キノコを取るか、タケノコはどこだ ②
「どわっ!?」
2~3人に飛び掛かられたほどの重量で不意討ちされて、流石に押し倒される。
現場でも「頭上注意」は鉄則なのにな。
油断としか言いようがねえ。
毒虫や毒蛇なんかに噛まれるのを恐れて足元ばかり見ていたから、頭上なんて警戒していなかった。
「―――なっ!?」
揉みくちゃにされ、一瞬のうちに絡みついてきた何かが、とんでもない力で俺の胴や足に巻き付いてくる。
ひんやりと触感が冷たい筋肉の塊が猛烈な力で俺の体を転がし、絡みつく。
咄嗟に両足を開いて、それ以上、転がされないように耐える。
「くっ・・・!!」
何だ、コイツ!!
枯れ葉や土が舞い上がって視界が悪く、何に襲われているのかも分からない。
たまたま右足が何かを踏ん付けたので、そのまま逃さないように踏ん付け続ける。
首のほうまで巻き付こうとするソイツを、手探りで掴んで力任せに引き剥がした。
「ぐ・・・おおおお・・・!!」
―――、蛇!?
放り捨てたいが、もの凄い力で絡みつこうとしてくるから放せない。
上手く掴み取れたのか、毒牙らしき尖った牙が覗く首の根元が左の掌の中にある。
俺の太腿ほどの太さがある、どう見ても蛇なのだが、額の辺りから、1本、触角のようなものが生えている。
グイグイと噛み付こうと迫ってくる顎は30センチメートル以上も開いていて、喉の奥側に向かって緩くカーブした凶悪な毒牙の長さは10センチメートル以上も有る。
蛇は顎の関節を外して口の大きさよりも大きな獲物を飲み込むと聞くから、コイツは俺のガタイでも丸呑みに出来るのだろう。
これが四つ足の肉食獣だったらダラダラと涎を垂らしているところだろうが、蛇ってそこまで涎を垂らさないんだな。
ぬらぬらと口の中が滑っているのは間近に見えるが、垂れ落ちてくるほどではない。
「クッソ・・・があああっ!!」
トカゲの次は、ヘビかよ!!
締め付けてくる力はゴンのベアハッグよりは弱いが、気を抜いたら噛み付かれる。
転がされて胸を締め上げられたら確実に肋骨をへし折られるだろう。
そうなったら絞め殺されてもおかしくない。
腹に1周巻き付かれているが、腹で良かった。
左足にも1周巻き付かれているが、片足だけなら体勢は崩されない。
両足を踏ん張り腹筋に力を入れて、それ以上の締め付けに対抗する。
同時に両腕で、渾身の力を籠めて蛇の首を絞め上げる。
爬虫類だろうが呼吸はするんだろう。
鼻の穴が有るのだから首を絞めれば呼吸できなくなるはずだ。
肺呼吸だと信じて我慢比べに突入する。
無呼吸の限界と筋力の限界で勝負する。
「ふんぬううううっ!!」
両腕でギリギリと締めた首を遠ざけて、腕が伸びきるまで離して地面に押し付ける。
首を絞め続けて、どのぐらい経っただろうか。
窒息しているのか、締め付けも最初ほど強くはなくなっている。
俺も汗だくになっているし、筋肉に乳酸が溜まって腕が震えてくるが、持久力は俺の方が上か?
左足も、腿から脛にかけで巻き付いていて膝は曲がる。
噛み付き攻撃を阻止できたのなら、あとはパワー勝負だ。
左腕で蛇の首を地面に押し付けたまま、体勢を入れ替えて馬乗りになる。
再び絡みつこうとする長い胴体を辿って、少し細くなった尻尾らしき辺りを右手で掴んで引き剥がす。
「まだやんのか、この野郎!!」
渾身の力比べで、俺の体から蛇を剥がしきることには成功するが、ぐねぐねと、うねる蛇の体は、俺に巻き付くことを諦めてはいない。
ここで手を離すのは悪手だ、と直感が告げるので放せない。
「うおルあああああああっ!!!」
巻き舌で胴体にヤクザキックをブチ込むと同時に、左手だけを離して右腕を振り回す。
噛み付こう、巻き付こう、とする蛇の腹筋と、今度は遠心力の勝負となった。
「殺ったらああああああっ!!!」
全身全霊のフルパワーで蛇を振り回し、近くの大木の幹へと叩きつける。
何度も、何度も、振り回し、叩きつける。
キノコタケノコ②です。
勝敗の行方は!?
次回、水が無い!




