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第五話 憧れのキャッスル

僕らは、なぜか門番につれられ、おそらくお城に行くことになった。明日になるか、今日になるかはまだわからない。もし行くとしたら、人生初、そして憧れの地についに行けるのかと思えば、胸がはじけそうなぐらいうれしい。

 案内は意外と互いに困惑していた。


 僕らは「なぜ」「いつ」「どこに」と城へ案内される理由を。


 案内する側の人たちも、僕らが「なぜ」「どうして」城に行くのかそんな疑問の表情を浮かべていた。


 互いに話し合うべきだろうが、いきなり話す勇気はない。あれだ。道端で出会った二人が、横断歩道で止まっても互いに話すわけがない。そんな感じだろう。おそらく。


 だから僕たちも、門番に聞こえないほどの音量で会話をしていた。主に四人だが。


「もう、これで宿屋満室だったら、どうしよう。」


「うん。僕たち、ただでさえ歩き回ってきてたよね。」


 物語りの進行としてはたしかに普通で、許容範囲だがキャラクターにおいては緊張するし、謎の出来事である。


 それに、本来ならレオンはまだ勇者の地位を持っていない。この設定を知らないうえでのこの仕打ちなら、もっと態度を悪くしていただろう。


「宿屋よういしてくれてないかな。」


 ケイルがのんきにそういっている間にも、周りの景色は目まぐるしく変わっている。



 規則正しく並ぶ兵隊のような、均一されたデザインをした家とお店が並んでいた。歴史的な建物なのか、そういうテーマのもとたてられたのか、とにかくきれいだった。語彙力がなくなるぐらいには。


 人の衣装も、これまで見たが革装備なんてモノではない。絹?シルク?とにかくザ・貴族ですといわんばかりに、豪華な衣装だった。いやあ、もう見ていて目がキラキラとしているのがわかるよ。だが、そんな派手さは持ちながらも、着る人たちはとても礼儀正しいいい人たちだ。


 門番につれられて歩いている僕らをみて、反応を示した。大抵の野次は何もわからないので悪いことをしたと思うのだろう。


 だが、そこにいる人たちは全く違った。

「あら、何か有名な方々かしら?」

「本当か?もしかして、歴戦の騎士とかか?」


 いえ、まったく違うはずです。だが、言われて嫌な気はしない。歴戦の騎士……間違いなく僕はお荷物だが。


 それを聞いていたのは僕だけではなく、みんなんだった。戦闘にいるレオンも、ちらりと群衆に目を向けて、「ふっ」と鼻で笑う。――なぜ笑う?


「あいつら、本当に自分で行ってんのか?」


 それは革新的な質問だった。あいにく僕はもう答えられない。というか、予測もほぼできない。レオンは少しだけ遠い目をしていた。


 ここは現実ではあるが、物語りの一種。娯楽の一つで、死んだらイベント判定。それを、知ったときの絶望感と言ったら計り知れないだろう。怪我をしたら、登場人物の成長?こことここのペアがいいから、グッズとして売り込む?

 これは、キャラクターにとって人生を大げさに、改変されている結果論であるかもしれない。


 僕はそれを見られたくないと思うが、みんなはどうなんだろう。


 やっぱりいきなりその役目を押し付けられて屈辱とか感じているのかな。それだとしたら、作った僕が本当に申し訳ない。できれば、その人の人生として見届けたかった。


 土下座したい気持ちもあるが、なんだかそろそろ目的地に着きそうだ。なぜなら、目の前にそびえたつお城が僕らを出迎えているのだから。




 青と白を基調とした洋風の城。赤い旗がパタパタと揺れている。マークが刻まれているからおそらく国旗だろう。ドラゴンの紋章がちらりと見れた。


 ああ、迫力がある。ただそういう見た目をした建物だというのに、そこにいるみたいなオーラを放っていた。近づくにつれ、国王がどれほどの権力を持っているのかがわかるだろう。とにかくでかい。僕の身長の何倍だろうか。


 というか、みんなお城に来たことがあるのかな。気になってみんなの会話に耳を傾けると、ちょっとだけ驚いた。


「てか私たち、今城の中に行くんだけど。やばい、自慢ものじゃない?」


「う、うん。心臓が出てきそうです。」


 アンナとルマはここに来たという事実に恐怖と好奇心と、興奮?を抑えられないようだ。なんだかずっとそわそわしている。門の前では文句を垂れていたというのに。


「なんかきれいだな。その金を農家に回してほしいがな。」


「忙しいんだ。どこもかしこも。」


 なぜかこちらは経済的な話をしていた。まったく共通点がないとは言えないけど。


 まとまりのない二組?いや三組だが。みんなバラバラだがちゃんと目的がある。


 魔王討伐。そして、これから訪れるであろう。国王陛下との対談。


 それを成功させない限り、永遠に平和と自由が訪れない。そして僕は一生成人できないままこの世界に囚われてしまう。物語って年齢上がったりするのほとんどないからさ。永遠の十六歳を過ごすわけだ。


 カツカツと革靴の音を鳴らしながら長い廊下を歩いていく。すごくショックだったのは、赤いじゅうたんは二階に続く部屋にしかない。つまり、赤いじゅうたんの上をみんなで歩くというシーンを回収できなかったということだ。だれか、二次創作として書いてくれと願いながら僕らは足を動かした。


 これから、何をいわれるんだろうと胸を高鳴らせながら。

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