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君が死んでも世界は美しく回る  作者: りりぁ
氷の散る駅、真紅の薔薇
15/18

15.白銀に溶ける赤※レックス視点

「ひっ……!

 あ、ああ、あああああ……っ!!」


冬の駅の物陰で、俺――レックスは、ガタガタと全身の血が凍りつくような恐怖に震えていた。


ただの偶然だった。

駐屯兵として駅を警備していたときのことだったんだ。

アンナがフラフラと駅を歩いているのを見かけ、思わず物陰に隠れてしまった。


そこで俺が目撃したのは、かつて俺が賭けの道具として弄び、そして捨てた女が、公爵家の人間によって冷酷に線路へと突き落とされる瞬間だった。


ガラス細工のようなエメラルドの瞳と一瞬目があった。

直後、線路に飛び散る、鮮やかな赤。


それは彼女の燃えるような赤毛のようでもあり、散り際の本物の薔薇のようでもあった。


「あいつら……正気じゃねえ……!

ヴァレンティ公爵家は、邪魔なものは実の親だろうが何だろうが、虫ケラみたいに殺すんだ……!」


次は俺だ。

公爵夫人を寝取り、あの完璧な家族に最大の泥を塗った男。

俺が生きている限り、あの冷徹な化物たちが俺を逃すはずがない。


「クソっなんでこうなるんだ!アンナ…アイツのせいだ…ただの軽い火遊びだったはずなのに…俺も公爵家に殺される!

 逃げなきゃ……!

 前線へ、誰も俺を追ってこられない、あの地獄の戦場へ……!」


俺は恐怖に狂いそうになりながら、異国の最前線に志願した。

激戦地?生存率が皆無?そんなの関係ない!国内にいれば間違いなく消されるんだ…!

異国なら奴らも追ってこないかもしれないじゃないか!

命からがら、死地へと向かう列車に飛び乗った。

死にたくないんだ!

あの美しく完璧な公爵家の復讐から、少しでも遠くに逃げ切ってやる。

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