れん@果たし状
前回のあらすじ!
超魔王の助言を真に受けたお父さんが開発した謎マシンで、ついにだんちゃんと分離するれんちゃん。しかし、さっちゃんズはハコちゃんがファッションに目覚めダンボールから脱却したと勘違い。ファッション研究会へと連行される。勢いに流されるまま、着替えを続けるれんちゃん。心が折れそうになりながらも、ついにお気に入りの一着を見つける。しかし、一周回って変わらない格好に、トリちゃんから果たし状を突きつけられるのだった!
(すごい! だんちゃん! 果たし状だよ!
こんなのゲームでしか見たことないよ!?)
〈ああうん、とりあえず読んでみたら?〉
私ことれんちゃんは、ちょっと引き気味なだんちゃんに言われるまま、果たし状と書かれた封筒を開いた。
「せっちゃん、果たし状よむから、メガネ返して?」
「あ、はい」
素直にメガネを返してくれるせっちゃん。
だんちゃんみたいに引き気味なのはきっと気のせいだろう。
メガネをかけて、頭の中のだんちゃんが外に出ていくのを感じながら、果たし状を読み上げる。
「ええっと……
果たし状
決っとうをもうしこむ。
たぶん九時くらいに行く。
私が遅こくしても逃げるな。
だって」
トリちゃん、決闘や遅刻を漢字で書けなかったんだね?
遅刻も言い訳してるあたり、朝早く起きる自身もなかったんだ。
かわいい。
でも、せめて、果たし状なんだから、可愛いキャラ付きのルーズリーフにまるっこい字じゃなくて、ちゃんとした和紙に筆で力強く書いてほしかったな……。
ちょっとがっかりする私。
「九時十分って、もう十分過ぎてるじゃない!」
「あれ? だんちゃん、戻ってたの?」
突然後ろで声を上げただんちゃんに、びっくりするさっちゃん。
どうやらメガネをかけなおしたら、私のすぐ近くにリスポーンするみたいだ。
ちょっと焦ったような顔をするだんちゃん。
でも、さっちゃん達に突っ込まれる前に、すごい勢いで教室の扉が開いた。
「やっと見つけた!」
入ってきたのは、トリちゃん。
そして、なぜか私の方へやって来た!
「え? 私?」
「アンタ以外誰がいるんだ! この間の決着! 付けに来たからな!」
「ええ? 本当に私?」
「しつこけぇな! どう見たってアンタだろ!?」
「ちなみに、アンタってどんな感じ?」
「どうって、そりゃ……」
「ほら、眼鏡かけてた?
こんな制服だった?
あと、なんか足りない感じしない?」
「う、いや、そ、そういえば……」
だんだん勢いがなくなっていくトリちゃん。
不良なのに実はすごくいい子オーラが出ている。
かわいい。
「と、とにかく!
アンタそっくりな子がうちの学校を荒らしてきたんだ!
落とし前をだな……」
「ああ、そういえば、うちの風紀委員が頑張りすぎて、そっちの不良さんが漂白されたんだっけ? じゃあ、代わりに、うちの学校も漂白してもいいよ?」
「あ? なんでそうなんだよ!」
「うん、私も風紀委員だから、協力するよ!
そこにいるひでちゃんも、風紀委員なんだよ?」
正確には風紀委員はだんちゃんで今の私じゃない気もするけど、些細なことだ。
トリちゃんの手を取る私。
乱暴に振りほどかれた。
が、そこへ、社会科の野倉先生が話しかけてきた。
「とても面白そうな話をしてるわね?」
そういえば、今は授業中だった。
「この陽光第一学園に勤めて5年!
生徒自ら底辺高を変えようとするなんて!
先生! 信じてたわ!」
先生は感動で泣いていた!
再びトリちゃんの手を取る私!
「はい! 先生! 隣の学校からトリちゃんも来てくれました!」
「え? いやちょっ、待っ!」
「きっと、不動武烈学園を立て直したその力で!」
「いや、私は立て直したんじゃ」
「この陽光第一学園も変えてくれます!」
トリちゃんの叫びが間に挟まっている気がするが、些細なことだ。
先生は涙をぬぐうと、開いている席に座った。
「それじゃ、さっそく!
学園をこれからどうすればいいか考えましょう!」
「はい先生!
じゃあさっそく!
皆さん!
なにかいい案はありますか?」
ごく自然に、司会者に納まる私!
「な、なあ、あのお嬢、いつもこんな感じなのか?」
「うーん、いつもはもっとハジけてるかな?」
「そうね、ダンボールロボの格好とかしてるし?」
「最近やっとファッションに目覚めたのにねー?」
「でもギャップ萌えって良くない? 今度はきっちり系の服で――」
トリちゃんにだんちゃん、さっちゃんからは、特に意見はないようだ!
せっちゃんズもまじめに議論を続けている!
が、さすが風紀委員というべきか、ひでちゃんが声を上げた!
「押忍! ここは! まず! お祓いに行ってはどうでしょうか!」
「あら、いい考えね。先生も、ちょっと考えてたの」
なるほど、もっともな意見だ!
先生もうなずいている!
「なあ、お前んとこの学校、大丈夫か?」
「は? 大丈夫なわけないじゃない」
「そうそう、ここヨウチ園だよ?
大丈夫とか聞いちゃ、なんとかハラスメントになっちゃうから」
「私としては地雷系不思議ちゃんも似合うと思うんだけどなー?」
「うーん、でもだんちゃんにダメって言われちゃったし――」
トリちゃんたちも否定的意見はないようだ!
ひでちゃんは勢い込んで続ける!
「はいっ! 我が校には!
幽霊ダンボールロボのノロちゃんこと野呂井八子さんがいます!
先生も幽霊に憑りつかれやすく、少し前まで幽霊と同居していたとか!
先生がどれだけ力を入れても!
これだけ我々が風紀活動をやっても!
皆が元の不良に戻ってしまうのは!
超自然的現象が働いているとしか考えられません!」
「そうよね! そうよね!? きっとそうだわ!」
勢い良くうなずく先生!
「あー、あの先生、変な宗教に引っかかるタイプだぞ?」
「あ、やっぱりそう思う?」
「私もちょっと止めた方がいいとは思ってたんだけどね?」
「いっそ、受け入れやすい感じで、ゆるふわ系とか?」
「あ、それ、いいね、採用!」
だんちゃんやトリちゃん、さっちゃんにせっちゃんズも納得している様子だ!
私は遠慮なく議題を進めた!
「じゃあ、今後の風紀活動はお祓いということで!
次に、お祓いの方法ですけど……」
「それは大丈夫! 先生に心当たりがあるの!
大学時代のゼミの先生にね、そういうのが得意な人がいるのよ!
ちょっと連絡してくるわ!」
「押忍! 不肖! 陽ノ道学園! 壱年弐組! 極道秀男!
お供させていただきます!」
それはもう楽しそうに出ていく先生とひでちゃん!
「おいおい、授業中じゃなかったのかよ?」
「そんな常識、今に考えなくなるわ」
「先生も、ちょっと底辺に浸り過ぎちゃったのよ」
トリちゃんにだんちゃん、さっちゃんもしっかりお見送りしている!
私も見送ってもらおう。
先生たちにそれに続いこうと立ち上がり、
「あ、ハコちゃんはこっちね?」
せっちゃんに、がっしりと肩をつかまれた!
―――――☆
「で、なんで私はアンタと並んでこんな格好してんだ?」
「え? なんでだろ? せっちゃん達に捕まったから?」
そして、気が付けばファッション同好会部室。
私はトリちゃんと一緒にゆるふわな服を着ていた。
スマホのカメラを向けるせっちゃんにピースサインを送っておく。
「ほら、トリちゃんも笑って、笑って?」
「ああ? なんで私が!」
「えー? ここまでノリノリで着替えておいて?」
「そうだぞー。ここまでやったんだから責任持てー」
せっちゃんズに突っ込まれ、悔しそうに引きつった笑いを浮かべるトリちゃん。
うん、やっぱりいい子だ。
さっちゃんもうなずいている。
「よし、これは勝ったわ」
違った。
また何かたくらんでいるみたいだ。
「さっちゃん、またイベント?」
「え? ああ、違う違う。 ちょっと他にも着せ替えしたい子がいるから呼んでるんだけど、きっとあの子にも似合うと思って。
でも、トリちゃんに次のイベント出てもらうのはアリね……」
トリちゃんに目を向けるさっちゃん。
「うん、トリちゃん、こっちも着てみよっか?」
「は? あ、いや、ちょっと待て!?」
すごく嫌そうな顔をするトリちゃん。
が、さっちゃんはどこからかコスプレ衣装を取り出すと、じりじりとトリちゃんに迫り始めた。
後ずさりするトリちゃん。
これは止めたほうがいいんだろうか?
でも、トリちゃんのコスプレも見てみたいし――
「失礼しまス!」
などと、葛藤していると、部室の扉が開いた。
ノロちゃんだ。
どうやらさっちゃんが着せ替えしたい子というのはノロちゃんだったようだ。
「は? あ、え? ダ、ダンボール?」
すぐ隣のトリちゃんから困惑の声が上がる。
かわいい。
そんな可愛いトリちゃんから離れたさっちゃん、ノロちゃんへ声をかける。
「おー来たね。よし、じゃあ、こっち来て。あ、だんちゃんもお願い」
だんちゃんの「なんで私が」という声と共に、更衣室に入っていくさっちゃん。
なんだろ?
疑問に思っていると、だんちゃんの「はあ?」とか「ふざけんな!」とか、ちょっと女の子が出しちゃいけない声が響いてきた。
「じゃ、あとよろしく」
数秒後、何事もなかったかのように出てくるさっちゃん。
そして、そのままトリちゃんへと近づく。
「よし、トリちゃん、今度こそ、こっち着てみよっか?」
「おい、ちょっと待て?」
「ん? こっちのが良かった?」
「よくねーよ! なんでモンスターの着ぐるみ出してんだよ!」
「え? 友達に本物のモンスターがいるから作ったんだけど?」
「はあ? いや、そうじゃなくて! さっきのダンボールはなんだよ!」
「え? 私もおしゃれしたいっていうから呼んだんだけど?」
「ダンボールが!?」
「ダンボールが」
言いながら、コスプレ衣装をトリちゃんに近づけるさっちゃん。
逃げようとするトリちゃん。
そっと肩を押してあげる私。
もちろん、押したのはトリちゃんの方だ。
さっちゃんはバランスを崩したトリちゃんを素早く捕まえると、すごい勢いで更衣室へ向かっていった。
「テ、テメェ! 後で覚えとけよぉー!」
果たし状を送った人に「覚えとけ」とか言われてしまった。
とりあえず、笑顔で手を振っておく。
が、すぐに奥の更衣室から叫び声が響き渡った。
「ぎゃー! だ、だんぼーるが! だんぼーるから幽霊が!」
転がり出てくるトリちゃん。
後から出てきたのは、絵にかいたような幽霊さん。
「あ、ええっト、すみませン、間違えましタ」
引っ込む幽霊さん。
閉まる更衣室のカーテン。
再び開くと、
「お待たせしましタ」
だんちゃんと似たような恰好をした女の子が出てきた。
「おー、ノロちゃん、似合ってるじゃん」
後から出てきたさっちゃんが、満足げにうなずいている。
どうやら、だんちゃんと似たような恰好の女の子は、ノロちゃんだったらしい。
「ええ? ノロちゃん!?」
「きゃーー! 可愛い!」
あっという間にせっちゃんズに囲まれるノロちゃん。
「でも、このカッコじゃだんちゃんとかぶっちゃうね?」
「よし! 私たちに任せなさい!」
そして、あっという間に連れ去られるノロちゃん。
代わりに、メガネをかけただんちゃんが出てきた。
「最っ悪……」
「ええっと、だんちゃん? 何があったの?」
「ああ、お父さんがね? おね、じゃない、ハコちゃんだけダンボールから戻したら不公平だろうって、ノロちゃんにもあの変なメガネ渡したらしいの」
「ああ、それでノロちゃんがさっちゃんに服の事、相談したのね?」
「あー、正確にはノロちゃんが相談したのは不良Aで、不良Aからさっちゃんにお願いしたみたいだけど?
まったく、だからって、なんで私がメガネかけないといけないわけ?」
「うーん、きっとお父さんは他に頼める相手とかいなかったんだよ」
「だからって私に許可も取らずに!
許 可 も 取 ら ず に !
勝手に作る!?」
「まあまあ、メガネだんちゃんも可愛いと思うよ?」
私としては慰めたつもりだったのだが、だんちゃんは部室の椅子にドカッと座り込むと、ファッション誌に顔をうずめてしまった。
ふてくされてしまったらしい。
仕方ない、お姉ちゃんが慰めてあげよう。
と思ったのだが、トリちゃんが話しかけてきた。
「な、なあ?」
「ん? どうしたのトリちゃん?」
「さっき、幽霊見えたよな?」
「ああ、あれ? ノロちゃんだよ?
ほら、ノロちゃんって、元は悪霊だったから。
あ、でも、今はダンボールロボで風紀委員やってるから大丈夫だよ?」
「あ、あくりょう? だんぼーるろぼでふうきいいん?」
「そう、悪霊でダンボールロボで風紀委員」
トリちゃんが混乱している。
かわいい。
が、突然、幽霊形態のノロちゃんがトリちゃんのすぐ横に現れた!
「ぴぃえ!?」
「ウィエ!?」
当時に悲鳴を上げるトリちゃんとノロちゃん。
かわいい。
じゃなくて、
「もう、だんちゃん、メガネ外したらダメじゃない!」
「だってなんか知らないけどこのメガネ度が入ってるのよ!?
見えづらいし目が疲れるんだけど!」
「でも、せっちゃん達が着せ替えしてる途中だしさ。
ほら、もうちょっと頑張って、ね?」
「ああもう、後でお父さんに文句言ってやる!」
再びメガネをかけるだんちゃん。
が、ノロちゃんは消えない。
「あれ? どうしたの、ノロちゃん?」
「エエット、スミマセン、ドウヤラ、私ハこちらの、エエット、トリちゃんさんに憑りついてシマッタようデ。だんちゃんさんじゃなくテ、トリちゃんさんがメガネをかけないとダメみたいでス」
幽霊の手でトリちゃんを指さすノロちゃん。
どういう理屈でそうなったのかさっぱり分からないが、お父さんの作品にはよくあることだ。
だんちゃんの方へ目を向ける私。
だんちゃんはうなずくと、椅子から立ち上がって、
「じゃ、このメガネあげるから、あと頑張って?」
トリちゃんにメガネを差し出した。
「は、はぁああああ?」
トリちゃんの絶叫が響いた。
かわいい。
―――――☆
「押忍! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男!
姉御! 失礼します!」
後日の昼休み。
私が机に向かっていると、ひでちゃんがやってきた。
「あ、ひでちゃん、どうしたの?」
「はい! 野倉先生が! お祓いをしてくれる方に連絡が付いたので!
明日の昼休みに決行するとのことです!」
「そうなんだ。じゃ、丁度よかった。
これ、トリちゃんに渡しといて?」
私は書いていた果たし状のお返事をひでちゃんに手渡した。
果たし受け状
小鳥遊ことり殿
う む 、 分 か っ た 。
先、貴殿よりお申し込みの決闘、確かにお受け申し候
ただし、指定の日時は過日となりし為、
○年○月○日十二時
一人で陽光第一学園グラウンドまで来られたし。
あ、だんちゃんが渡したメガネかけて来てね?
じゃあ、当日は楽しみにしてます。
P.S.かんじがよめなかったら、ひでちゃんにきいてください。
「姉御!」
「どうしたの?」
「自分も古文は読めません!」
「……そっか。じゃ、とりあえず明日、みんなでお祓いするから、お昼にうちの学校のグラウンドまで来てって言っといて?」
次回予告!
お祓いをするべく昼休みのグラウンドに集まった一同! しかし、グラウンドは霊的に危機的状況にあった! 決行されるお祓い! その結果は!
※ 次回は、1/29(水)投稿予定です。




