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なのじゃ!!  作者: デト
第2章
34/53

首都ドドギーラ

 アルタイル王国から東位置に存在する、ドドギーラ王国。

 かの国が所有する大地の、6割以上が砂漠の地であった。


「うわぁ。何か、凄い……」


 ミラーゲートが設置された建物内から、外へ出る王立ヴェルト学園の者達。

 先頭を歩く先生に着いていくほとんどの生徒達が、普段見慣れた光景と違う街の造りに、周りを見渡す。


 語彙力を感じさせない呟きを漏らしたカリアも、その1人だ。

 建物は街の中でも高い位置に存在するらしく、左右に視界を動かすだけで街の端まで見渡す事が可能。


「岩に囲まれた街ですわね。滝も所々から、溢れだしておりますわ」


 カリアの隣に立つマカハーンが、観たままの光景を口にする。


 かなり広い街だが、その先には必ず岩の絶壁──いたる所から、無数に滝が流れる岩の壁が視界に映った。


 現在居る場所もザバババッ! と、聴覚を刺激し。

 後ろを眺めれば、建物の後ろにも岩の壁が視界を埋めつくし、少し離れた場所では大量の水が溢れ滝が出来ている。

 この場所は、岩壁の崖に建築されていた。


「この岩の壁を越えた先に、砂漠が広がっているようだね」


 ガイドブックを眺めたアシュレイが、現在地と周囲を確認。

 彼女に習ってカリアとマカハーンの2人も、ガイドブックを開きマップを調べる。


「なるほど、五角形の街なんだ。王宮もアルタイル王国と違って、街の角に建てられているのか」


 簡易型の地図ではあるが、首都ドドギーラの全体図が載っていた。


 五角形のてっぺんの角部分に王宮が存在し、王宮から直線的に続く大通りの道。

 街の中央からは道が3本に別れ、鳥の足を想わせる道の造り。

 その3本の道を進むと、首都ドドギーラを出入り出来る三ヶ所の門に繋がっているらしい。


 崖下を見下ろすと、砂漠のオアシスに建造された街だと分かる。


 岩の壁に近い部分は滝の水が貯まっているので、岩の壁と泉に囲まれた街と表現するのが正確だ。

 地下水が岩の壁を伝って湧き出ているのだから。

 砂漠の中に存在する街だが、そのおかげで緑にも恵まれていた。


 珍しいものを観察するように、景色を楽しんでいた皆は崖をくだり、街の中を進む。


 建物の形は、前にロンティナへ向かう途中に寄ったアッカドの街に近い。

 四角い建物、と言う部分のみだが。

 流石はドドギーラ王国の首都なだけあり、建物全てのディティールが丁寧な造りだ。


 建物の壁や屋根の装飾、全体の細かい部分すら綺麗に彫刻された街並みである。


「白色の建物と緑色の植物が、程よく合わさっていますわね」


 そして、まるでタイル張りのような石畳み。

 アルタイル王国と同じく、肌色や茶色とオレンジの足場。


「ここが、俺達の宿泊する場所だ」


 ランバール先生が立ち止まり振り返ると、右手の親指を肩越しに指していた。


「おお!」


 生徒の皆が期待溢れる声を出す。

 周りの白い建物とは違い、この建物は濃い茶色や赤色の、それでいてレンガの造りをしており豪華な感じをムンムンとさせている。

 大きさも周囲の数倍はあり、入口のガラス扉から覗く内側も期待感を増幅させる。


「よーく、聞け! この後は、ドドギーラ王国のギーラ学園に向かう。今回の目的が、互いの実力を見せ合う事だからな。各決められた部屋に荷物を置き、戦闘で必要な物を持って、またここに集まれ!」


 ランバール先生はそこまで告げて、一度生徒達を解散させた。


 部屋は勿論、男女別である。

 行動を共にする班と、部屋を共にする者は別々。

 既に決めてあった部屋のチームで集まり、宿屋のフロントで部屋の鍵を頂く流れ。


「よろしく、ハルシオン」


「……ふん。まさか私が、貴様と同じ部屋とは」


 ドドギーラ王国には3日間世話になる。

 3日目にはミラーゲートを使用し帰還する計画だ。


 金髪の少年は嫌々と態度に示すが、それ以上の事はしない。

 何時もなら『落ちこぼれ』と騒ぐ彼も、進級試験の後から大人しくなっていた。













 時は経過し、場所もかわる。


 ドドギーラ王国には獣人族(ビースト族)の集落が存在し。

 それ故に、首都ドドギーラの中にもアルタイル王国とは比べられない人数、多くの獣人族(ビースト族)が出歩く。


 ミレシェルアとは違い、アルタイル王国で暮らす皆は他の種族を見慣れているので驚く事はない。


 獣人族(ビースト族)と言っても、普通の人々と見た目に大差は無く。

 獣特有の耳や尻尾を始めとした、人間(ヒューマン)にはないポテンシャルがあるのみ。


「お初にお目にかかります。王立ヴェルト学園の者です」


 時たまそんな彼らとすれ違いながら、生徒達は1つの建物にたどり着いた。

 大きな建物を遮る鋼鉄の門の目の前に、1人の人物が立ち尽くし。

 先頭を進む教師、ランバールがその者に挨拶を送る。


「よくぞお越しくださいましたぞ。わたしはギーラ学園の、学園長を勤めさせて頂いております。ネネチカ、と言う者ですじゃ。よろしくお願いしますぞ」


 見た目はお婆さん。

 背は高くなく低くもない、細身であり歳からか白髪のその頭に猫耳らしきモノを生やす。

 猫の獣人族(ビースト族)である女性は、姿勢を伸ばしカンフー衣装のような長い袖ごと腕を胸元の前で合わせて立っていた。


(ああ、ガイドブックに載っていた人だ)


 一目見て、どこかで見た人だと、悩んだカリアは思い出す。


 『連武(れんぶ)』のネネチカ。

 若き頃に、ギルドのゴールドランクまで登り詰めた強者。

 それほどの者が学園長を勤め、今は若き者達に指導をしている。


「それでは、わたしの可愛い生徒達を紹介しましょうぞ。着いてきてください」


 皆に背を向け、閉じた門に向かい合うネネチカ。

 閉じられた瞼を開くと同時に、姿勢を変える事なく金色銀色の輝きを放出し、門に纏わせた。


「この門は剛鍛(ごうたん)の門と呼ばれる、修業にも使われる門でして。毎朝、生徒の皆が頑張って開けるのですぞ」


 重々しく物を引きずる音を響かせ、たった1人で鋼鉄の扉を押していく。


「まじかよ……」


 誰かが呟く。

 ムーンフォースで肉体を強化し、腕を使って門を押すならまだいい。

 しかし、ムーンフォースのみでその鋼鉄の塊を動かす猫耳お婆さんの姿に、生徒達の多くが絶句してしまった。


「自由時間の時にでも、皆さんも修業で試してくだされ。行きますぞ」


 ネネチカ婆さんの後を追い、ギーラ学園の敷地にお邪魔していく。


 連れて行かれた場所は、講堂だ。

 校舎とはまた別の大きな建物に入っていき、その中に100人近くの生徒達が椅子に座っている。


 広い舞台を向くように設置された席の右側に陣取るその者達は、ギーラ学園の二年生達。

 やはり王立ヴェルト学園と違って、生徒達の中に獣人族(ビースト族)が多い。


 皆は左側の空いた席に腰掛けていき、舞台の上に立つネネチカさんの話が始まる。


 対決方法は、砂漠に住まうモンスターの討伐。

 昼も夜も砂漠は危険な場所なので、それぞれ10人1組ずつにパーティを組んでいく。


 砂漠と言う、ギーラ学園側にとって慣れた環境による有利な差もあるが。

 今回は、そこら辺のハンデをつける事なく競争を始める。


 要は、相手を観察して技術を盗めばいい。

 簡単な事ではないが、互いの学生達はそうして高みに登らせるのだ。


 説明も終わり、競争による火蓋が切られた。














 砂漠でモンスターの討伐合戦が始まり、早1時間。

 砂の海が広がるこの地中から、あらゆるモンスターが襲い掛かる。


 サンドキラーピオン。

 ローズクラーケン。

 ジルクス。


 サソリ型や刺の触手を持つタコ型、砂を泳ぐ魚。

 アルタイル王国では観ることのないモンスターの姿に、多くの生徒達が苦戦中。


「カリア!?」


「うわあああああ!?」


 そんな中、カリアの足が触手に捕まり、地中へ飲み込まれ消えてしまった。

 マカハーンの悲鳴にも似た叫び声が辺りに響き、モンスターの群れと戦う周りの皆は唖然と一部始終を眺める。


 突然の状況に、何が起きたのか理解に遅れる一同。


 地中へ追い掛けようとするマカハーンをアシュレイが止め、まずはドドギーラの者や先生に状況説明をするのが先だと。

 今はカリア君を信じて、深追いは危険だから止めるべきだと。


 どのみち周囲のモンスターと戦っているアシュレイが「ここは僕が足止めすると」他の組んでいた生徒達に伝え、救援を呼ぶように行動させた。


 砂漠の地中がどのようになっているのか分からない以上、カリアの身が危険だとしても追い掛ける訳にはいかない。

 無駄な犠牲者を増やしかねないから。

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