表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/19

だん@お祓い

前回のあらすじ!

 トリちゃんから果たし状を突きつけられたれんちゃんは、間髪入れずトリちゃんの突撃を受ける。感動したれんちゃんは風紀委員一同でお祓いをしようとするが、さっちゃんズによってトリちゃんと一緒にファッション同好会へ連行された。しかしそこへノロちゃんが現れ、トリちゃんとともに更衣室に入る。トリちゃんはノロちゃんに憑りつかれ、可愛い絶叫を上げる。そんなトリちゃんに、れんちゃんは果たし受け状を突きつけるのだった!



「と、いうわけで、だんちゃん。

 お昼休みはグラウンドに集合ってことになったから」

「は? なんで私が?」


 登校前の時間。

 朝ご飯を食べている途中で、私ことだんちゃんは、お姉ちゃん(今はハコちゃん)に、突然ワケの分からないことを言われた。


「もう! 昨日、先生とひでちゃんが、お祓いするって言ってたじゃない!」

「そんなの、お姉ちゃんだけで行ってよ」

「えー、だんちゃん、風紀委員でしょ?」

「私が風紀委員になっちゃったのは、お姉ちゃんが私の身体に入ってるときに、勝手に風紀委員に入っちゃったからでしょ?」


 だから私は風紀委員ではないのである。

 少なくとも、風紀を正そうとしてお祓いに行こうなどと考える狂気の集団など、断固拒否である。

 が、お姉ちゃんは止まらない。


「まあまあ、ほら、トリちゃんも来るし」

「知らないわよそんなの」

「えー、でも、あのお父さんのメガネくんを押し付けたのだんちゃんだし?

 後始末はちゃんとしないと」

「そういうのって、お父さんがすべきだと思わない?」


「うむ! その後始末について! 是非! はずむに協力してほしいんだ!」


 突然現れるお父さん。うざい。

 台所からお母さんも出てきた。


「あら、お父さん、今日の朝ご飯はいらないんじゃなかったの?」

「いや、研究が思いのほか早く終わってね!

 いやあ、やはり実践データが集まるとはかどるよ!」

「あら、そうなの。朝ごはん3人分しかないから、適当に自分で作ってね~」


 適当にお父さんを流しながら、洗濯へ向かうお母さん。

 お父さんは私たちの方へ向き直る。

 そして、嬉々としてよく分からない解説を始めた。


「さて! はずむが眼鏡をはずした途端、ノロちゃん君がトリちゃん君に憑りついてしまった理由だが、これは弾とノロちゃん君に霊的な繋がりが薄かったためと考えられる! 現状の霊的制御マシン試作第百拾四号では、はずむつらねのように何かしら繋がりがないと安定的に霊体の制御ができないようだ! これを解消するためには、霊的制御装置に同じ霊体であるはずむの霊的地場を読み込ませ――」

「えーっと、お父さん、そういうのいいから。結論は?」

「トリちゃん君とノロちゃん君を引きはがすには、はずむが近くにいる必要がある」


 焦れたのか、途中で説明をぶった切るお姉ちゃん。

 それに素直に答えるお父さん。

 うざい。

 しかも、結論が最悪だ。


「は? なんで私が?」

「ふむ、それはノロちゃん君は現世に干渉できるほどの極めて特殊な霊的パターンを持っているからで――」

「お父さん、結論は?」

「トリちゃん君とノロちゃん君を引きはがすには、はずむが近くにいる必要がある」


 お姉ちゃんに解説をぶった切られても、同じ結論を繰り返すお父さん。

 これだから研究者(笑)はダメだ。


「うーん、でもだんちゃん、これは残念ながら強制イベントっぽいよ?

 と言いう訳で、お昼休みはよろしくね?」

「あ、ちょっと?」


 お父さんの相手が面倒になったのか、さっさと学校へ向かうお姉ちゃん。

 こんな研究者(笑)と取り残されては大変だ。

 私も慌てて朝ごはんを片付けると、お姉ちゃんの後を追った。



 ―――――☆



 昼休み。

 グラウンドには、私とお姉ちゃん、トリちゃんにノロちゃんが集まっていた。

 極道とさっちゃんも一緒だ。二人はあまり関係ない気もするのだが、極道からは「押忍! 自分は風紀委員なので参加させていただいています!」と無駄に暑苦しい返事が、さっちゃんからは「だって面白そうだったし?」という、いい加減な返事が返ってきている。


「いや、なんで誰もこの幽霊に反応しないんだよ!

 おかしいだろ!

 昨日一日私がどれだけ苦労したと思ってんだ!?」


 一人まっとうなツッコミを入れているのはトリちゃんくらいのようだ。

 指をさされたノロちゃんが、申し訳なさそうに謝る。


「すみません、一度憑りつくと、なかなか離れられないもので。

 博士によると、この後のお祓いで解消されるとのことですので……」

「いや、もうそれはどうでもいいよ!

 なんでこの学校の奴らは!

 お前みたいな幽霊に!

 誰 も 何 も 言 わ な い ん だ よ !?」

「私としては、幽霊も受け入れてくれる素晴らしい校風だと思うのですが……」

「校風とか底辺校とかでなんでも流せると思ったら大間違いだからなあ!」


 トリちゃんとノロちゃんの距離がやけに縮まっている気がする。

 ついでにノロちゃんも流暢にしゃべっている。

 どうやらお父さんが絡んでいるようだが、もう嫌な予感しかしない。

 そして嫌な予感は即座に現実となった。

 先生がやってきたのである。

 お父さんを連れて。


「はい、みんな揃ってるわね?

 それじゃあ、今回のお祓いに協力してくれる方を紹介します。

 こちらは七瀬(ことわり)研究所の、七瀬教授です」

「うむ! 今日はよろしく頼むよ!」


 思わず、声を上げた。


「お父さん!? ちょっと、何してるの?」

「ん? 言ってなかったかい?

 実は、我が七瀬理研究所に、こちらの野倉先生から依頼があってね!

 聞けば、この陽光第一学園が霊的に危機的状況にあるというじゃないか!

 ここはぜひ私が直接出向かないとと思ってね!」


 嬉しそうに叫ぶお父さん。

 もうやめてほしい。

 恨みがましく先生の方を見ると、にっこり笑って聞きたくもない昔話を始めた。


「七瀬さん、教授の娘さんだったのね!

 昔、七瀬教授は私が通ってた大学の研究室にお勤めだったのよ」


 どうやら、先生はお父さんの教え子だったようだ。


「うん、野倉さんはいろいろと霊を引き寄せる体質だからな。

 実にいい研究素材、あ、いや、教えがいのある生徒だったぞ?」


 違った。どうやら、先生はお父さんのモルモットだったようだ。

 しかし、野倉先生はまったく気にせず続ける。


「ええっと、それじゃあ七瀬教授、お願いします!」

「うむ! 任せておききたまえ!

 まずは現状の説明からだが、このグラウンドだ!」


 グラウンドを見渡すお父さん。

 一緒になって私たちも見回す。

 広いグラウンドには、いつも通り、ヨウチ園の生徒が、襲撃に来たドウブツ園の生徒と、元気に殴り合って遊んでいる。


「この通り、非常に霊的に危険な状態にある!

 そこで、この装置の出番だ!」


 どの辺が霊的なのかまったく説明することなく、メガネを取り出すお父さん。

 メガネといっても、私がつけている「ただのめがねクン」ではなく、どちらかというとVRゴーグルに近い見た目だ。横から生えた無駄に長いケーブルが、怪しげな装置に繋がっている。


「これぞ!

 七瀬理研究所が総力を挙げ開発した霊的制御マシン試作第二百二十四号機! 

 『すーぱーメガネくん224』だ!

 このすーぱーメガネくんを装着し、起動、装着者が強い願いを込めれば!

 あらゆる魂が正しい位置に戻る!」


 さっぱり分からない説明をするお父さん。

 が、先生はしっかりとうなずく。


「素晴らしい! これをなら!

 生徒たちを不良などという呪われた状態から浄化することができます!」

「うん! 以前、娘にプレゼントしたメガネがことのほか喜ばれて、つい嬉しくなって全力でまじめに作ってしまった!」

「じゃあ、さっそく起動しましょう!」


 盛り上がる二人は、生徒六人を置いてきぼりにしたまま、装置を起動した。


 先生がすーぱーメガネくんをかける!

 お父さんが怪しい装置のスイッチを入れる!

 その瞬間!


 閃 光 !

  轟 音 !


 思わず視界をふさぐ。

 数秒ほど固まっていたが、やがて視界が戻ると、恐る恐る顔を上げる。


 目の前には、やけに静かなグラウンドが広がっていた。

 どういうわけか、暴れていた不良はみんな大人しくなって、着崩していた制服もきっちり着込んでいる。それどころか、互いに挨拶をかわすと、綺麗に整列。陽光第一学園の生徒は校舎へ、不動武烈学園の生徒は自分の学校へと帰っていく。


「ぎゃー!? なんだこの格好!?」

「うわ、さっちゃん、清楚系に変わってる!」

「だんちゃんこそ、ハコちゃんと同じ感じになってるよ!?」


 そして、私たちの服も変わっていた。

 何がどうなったのか、私もさっちゃんもトリちゃんも、お姉ちゃんのようにダサイ制服に地味メイクとなっていた。


「うん! 成功だ!」

「ええ! ええ! 長年の! 私の夢が叶いました!」


 悲鳴を上げる私たちの横で、大喜びするお父さんと野倉先生。

 しかし、


「おい! ふざけんな!」


 トリちゃんが先生に掴みかかった!


「え? え? な、ナナナ、なんで?」

「なんでじゃねえぇよ!

 自分の夢かなんか知らねえが、こんな意味不明な装置で生徒を変えやがって!

 アンタ! それでもセンコーか!」


 トリちゃんの叫びに、唖然とする先生。


「うちの学校の先生はなぁ!

 転校する私にもなぁ!

 最期までずっと向き合ってたんだよ!」


 きっと、トリちゃんには、熱い青春ドラマ的なナニかがあったのだろう。

 あの先生は不良が相手でも投げ出さなかっただの、あの不良だった後輩も立ち直っただの、実に熱い叫びを上げている。

 これには野倉先生も、涙を流して謝った。


「ごめんなさい! 先生が! 先生が間違ってたわ!」

「ふん! おい、秀! お前んトコの先生だろ! なんか言ってやれ!」


 先生を乱暴に放り出しながら、極道に声をかけるトリちゃん。

 声をかけられた極道はというと、


「か、可憐だ……」


 そんなトリちゃんに見とれていた。

 見つめられたトリちゃんも、顔を真っ赤にして固まる。

 横から、さっちゃんが突っついてきた。


「ねえ、だんちゃん、前から思ってたけど、あの二人って付き合ってるの?」

「うーん、まだ付き合ってはいないっぽいけど?

 まあ、時間の問題なんじゃない?」


 適当に返す私。

 我ながら落ち着いたものである。さっちゃんもそうだが、この程度で動揺しない程度には、慣れてしまったのだろう。

 お姉ちゃんも、平然とお父さんに話しかけている。


「ねえ、お父さん? これってみんな、元に戻るの?」

「ああ、これは試作品だからね。一時間ほどで元に戻るよ。

 ただ、もともとの魂に戻った連と弾は別だけどね」

「え?」

「うん? 気づかなかったかい?

 今、連も弾も、元通りの身体に戻っているよ?

 ほら、さっきの衝撃でメガネが飛んで行ったけど、弾はそのままだろう?」



 ―――――☆



 後日。

 学校のホームルームは、先生が告げる悲報から始まった。


「急な話になるが、只野葉子さんが、急遽、転校することになった。

 なんでも、本格的に病弱な身体を治療するため、病院のお世話になってきます、探さないでください、だそうだ」


「ええ? そんな!」

「不良校唯一の癒し系が!」

「うぉおおお! ハコちゃーん!」


 一斉に上がる悲鳴。

 中にはノリで叫んで知るヤツもいそうだが、お姉ちゃんはそれなりにこの学校に溶け込んでいたようだ。

 そんな中でも、さっちゃんからは、いつものように適当な声がかかる。


「ねえねえ、だんちゃん、知ってる?」


 この間のお祓いで、ハコちゃんかられんちゃんに戻ったお姉ちゃんをばっちり見たはずだが、気にしていない空気を出してくれている。

 まったく、さっちゃんが友達でよかった。

 私も、いつものように、お姉ちゃんをまねて返事を返すことができる。


「知らなーい」

「ハコちゃんは転校で済んだみたいだけど、隣のクラスのノロちゃんはお葬式になったらしいよ?」


 そういえば、あの後、ノロちゃんの姿がなかった。

 なるほど、原理はさっぱりだが、悪霊だったノロちゃんは、お父さんのお祓いで成仏してしまったようだ。成仏したらどうなるかはさっぱり分からないが、まあ、葬式に呼ばれでもされたら線香の一本でも上げてあげよう。


「で、隣のクラスの不良どもが、だんちゃんのお父さんにノロちゃんの復活をお願いしに行くんだって」


 同時、廊下には隣のクラスから不良の集団が走り去っていくのが見えた。


「さっちゃん、私、早退するわ」

「うん、頑張ってね?」


 線香を上げるのは止めよう。

 そう心に決めながら、私は登校したばかりの道を引き返した。


次回予告!

(今回で最終回っぽいですが、まだちょっとだけ続きます)

 家を包囲する不良の群れから、ノロちゃんの復活をお願いされるれんちゃん。れんちゃんはだんちゃんと一緒に、仕方なくお父さんへ取り次ぐ。お父さんはノロちゃんを復活するべく、次元をも超える愛と友情でワープホールを開くのだった!

※ 次回・最終回は、1/31(金)投稿予定です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ