↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/62

第24話 守りたい場所 前編

なんか…長くなり過ぎました…なんで??

 キャンプ地へ戻ると、みんながぼくたちの方を見た。


 その視線はすぐにモカへ向く。


 モカは目を真っ赤に腫らし、泣き疲れて歩くのもやっとという様子だった。


 誰とも目を合わせない。


 何も話さない。


 そのまま静かにテントの中へ入っていく。


「モカ……。」


 せいかが小さく声をかける。


 返事はなかった。


 それでもせいかは少しだけぼくの方を見て、小さくうなずくと、そのままモカの後を追ってテントへ入っていった。


 きっと、一人にはしておけないと思ったんだろう。


 ぼくも同じ気持ちだった。


「一体どうしたんだ?」


 らいがが心配そうにぼくとひかりへ尋ねる。


 ドラも、レオも、まおも、セバスチャンも、むねゆきも、らいねも、不安そうな表情でこちらを見ていた。





 ぼくは深く息を吸って話し始める。


「シトロンさんの書斎に隠し通路があったんだ。」


「その先に、陽だまりの森があった。」


「森?」


 ドラが思わず聞き返す。


「うん。陽だまりの木がたくさん育てられていて、小屋もあった。」


 ぼくが説明すると、ひかりが続ける。


「小屋の中には研究資料がたくさん残されていました。」


「陽だまりの木を育てる方法や加工方法、それを商品として売るための記録まで。」


 一度言葉を切り、静かに続けた。


「そして、それらは全部……モカさんの未来のために残されたものだと分かりました。」


 誰も口を開けなかった。





 重い沈黙が流れる。


「シトロンさん……。」


 まおが小さくつぶやく。


 その表情には驚きと尊敬が入り混じっていた。


「かっこよすぎるだろ……。」


 むねゆきも思わず胸を押さえる。


 しばらくしてレオがぼくを見た。


「でもよ。」


「今のモカに全部伝えるのは、負担がデカすぎだったんじゃないか?」


 その言葉にぼくは少しだけ視線を落とした。


「確かに……。」


「いきなり全部伝えるのは急だったかもしれない。」


 そう答えると、みんな静かに耳を傾けてくれた。


「でも……。」


 ぼくはゆっくり顔を上げる。





「あのままだったら、モカはこの場所からずっと逃げ続けることになってたと思うんだ。」


「シトロンさんが残した森も、研究も、気持ちも知らないまま。」


「そんなの……。」


 ぼくは小さく息をつく。


「そんなのシトロンさんがかわいそう過ぎると思ったんだ……。」


 レオはぼくの顔を見つめたあと、静かに笑った。


「そっか……確かにな。」


 その時だった。


 セバスチャンが黙って立ち上がる。


「どこ行くんだ?」


 ドラが声をかける。


「もう少しシトロンさんを探してみる。」


「夜までには戻る。」


 短くそう言って歩き始めた。





「俺も行くよ。」


 むねゆきが立ち上がる。


「オレも。」


 ドラが続く。


「もちろん俺もだ。」


 レオも腰を上げた。


 ぼくも自然と立ち上がる。


 誰一人、座って待っている気にはなれなかった。


 きっとみんな同じだった。


 シトロンさんの話を聞いてしまった今、何もしないなんてできなかった。


 ぼくたちは崖の近くを中心に、森の中や岩場まで手分けして探し続けた。


 だけど、何時間探しても手がかりは一つも見つからない。


 日が西へ傾き始める。


「今日はここまでにしよう。」


 セバスチャンの声に、誰も反対しなかった。





 モカのために何かしてあげたい。


 そう思っているのに、何もできない。


 自分の力のなさが悔しかった。


 周りを見ると、みんなも同じような表情をしていた。


 重い足取りでキャンプ地へ戻る。


「おかえり~。」


 聞き慣れた明るい声が響いた。


 見ると、女子チームが晩ご飯の準備を終えて待っていた。


 そして、その中にはモカの姿もあった。


 鍋を運び、お皿を並べ、みんなのために動いている。


 いつものように。


 でも、どこか違う。


 落ち込んでいるわけでもない。


 無理に笑っているわけでもない。


 泣いたあとの弱さではなく、何かを受け止めた人の静かな強さがそこにはあった。


 その姿を見たぼくは、不思議と胸が温かくなった。


 モカは少しだけ、大人になったように見えた。





 そのあとは、いつものようにみんなで晩ご飯を囲んだ。


「ドラ、それオレの魚だ!」


「いやいや!皿が近かったから俺のだろ!」


「近かったって理由で人の魚を食うな!」


 レオがすかさず頭をたたく。


「いてっ!」


 その様子を見て、むねゆきが吹き出した。


「ドラさん、それはさすがに苦しい言い訳ですよ。」


「いや、本当にオレの魚が歩いてきたんだって!」


「魚は歩きません。」


 ひかりが真顔で突っ込む。


 その言い方がおかしくて、みんなが笑い出した。


「あははは!」


 らいねがお腹を抱えて笑う。


 らいがも苦笑いしながら首を振っていた。


 ぼくも思わず笑ってしまう。





 こんなふうにみんなで笑うのは、本当に久しぶりだった。


「なんか、この感じ久しぶりだね。」


 隣に座っていたせいかが、小さな声で言った。


 ぼくはうなずく。


「うん。」


 それだけしか言えなかった。


 でも、それで十分だった。


 ずっと張りつめていた空気が、少しだけやわらいでいた。


 こうしてみんなでご飯を食べて笑える時間が戻ってきた。


 そんな当たり前の日常が、とても大切に思えた。


 食事を終え、みんながお茶を飲みながら一息ついていた、その時だった。


「みなさん!聞いてください!」


 急にモカが大きな声を出した。





 全員がびくっと肩を震わせる。


「ど、どうしたの?」


 まおが優しく尋ねる。


 モカは一度、大きく深呼吸をした。


 そして、真っすぐみんなを見つめる。


「私……ここに残ろうと思います!」


 その一言で、空気が止まった。


 誰も何も言えない。


 モカはゆっくり話し始めた。


「最初は……一人になると思っていました。」


「だから、それが怖くて……みなさんと一緒に旅へ出たいと思いました。」


 一度目を閉じる。


「でも、違いました。」


「お父さんとお母さんは陽だまりの木を残してくれました。」


「そして、おじさんは、その陽だまりの木を守りながら……私の未来まで考えてくれていました。」


 モカは胸に手を当てる。





「私は、一人じゃありませんでした。」


「ここには、お父さんとお母さんの想いがあります。」


「そして、おじさんの想いもあります。」


 その瞳には、もう迷いはなかった。


「私は、その想いを守っていきたいです。」


 静かな声だった。


 でも、その決意は誰よりも強かった。


「だから……みなさんは旅を続けてください!」


 真っすぐ前を向いたまま言う。


 拗ねているわけでもない。


 無理をしているわけでもない。


 本気でそう決めた顔だった。


「私は、ここでみなさんの旅の安全を祈っています!」


 少しだけ笑う。





「でも……。」


 その笑顔が少しだけ照れくさそうになる。


「時々でいいので……たまに遊びに来てくれるとうれしいです。」


 また静けさが広がる。


「そんなのだめだよ……。」


 最初に口を開いたのは、せいかだった。


 目には涙が浮かんでいる。


「え?」


 モカが驚いた顔をする。


「ここに幼いモカを一人で置いて行くなんてできないよ……。」


 せいかは首を横に振る。


「ありがとうございます。」


 モカは優しく笑った。


「でも、みなさんには旅の目的がありますよね?」


 その言葉に、誰も返せなかった。





 正論だった。


「私のせいで、みなさんが旅をやめてしまうなんて我慢できません。」


 静かな声。


 だけど、その口調には強い意志があった。


「でも、現実的にモカ一人だけ残すのは無理だよ。」


 ひかりが冷静に言う。


「陽だまりの木のお世話だってあるよ?」


 まおも続ける。


「何とかなりますよ。」


 モカはきっぱりと言った。


「じゃあ、オレが残るよ!」


 ドラが勢いよく立ち上がる。


「ほっとけない!」


「いやいや、お前が残れば解決って話でもないだろ。」


 レオがすぐに突っ込む。





「そうだよね……。」


 ぼくもうなずく。


「例えば僕が残ったとしても……。」


「え?」


 せいかがぼくを見る。


「こうちゃん残るなら、私も残るよ!」


「俺だって残るよ。」


 らいがまで手を挙げた。


「そうじゃなくて……。」


 ぼくが苦笑いすると、


「じゃあ交代で残る順番決めるか?」


 むねゆきが真顔で言った。


「交代って何日ごとですか?」


 らいねが首をかしげる。


「旅先によって違うだろ。」


 セバスチャンが腕を組む。





「そういえばシトロンさんが残した研究についても調べないとね。」


 まおが資料を思い浮かべる。


「あの膨大な量の資料を整理するんですか……。」


 ひかりが少し青ざめる。


「商品化の可能性も考えたいね。」


 せいかも話に加わる。


「そもそも住むところは? モカの家、今のままじゃ住めないぞ?」


 ドラが言う。


「直すったって、俺たちそんな経験ないぞ。」


 レオも腕を組む。


「食べ物だって何とかしないと……。」


 ぼくが言うと、


「そういえば、そろそろ商人さんが手紙を届けてくれるはずですね。」


 ひかりが思い出したように言った。





「手紙?」


 ぼくは目を丸くする。


「あっ……そうだった。」


「とらわかのこと忘れてた……。」


「忘れてたんですか?」


 らいねがあきれたように言う。


「銀の鈴だっけ?」


 むねゆきが顔をしかめた。


「あいつら許せないよな。」


「……あの。」


 モカが小さく口を開く。


 でも誰も聞いていない。


 それぞれが勝手に話を続けている。





「あの!!」


 モカが思い切り叫んだ。


 一瞬で静まり返る。


 みんなが一斉にモカを見る。


 モカはあきれたようにため息をついた。


「私がここに残るっていう話は?」


「あ……。」


 全員で顔を見合わせる。


「脱線し過ぎた……。」


 ドラが頭をかく。


「お前が最初だろ!」


 レオが即座に突っ込む。


「は? 俺?」


「ドラだな。」


 セバスチャンが即答する。


「ドラです。」


 まおもうなずく。


「ドラさんですね。」


 らいがも真顔で同意した。


 味方が一人もいないことに気づいたドラは、「……ですよねぇ。」と小さくつぶやき、肩を落とした。





「一回、一息入れない?」


 せいかがみんなを見回しながら言った。


「そうだな。」


 レオが大きく伸びをする。


「ふぁ~、みんなの意見聞いてが疲れた~」


 ドラが肩を回しながら笑う。


「お前が一番しゃべってただろ。」


「え? そうだっけ?」


 またレオににらまれ、ドラは「すみません」と苦笑いした。


 みんなも席を立ち、それぞれ体を伸ばしたり、水を飲んだり、キャンプの周りをぶらぶら歩いたりしていた。


 気が付けば、夜もずいぶん更けている。


 焚き火の火だけが、ぱちぱちと静かな音を立てていた。


 知らないうちに、ずいぶん長く話し込んでいたんだな。


 ぼくは焚き火から少し離れ、何となく近くの森へ目を向けた。


 理由は分からない。


 でも、なぜか少しだけ気になった。





 自然と足がそっちへ向かう。


「どうした?」


 ドラが後ろからついてきた。


「いや……。」


 ぼくは頭をかく。


「何となく。」


「何となく?」


「うん。自分でもよく分からない。」


 ドラは「変なやつだな」と笑いながらも、一緒についてきてくれた。


 森の入り口まで来る。


 辺りは暗く、虫の鳴き声だけが聞こえていた。


 ぼくは草むらへ目を向ける。


 その時だった。


 ガサガサガサッ!!


 急に草むらが大きく揺れた。





「え?」


「はッ?」


 ぼくとドラは同時に変な声を出してしまう。


 二人とも思わず一歩後ろへ下がった。


「な、何だ?」


 ドラが腰の木刀へ手を添える。


 ぼくも息を止めて草むらを見つめた。


 ガサ……。


 ガサガサ……。


 ゆっくりと草が左右に分かれる。


 そして。


 ぬっ、と一匹の猫が姿を現した。


 全身の毛はほこりで汚れ、ところどころ破れている服もぼろぼろだった。


 毛並みはほんのり紫色。


 そして、大きな丸眼鏡が目を覆っている。


 長い旅をしてきたことが、一目で分かる姿だった。





「ここは……。」


 猫は小さくつぶやき、辺りを見回す。


 やがてぼくたちに気付いた。


「人間……。」


 ぼくを見て小さくつぶやく。


 でも驚いたり、逃げたりする様子はない。


 むしろ静かだった。


 その猫は、ぼくたちへ軽く頭を下げる。


「私は、ある方を探して旅をしている者です。」


 とても丁寧な話し方だった。


「もしよろしければ……。」


 少し言いにくそうに目を伏せる。


「お水を少し分けていただけないでしょうか。」


 ぼくとドラは顔を見合わせた。


「水くらい構わねーよ。」


 ドラがすぐにうなずく。





「ありがとうございます。」


 猫は深々と頭を下げた。


「こっちへどうぞ。」


 ぼくがキャンプ地を指差す。


 猫は静かについてきた。


 焚き火のそばまで案内すると、みんなが不思議そうにこちらを見る。


「どうぞ。」


 せいかがコップに水を入れて差し出した。


 猫は少し目を丸くした。


「こちらは……かわいい人間さんですね。」


 優しくほほ笑みながらコップを受け取る。


「ありがとうございます。」


 そして、一口。


 ごくり、と水を飲んだ。


「……ほー。」


 自然とため息がこぼれる。





 その表情は、本当に心の底から安心したようだった。


 誰も急かさず、その様子を見守る。


 しばらくしてレオが口を開いた。


「随分、長く旅をされていたようですね?」


 猫はコップをそっと地面へ置き、小さくうなずく。


「突然お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした。」


「私は、ある方を探して……ずっと旅をしています。」


 その声には、長い年月の重みが感じられた。


「ある方?」


 らいねが首をかしげる。


 猫は夜空を見上げる。


 月明かりが丸眼鏡に映った。


「はい。」


「まるで吹けば散ってしまいそうな花なのに……。」


「誰よりも強く咲こうとする、そんなお方です。」


 その言葉は、とても大切な宝物を思い出すように優しかった。





「とても大事な方なんですね……。」


 ひかりが静かに言う。


「見つかるといいですね。」


 猫は穏やかに笑った。


「はい。」


 その一言には、長い旅でも消えなかった願いが込められていた。


「おーい、客か?」


 離れた場所にいたむねゆきが戻ってくる。


 その後ろにはモカ、セバスチャン、まお、らいがも続いていた。


 その瞬間だった。


 ガチャン!!


 大きな音が響く。


 ぼくは反射的に音の方を見る。


 さっきまで水を飲んでいたボロボロの猫が、手からコップを落としていた。


 全身が小刻みに震えている。





「あ……。」


 かすれた声が漏れる。


「あ……あ……。」


 その目は、何か信じられないものを見たように大きく見開かれていた。


 ぼくたちは思わず、その視線の先へ目を向けた。


 ボロボロの旅猫は震える手をゆっくり持ち上げた。


 その手が向いている先は――まおだった。


「まおー様!!」


 夜のキャンプ地に大きな声が響く。


「えっ!?」


「な、何だ?」


 みんなが一斉に旅猫を見る。


 ぼくの頭の中は真っ白になった。


 まお?





 確かに今、まおって言ったよね?


 え?


 この猫がずっと探していた人って……まおなの?


 何がどうなってるんだ?


 混乱しながら、ぼくはまおの方を見る。


 すると、まおも目を大きく見開き、信じられないという表情をしていた。


「にゃーとん……?」


 まおが震える声でつぶやく。


「にゃーとんなの?」


 旅猫の体がぴくりと震える。


「そんな……どうしてここに……。」


 今度はセバスチャンまで動揺していた。


 旅猫は大きく目を見開く。


「やっぱりそうだ!!」


 さっきよりもさらに大きな声だった。





「はい! にゃーとんです!」


「ずっと探してました!!」


 そう叫ぶと、一目散にまおのところへ駆け寄る。


「よくぞ……。」


 まおが震える手を伸ばす。


「よくぞご無事で……。」


 二人は固く手を握り合った。


 にゃーとんは何度も何度も頭を下げている。


 ぼくたちは、ただその様子を見ているしかなかった。


 何が起きているのか、まったく分からない。


 ひかりがおそるおそる口を開く。


「まお……この方、知り合いなの?」


 その言葉で、まおがハッと我に返った。


「あ……。」


 しまった、という顔をする。





 すると、にゃーとんが振り返り、少し驚いたように言った。


「みなさん! もしかしてこの方をご存じないのですか?」


「この方こそ、我らがまお―」


「わーーー!!」


 むぎゅっ!


 まおがものすごい勢いで飛びつき、にゃーとんの口を両手でふさいだ。


「んぐっ!? んんーーー!?」


 にゃーとんは何が起きたのか分からず、目をぱちぱちさせている。


「な、何でもありません!」


 まおは顔を真っ赤にしながら必死に笑う。


 ぼくたちは全員、ぽかんとしていた。


 その時、セバスチャンが苦笑いを浮かべる。


「この方は、前にみんなへ話したことがある、離れ離れになった仲間の一人なんだよ。」


 ぼくたちへ向き直り、静かに説明してくれた。





「まさか、こんなところで再会できるなんて思ってもみなかった。」


「そうだったんだ。」


 ぼくはようやく納得した。


 でも、その説明を聞いていたにゃーとんは、今度は目を丸くしてセバスチャンを見る。


「私が……仲間?」


 信じられないという顔だった。


「滅相もない……。」


「この方こそ――」


 スパーーン!!


「いったぁーー!!」


 セバスチャンの見事な手刀が、にゃーとんの後頭部にきれいに決まった。


 にゃーとんは頭を押さえて、その場でしゃがみ込む。


「な、何を……。」


 涙目で振り返る。


 すると今度は、まおが慌てて前へ出た。





「昔から少し思い込みが激しい方なんですよ!」


 あはは、と笑おうとしている。


 でも顔は真っ赤だった。


 どう見ても動揺している。


「全く困りますね……。」


 その言葉にも全然余裕がなかった。


「ふふふ。」


 せいかが小さく笑う。


「なんか訳ありっぽいね。」


「ま、誰にも話したくないことはあるよな。」


 むねゆきが肩をすくめる。


 その言葉を聞いて、セバスチャンが静かにつぶやいた。


「……すまん。」


 そして、まおの方を見る。


「昔の仲間と話したいこともたくさんあるだろ?」


 レオも立ち上がる。





「今日はもう遅いし、解散にしようぜ。」


「そうだな。」


「そうしよう。」


 みんなもうなずき始めた。


 それぞれがテントへ向かって歩き出す。


 ぼくもその場を離れようとして、ふと後ろを振り返った。


 まおと目が合う。


 ぼくは苦笑いしながら言った。


「……なんか大変そうだね。」


 一瞬きょとんとしたまおだったけど、すぐにくすっと笑った。


「うん。」


 少し照れくさそうに首をかしげる。


「かな?」


 その笑顔を見て、ぼくも思わず笑ってしまった。

最後まで読んでいただいてありがとうございます!


毎週土曜日に更新しています。もしよろしければ、ブックマーク登録よろしく願いします!


noteでも活動してます。よかったら「どら猫商店」で検索してみてください!


色々な「どら猫」たちのイラストも掲載してます。


ぜひ、遊びに来てください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。