしたほうが長期保存に向いてるんだと。


 工業的に製造された歯ブラシなんて上等なものは存在していない世界だから、食後に口を濯ぐぐらいしか出来ていなかったんだが、この雑貨屋で歯ブラシのような用途の柔らかい竹っぽい何かを発見した。

 切り口を少し噛んで毛羽立たせて刷毛状になった竹で、ぐしぐしと歯を磨くらしい。

 歯ブラシ竹は消耗品らしいので、そこそこの数を纏めて買う。


 金物屋で鍋釜などの調理器具を。

 木工道具や大工道具を揃えて買い込もうかと思ったら、そんなもんワシが作るとロブウッドに怒られたんだが、材料の鉄がないってんでロブウッドが萎びていた。

 国から逃げ出すときに鍛冶仕事用の鎚だけは持って出て来たのか。


 鍋釜や調理道具は今夜にも使うので、ロブウッドの抵抗を押し切った。

 勝手なイメージでドワーフ族は武器防具を作るもんだと思っていたら、木工、革細工なんかも一通り作れて、日用の金物類でも普通に作るんだと。

 便利だな! ドワーフ族!


 それじゃあって話で、マーケットではなく商業ギルドに寄って教えてもらった商会へも足を運んで、ドワーフ父娘が希望する鉄だの銅だのの鉱石類と、木炭や石炭なんかの燃料も買い付けた。

 メンバー全員の装備や道具類を作る、とドワーフ父娘が生き生きとしている。

 厨房用の薪や飼い葉も用意できると言われたので、道具類の製作にも使えるように、木材と合わせて注文しておく。


 あと、トイレ用の紙、ではなく葉っぱ。

 汲み取り式のポットン便所が拠点の建物内に有るのだが、A4用紙サイズぐらいの肉厚の葉っぱを、わしわしと揉んで柔らかくして尻を拭くものらしく、大量にストックしておくものだと教えられた。


 宿場町の宿に置いてあったのは何かの植物の繊維を束ねて括ったものだったが、地域的に手に入りやすいものを使うそうで、画一化された工業製品のトイレットペーパーとは概念が違うのだと納得した。

 商会での買い物は大量になったので、商会が馬車を出して拠点へデリバリーしてくれることになった。


 布地屋でタオル代わりに使える布切れをそこそこ大量に買ったついでに毛皮じゃない本物の毛布を見せてもらったんだが、質が気に入らなかったので俺の手持ちの布団(けがわ)毛布(けがわ)を支給すると言ったら、布地屋だけじゃなく新メンバー全員に贅沢すぎると驚かれた。

 犬っコロの毛皮は超高級布団だったらしい。



クラン⑦です。


セリフ無し!?

次回、環境!?

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