第30話 意味のない会議
学園長からの要請は非常にシンプルだった。
非常事態を考慮し、現在十五層に挑むパーティーで手を組み攻略に当たること。
加えて、生存者を確認し次第、救出を試みること。
ダンジョンには学生以外立ち入り不可。
さらに後戻りできないとあっては、私たちより先に進んでいる上級生を派遣することもできない。
自ずと現在十五層にいる生徒にお鉢が回って来ることは理解できるが――。
「当然だが、生存者の救出は、最優先事項だゼッ! 十五層の全域を隈無く調査して、何としても生き残りを救い出す!」
現在、学園長室を出た私たちは、シャルルの「ミッションに向けて話し合いをしようゼッ!」という提案に従って、学園の食堂で会議を開いている。
そして、今後の方針について、私たちとシャルルたちの間で意見が衝突していた。
「殿下、常識的に考えてください。最後に消息を経ったパーティーがダンジョンに潜ったのは、もう一週間前。生存している可能性は、ほぼゼロです」
リゼットの意見は、十五層の突破を優先事項とすること。
攻略の道中で偶然に生存者を発見しない限り、むやみにダンジョンを探索しないよう提案していた。
シャルルたちより先行して十五層に到達していた私たちは、既にボス部屋を発見している。
最短ルートで危険な十五層を抜ける事ができるのだから、自分たちの身を危険に晒してまで人捜しをする必要は無いというのがリゼットの主張だ。
「だからどうしたってんだベルナール。ほんの僅かでも生きている可能性が残っているなら、助けようとするのが人情ってもんだろうが!」
「キャ~! アルフレッド君優しいー!」
「アタシもシャルルに賛成! やっぱり人助けって大事だよね!」
「ウチもウチも! ベルナールさん空気読めなすぎ!」
後先を考えてないバカと、それに同調するだけのお嬢ちゃんたち。
クロードだけは静かに成り行きを見守っていたが、シャルルたちに反対することはないだろう。
私は言葉を発するのが億劫になる程度には辟易していた。
(リゼットはなんだかんだ言って最後は意見を引かざるを得ない。王族であるシャルルが意見を曲げない限り、私たちはそれに従う他ない)
会議と銘打っているが、実態はシャルルの意見発表会だ。
王子であるシャルルの意見は、誰にも曲げられない。
(本人が人の話を聴けるタイプなら話は別だったけど――)
「よし、過半数が生存者救出に賛成だな。それでは、これより俺たちはダンジョンに潜り、十九名の学生を捜索する!」
(何が過半数だ。全員お前のパーティーメンバーじゃん)
もはや怒る気にもならない。
だが、私も言われっぱなしで終わる気はない。
私はチラリとリゼットに目配せを送る。
彼女は、目で頷いた。
その意味は、『仕掛けろ』だ。
「では、シャルル殿下。十五層の案内は、不肖この私、リーナ・フローライトに任せていただけますか? 私ぃ、シャルル殿下のお役に立ちたいんですぅ~」
「おお! リーナ! 協力してくれるか!」
「もちろんです! お任せください!」
(適当に狭い範囲を散歩させて、しれっとボス部屋に連れて行ってやるからよ)




