0.8歩を踏み出す
随分長く話し込んだようだ。窓の外には月が出ていた。
あー。こっちの夜は少し寒いな。
周りは凄く静かで何の音もしない。ここに来るまで大変だった。なんて感傷の気持ちになる。
隊長は月が好きだった。よくお前みたいだと言われたこともある。だけど俺は隊長のほうが月の様だと良く言った。
「隊長。私にはこれが正しい答えかは分かりません。
ですがもう誰かを失うのは耐えられない。次こそは守ってみせる。」
俺は世界平和なんて興味ないけどそれであいつらが喜ぶのならそれも悪くないかもしれない。
めんどくさいけどな。
月を見ながらそんなことを考えているとバタバタと誰かがかけてきた。
「隊長!こんなところにいた!僕凄い探しちゃいましたよ。」
「お前人様の屋敷だろ。もう少し静かに出来ないのか。お陰で廊下に声が響いているぞ。」
サイバーは俺の言葉が不満だと言うようにふくれっ面をした。
「隊長がわかりにくい場所にいるのが悪いんです!せっかくアニータが持ってるUN○やろうと思ったのに!」
「あいつは何しにここに来たんだよ。」
「隊長ー。良いから行きましょうよ!」
「分かった分かった!今行くから先に行ってろ。」
「えー?絶対ですよ?」
「はいはい。」
「イェーイ!」
言いながら走り去っていくサイバー。うるせぇ。あいつに静かは無理だな。 なんか疲れた。
また窓を一瞬みてサイバーの行ったほうの廊下に着いて行った。
月がいっそう輝いてる気がした。
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目の前でワインをグビグビ飲んでいるこいつはやっぱり王子らしくないやつだ。
「?アイスト、飲まないのか?」
「ううん、飲むよ。…よくこんな高そうなワインをグビグビ飲めるよな。」
苦笑いしてやると、
「王子だからな。」
と、笑われた。
「いやー。久しぶりに会ったのに全然変わらないね!」
「いや、手紙でなら良く連絡し合ってただろ。」
「直接だとまた違うものだよ。前に会ったのは大分前だったのに成長もしてないし、老けてもいないし。」
「老けるほど歳をとってないからな。」
「まぁ、まだ若いからね。
で、どうなんだい?王は受け入れてくれそう?」
「分からない。親父も最近は頭が固いからな。」
そういってワイングラスを飲み干した。
俺はきっとこいつならなんとかしてくれると思ってはいる。昔から頼りになるやつだ。
「ハハッ。」
「おい何笑ってんだよ。こっちは真面目に考えてるのに。」
「いや、俺の相棒は頼りになるなって。」
「幼い頃の話だろ?」
「違うね。お前と俺は今も相棒同士さ。」
ワインを傾けながら飲み干した。
コンコン
ノック音がした。
フランは首を傾げた後言った。
「誰だ?こんな時間に。」
するとドアの向こうから意外な声がした。
「あぁ。やっぱりお前らか。道に迷った。ここは何処だ?」
「ロス⁈ また道に迷ったのかい?もーしょうがないんだから。」
俺はドアを開けてロスを招き入れた。
「よくこの部屋が分かったな。」
フランが不思議そうに言った。
「お前らの話し声が聞こえた。あと匂い。」
「相変わらず犬みたいなやつだな。ここの部屋は防音だから普通声なんかしないし、俺たちは特に匂いがつくものなんて持ってないしな。」
俺はその言葉に疑問を持った。
「じゃあロス。なんでそれでシャイ達を探さないの?」
「あいつらは匂いなんてしないからな。血の匂いはするがそんな奴この屋敷にも沢山居るだろ? 変な物探し当てたくはないからな。」
「確かにそうだな。遠慮してくれ。」
そうゆう場所もきっとあるんだろう。フランも苦笑いだ。
「じゃあ、僕が案内してあげるよ。」
「あぁ、すまないな。」
「じゃあ俺はここに居るから。終わったら飲み直そうぜ。」
フランはそう言うけど俺はそんなに飲めないよ。
ロスとともに廊下を歩く。
「あいつも変わらないな。」
「ハハッ!ロスもやっぱり思うんだ!でも会うのはこれで二回目でしょ?」
「いや、良く会ってたろ?」
不思議そうにロスは言った。
「あ、気づいた?そう、よく僕らの家に遊びに来てた子だよ。」
僕らの家…。
もうなくなったけどね。
「…。たまに彼処に帰りたい気がするよ、俺。」
「燃えた家には帰れないだろ。馬鹿なこと言うなよ。」
俺たちの家は孤児の集団の家だった。でも、邪魔な場所にあったらしく政府に燃やされてしまった。
「それに家なんてなんでもいいだろ。仲間がここに居るんだから。」
俺はびっくりして顔を見つめた。
「珍しいね。ロスがそんなこと言うなんて!」
「気まぐれだよ。」
「ふーん。」
なにか心境の変化でもあったのだろうか。ロスが仲間がどうこうなんて言うなんて。
いいことだね。




