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異世界化物珍道録  作者: 橘 蓮
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第九話

やっと納得いく形になってきた...。


これからまだまだ続きます!

結局、気になって寝れませんでした。

俺はこの調子で行くと、完全に悪役堕ちしそうなんだよ!?

気になるでしょ!?

まあ、アイシャに腕を掴まれていて寝れてないのもあるけど、それはアイシャの寝顔を一晩楽しめたのでプラスだと思っている。

「んにゃ…。あ、お兄ちゃん。おはよう。」

そんな事を考えていたらアイシャが起きたようだ。

「おはよう。アイシャ。よく眠れたかい?」

「うん。ずっとね、近くにお兄ちゃんが居たような感じがして安心できたよ。」

ええ、そりゃずっと腕を掴んでましたからね。

物理的に近くにいますよね。まあ、可愛いので言いませんけど。

「それなら良かった。それでアイシャ。相談があるんだ。ご飯を食べたら聞いてくれるかい?」

俺は冒険者だ。戦いからは逃げられない。

その上、俺には〈神格〉なんて厄介なものもある。

だから、きっと面倒が増えるだろう。自重はしないけど。

アイシャを戦わせても良いのだろうか。今まできっと辛い思いをしてきたアイシャに戦わせても。

「うん。なんでも言って?わたしはお兄ちゃんに付いてくから。」

なら、彼女が戦うというなら俺がサポートしよう。俺はそれができる化け物だから。

「よし!じゃあ、ご飯食べようか!」

「うん。行こ?」そう言って俺の手を取って歩き出すアイシャ。

「ああ。ご飯食べないと力も出ないからな!」そんなアイシャが可愛かったので左腕で抱きかかえる。アイシャも昨日一日で慣れたのか、されるがままであった。


「(うん。抱きかかえると思ったよ、お兄ちゃん。わたしは一緒に歩く感じが良いんだけどなあ。)」アイシャの気持ちはアイシャのみが知る。であった。


そして、俺達はご飯を食べて部屋に戻って来ていた。

アイシャに説明するためだ。今の俺について。ただ、真実ではなく作り話の方をではあるが。

「アイシャ。俺はな?今は事情があって冒険者をやっているんだ。だから、俺が依頼を受けている間、アイシャはどうしたい?これはアイシャの自由意思に委ねたいと思っているんだ。」

俺は、この説明をしないとこの後から依頼が受けれなくなってしまう。

だから、俺はアイシャがどう答えるかに耳を傾ける。

「…。お兄ちゃん、それは一緒にいきたいって言ったらどうしたの?」

「そりゃ、絶対に守るし。傷でも付ける雑魚がいるようならこの世界から一匹たりとも残さず殲滅するよ?どうして?」

そこまで聞いたアイシャは、それを聞いて考え込んでしまった。

「アイシャ?難しく考えなくていいよ?俺が絶対なんとかしてみせるから。」

俺はアイシャには悩んで欲しくなかった。だから、「それこそ、一緒に戦いたいっていう願いでもね。」なんてふざけて言ってみたのだ。

すると、アイシャは「い、いいの?わたしはまだ戦った事もないよ?」と驚いた表情で聞いてくる。

どうやら、俺はアイシャが悩んでいる真相を言い当ててしまったようだ。

しかし、今まで戦った事がないアイシャがいきなり戦うのは無理だ。

それこそ、何かしらの方法でステータスを底上げしないと何も出来ない。

そう悩んでいる俺を見たアイシャは、俺が怒ったと思ったのかすぐに謝ってきた。

「ごめんなさい!わたしなんて足手まといだもんね。ごめんなさい。嫌いにならないで…。」

「待て待て!俺は怒ってない!大丈夫だから!一緒に戦えるように頑張るんだもんな?嫌いになんてならないから!」

泣きそうなアイシャの頭を撫でながら、慌てて説明をする。

「き、嫌いになりませんか…?」

敬語に戻ってしまうほどに動転させてしまったのか。

「大丈夫だよ。俺がアイシャを嫌いになるなんて絶対にないから。」

そう言ってアイシャの頭を撫で続ける。

「うん…。ありがとう。」

「それで、アイシャは一緒に戦いたいんだよね?」

俺は確認も兼ねてアイシャに聞く。

「うん…。お兄ちゃんには迷惑を掛けちゃうと思ったんだけど…。でもお兄ちゃんとずっと居たいから…。」

そんな事を言ってくれるアイシャが可愛くて撫でてしまう。いや、撫でるのはさっきから止まってない。

これからどうやってアイシャが戦えるようにするかが悩ましいところだ。

だが、まず行かなくてはいけない場所があるんだ。この考えは後回しにしよう。

「アイシャとどうやって戦っていくかは今後考える事にして、俺からも今日の予定を話さないといけないな。まずは、アイシャの様子を見せに奴隷商館に行く。その後は一緒にギルドに行こう。そしたら今日の予定は終わりだから、宿に戻って来てゆっくりしよう。」

アイシャは真面目な顔で聞いていた。

「分かったよ。お兄ちゃん。」そういえば、アイシャはあの喋り方は無理をしていないだろうか。それが今更ではあるが心配になった。

「アイシャ、俺の呼び方や喋り方で無理をさせていないか?」アイシャに無理をさせたくないから、無理をしているようなら呼びやすいほうで呼んでもらおう。

「ううん。大丈夫だよお兄ちゃん。わたしは奴隷としての勉強とかはしてないから心配だったから、今の喋り方だと凄い楽だよ?」

俺は、奴隷商館で見たアイシャの状況を鑑みて、アイシャの過去については何も聞かないと決めている。でも、アイシャが話しても良いと思えた時は、俺もしっかり聞こう。

もし、アイシャが望むならアイシャを痛め付けたゴミは俺が廃棄処分する。

「そうか。アイシャがそうなら良いんだ。これからも宜しくな?アイシャ。」

「うん!これからも宜しくね、お兄ちゃん!」アイシャのまるで向日葵が咲き誇るような笑顔に俺は思わず見惚れてしまった。俺はどうやら少し惚れっぽいようだ。

気をつけないと、サジウスとリンさんみたいな関係になるんじゃ…。気をつけよう。俺はまだあそこまでなりたくない。

「よし、それじゃ着替えたら商館の方に行こう。アイシャも着替えておいで?そういえば、アイシャ。長い間、足を使っていなかったようだけど大丈夫だった?」

今更ではあるが、アイシャの足はおそらく長い間使われてこなかったと思われる程に出会った当初は細くなっていたのだ。今は〈キュアファンタズム〉の効果で落ちてしまった筋肉や腱等も完全にその年齢として遜色無いようになっているはずだが、心配なので聞いておく。

「あ…。うん、大丈夫だよ?確かに違和感はあるんだけど、どちらかというと動くから違和感があるみたいな感じかな?今まで動かなかったんだもん。」アイシャは少しだけ暗い顔をしたがすぐに笑顔でそう言ってくれた。

「そうか。なら早く慣れないとな!」だから、俺もそれを気にしないように振る舞う。

「ならさ、わたしは自分で歩きたいんだけど…。」

今度はジト目で見てくる。アイシャの表情がだいぶ豊かになってきた。

今後は楽しい記憶だけで埋めたい。アイシャはそれを許されるだけの不幸を味わっただろうから。

アイシャが着替えてきたようだ。そこには昨日と同じ格好のアイシャがいた。

「アイシャ?どうしたんだ。昨日と同じ格好じゃないか。」

「うん。だってこれが一番気に入ってるから!」

そう言われてしまうと、俺は何も言えないじゃないか。それなら、俺はアイシャを伴って商館に行くだけだ。彼との約束の為に。

「それじゃ行こうか。アイシャ?」そう聞く俺に笑顔で微笑んでくれるアイシャ。

「うん。行こう?」アイシャは俺の手を握って、まるで本物の妹がせかすように引っ張ってくる。だが、すぐに不安そうな顔になって「あ…。お兄ちゃん、わたし今、思いっきり手を引いちゃったけど、良かった…?」と、聞いてくる。

だから、「気にしなくていい。俺にとってアイシャは奴隷じゃなくて大事な女の子なんだ。だから、その程度気にするなって。」と答える。

「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」やっぱり、女の子には笑顔でいて欲しいものだ。

そう、笑顔のアイシャを見て思った。


宿を出て、奴隷商館に向かう。

アイシャの足取りは軽いものだった。まるで、この幸せは絶対に壊れないと信じているかのような、そんな笑顔で俺の手を引いて歩いている。

「アイシャは元気だなぁ。」俺は思わずそう言ってしまう。

「だって、お兄ちゃんがいるもん。だから、わたしはずっと元気でいられるよ!

俺は、そのように可愛らしい事を言ってくれるアイシャの手を思わず握ってしまった。

「ん?どうしたのお兄ちゃん。手を握ってきて。」

アイシャがこちらを見上げるように聞いてくる。そんな仕草の一つ一つすら愛おしい。

俺は、おそらくティア以外に、ひとめぼれをしたのだろう。

既に奥さんがいる立場ではあるが、それでも俺はこの今という幸せを手放せないだろう。これからは、アイシャも守っていこう。俺の傍から巣立つその日まで。

俺が、秘密を打ち明けて別れが訪れるかもしれないその日まで。


「さて、着いたか。…。おはようございます。昨日ぶりです。」

入り口でただ待っていた彼に俺は声をかける。

「おや、おはようございます。お早いですね。」彼も仕事顔でこちらを見てくる。

「あの。おはようございます…。」アイシャも今までの元気はどこに行ったのか、俺の後ろから顔だけ出して挨拶をしている。

アイシャを見た次の瞬間、彼の表情が一瞬にして驚きへと変わった。「も、もしかしてそちらのお嬢様は昨日の…。」どうやら、アイシャの首にあった首輪が見えたのだろう。それで判断したようだ。

確かに昨日までの状況を考えれば、治癒など無理だと思うだろう。

「ええ。確かに昨日こちらで購入させて頂いたアイシャです。」

「ああ…。彼女の傷は治ったのですね?歩ける程に、その失った耳や尻尾が元に戻…るまでに…。」最後まで言い切ると、彼の両目からは大粒の涙が流れていた。

「ええ。私にはそれが出来ますから。」俺は、きっと彼なら俺の秘密を守るだろうと思えたから、俺が治したのだと伝える。

「…国で一番と言われる〈超級回復魔法〉の使い手すら匙を投げたのに…。貴方に買われた彼女はきっと幸運なのでしょう。しかし、どうやってあれ程に酷い傷を…。」

俺は、彼が今見せている姿こそが本心なのだと。きっと今流している涙は、アイシャを思って流しているのだと、そう思ったから事実を伝える。

「秘密ですがね?どんな傷でも、たとえ死んでも蘇生可能な魔法が、〈回復魔法〉にはあるでしょう?それを行使したまでです。」

彼の下にいる奴隷にはきっとその人なりの幸せを探して貰っているのだろう。

だから、彼は、一番幸せから遠いと諦めていたアイシャに幸せが訪れたと思ったのだろう。

「それと、アイシャはこれから最高に幸せなモノを見つける為に生きるんです。だから、今の状況程度で貴方が泣いたらダメでしょう。」

彼が泣いていいのは、もっと先だろう。今はまだ泣いてはいけない。

「ほら、泣き止んで下さい。ここはまだ店先ですよ?」俺は彼が泣き止むようにと思って声をかける。とても、志の素晴らしい人だと思ったから。

「ええ。ええ。そうですね。まずは店に入りましょう。なに、お茶くらいはサービスさせて下さい。」真っ赤にした目を擦って、笑顔でそう言ってくる彼に俺は断る事も出来ずに店に入る。

「少しだけ待っていて下さい。…。顔を洗ってきますから。」

そういうと、彼は奥の部屋に向かった。それと入れ違うように部屋に入ってきた奴隷の少女から紅茶を出される。彼女にも欠損があった。ウサギの獣人族だとは思うが、片方の耳が半分程なかった。

紅茶を出した少女が戻ってからすぐに、彼は笑顔で戻ってきた。

「お騒がせしました。まさかこれ程の幸運に出会えるとは思わなかったので。」

まるで隠すまでもないと言いたげに、とても嬉しそうに笑顔を浮かべている彼を見ていると、毒気を抜かれていく感じがする。

「いえ、約束していましたから。アイシャをまた見せに来ると。私はその約束を守ったまでです。それに貴方は朝一から待っていたのでしょう?私達が来るのを。」

そう、彼が立っていたのは店の入り口。まさにずっと待っていたと言いたげに入り口に立っていたのだ。

「おや、バレてしまいましたか。ええ。私はずっと待っておりました。…。正直に言いますと、私は彼女が幸せになれるとは思っておりませんでしたから。少しでも、少しでも楽しいと感じられるように。僅かにでも幸せを掴めるように。と思っておりました。ですが、貴方が連れてきたのは、国一番と謡われる回復術師すら投げ出した傷をいとも簡単に治して、その秘密が漏れる可能性を引きずってでも、私の下に彼女を連れてきて下さいました。だから、私はそんな貴方なら本心をお見せしても良いと思ったのです。」

そういう彼の笑顔は悪戯が成功したような子供の笑顔にも似ていた。

「そうでしたか…。」

あまりにも彼の奴隷にかける思いが大きく、それ以上の言葉は出なかった。

「私としては、その他の欠損奴隷も治癒を望むと思ってましたよ?」

だから、俺は確認したかった事を言う事にした。

「何を言いますか。貴方は確かに素晴らしい〈回復魔法〉の術者なのでしょうが、私の大切な奴隷に幸せを与える為にその力を振るえる貴方に取っていい行動ではないでしょう?その行動だけは。私はそこまで恩知らずではないですよ。」

そう言う彼の瞳からは嘘偽りはないと、そう語るような力強さがあった。

「そう、ですか。」俺は彼のその強さにどこか羨ましく思う気持ちすら持った。

だから、俺はこれ以上ここに居られないと、同時にそう思ったのだ。

「貴方の本心が垣間見れて良かった。私は、貴方の事を好ましく思います。」

俺が、この世界で心から尊敬出来る人物の一人になっていた。

「そうですか。それは良かった。あ、そうそう。貴方は獣人族についてはどう思いますか?」質問の意味が分からないが、俺は思ったまま言葉にした。

「好きですよ?私はそれほど獣人族について詳しくないですが、それでもアイシャと同じ種族なら嫌いになれませんよ。」

そう語る俺を彼は笑顔で見てくる。

「良かった。人族の中には、獣人族を毛嫌いする人もいるのですよ。アイシャさんに対する貴方はとても優しそうだったので心配などして居なかったのですが、やはりどれだけ考えても心配だったもので。」

なるほど、そう言うことか。と思ったのと同時に「先ほどのウサギの獣人族の人、とても美しかったですよね?」と振ってみた。

「ええ!そうでしょう!私もとても美しいと思っているんですよ!いつも笑顔を絶やさず、こちらがして欲しい事を分かってくれる!本当に才色兼備だと思っており…!…。聞かなかった事にして下さい…。」途中まで活き活きと語っていたが、俺がニヤついているのを見て失態だと思ったのか、真っ赤になっていた。

「いえいえ。本心を見れて良かった。それでは私はこの辺で失礼しましょう。冒険者としての仕事もありますから。」と、俺もそろそろ帰るとアピールして席を立つ。

「そうですか。貴方がアイシャさんを買ってくれて本当に良かった。これからもどうかアイシャさんを宜しくお願い致します。」そういうと、おもむろに頭を下げてきた。

「そこまでされなくても分かってます。私は、それだけは守りますよ。」

俺達は店前で別れを済ませる。そこには、先ほど紅茶を運んできた彼女もいた。

奴隷商人の彼の見る目が、どう見ても恋をした少年のようで俺は思わず「応援しますよ。」と小声で言ってしまった。

すると、彼は顔を真っ赤にしてしまった。だいぶ仲良く慣れたと思う。

そして、思わず彼の後押しがしたくなって、彼女にも小声で「これは横のご主人からのプレゼントです。」と言って、俺は魔法を行使する。

まずは、〈上級闇属性〉の〈フィールドヒュプノ〉。これは対象の範囲に眠りを誘う魔法。これを、欠損奴隷の居た部屋全域に。

次に使うのは、アイシャにも使った〈キュアファンタズム〉。これで欠損奴隷全員と目の前の彼女を癒す。

俺はこの人との繫がりを手放したくなかった。だから思わず使ってしまったのだろう。

アイシャは俺がこんな所で〈天災級回復魔法〉を使うと思わなかったのか唖然としている。

「それでは、また今度会いましょう。その時は私も何かご祝儀でも必要ですかね?」

なんて、からかいながら唖然としたまま固まったアイシャを左腕で抱きかかえて歩き出す。

その日、とある奴隷商館の欠損奴隷は「天使の光を見た。」と言っていた。しかし誰も信じなかったのだ。なぜなら、その奴隷は皆、傷なんてどこにもなく、とても綺麗な姿だったから。



頑張るっ!


最近、筆の進みが遅いのは全部アズレンのせいなんだ(責任転嫁中


誤字等、ありましたらご報告ください!その時はすみませんとしか言えませんがね!本当にすみません!前倒して謝っておくぜぃ!


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