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もしも人間が魔王になったら  作者: キバごん
異世界炎龍編
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第八十一話 魚は焼け、そうしたら大抵食える

「……」


悟られないように近く海斗達ーーーー

しかし近づくと言っても陸地が続く末端まで……目的の都市までは五百メートルはあるように思えられた。


一旦様子を見るため、小さな崖の下に身を置いた。

目の前には巨岩が三、四個海から顔を出しているためかくれるのにはうってつけなのだ。



「近くに寄ってくごとにどれだけデカイのかわかるな……」



岩から顔だけ出して都市を眺める海斗ーーー

彼の言う通り都市はかなりの大きさだ。

使い古された言葉を使うなら、まるで一つの島の如く。


そうだとしても、こちらにはかなりの戦力……恐るるに足らず。

しかし海斗が懸念しているのは戦力ではないーーーー敵がこちらを察知することだ。



「このまま近くのは忍びねえし......」


「結構な大人数ですもんね」



その察知方法は海の中……

浮上してきた海中都市の周りには先ほどの化け物達がウジャウジャと泳いでいるのだ。

どうやら都市を守っているらしい。


なるほど守護兵にしては上出来かもしれないーーーそう海斗は感心した。

この手の知性が低い生物は、敵と判断したものが前を通ると暴れ出す……それを応用して、金をかけずに機能を補っているということだ。


そしてこちらは11人......一気に向かってはすぐに気付かれる。



「門番にしちゃあ多すぎるくらいだから......んぅぅ......」


「どうする海斗……私達は特攻する覚悟を決めたぞ」


シェイラとアノミア女騎士コンビは剣を持ち真剣な眼差しを海斗に向けた。

言葉通りの様子。

しかしながらそのまま 『はい、どうぞ』 と行かせるわけにもいかない。


「待たんか、特攻なんてしたら一気に気付かれること山の如しだろうが」

「……なので今からじゃんけんをする、最後まで負けた奴が偵察に行くんだ、いいな?」


二人だとしても気付かれる最大の材料となってしまう。

何より二人を絶対に失いたくない。


だからこそ海斗は一人で向かうためにじゃんけんで決めることにした。

それならば平等であるし一人なので隠密行動がしやすい。


では早速ーーーーー



「はいせーの」


「ジャン」


「ケン」


「ポン」



計11人が一斉にじゃんけんするーーーー

この一回ではなかなか決まらない。

普通は何回か負けた者同士で勝敗を決め、少人数になっていくはずなのだが……


ほぼ全員が手を広げている中

一人だけ拳を作っている者が一人


「デアアァァァ……! 私ですか……!!?」


シウニーだった。


「最初からそういうルールだっただろうが、この大人数の中、一発でお前が負けたということは神に選ばれし実力者」

「だから自分を卑下すんじゃねえぞ、ほら行ってこい、んで逝ってこい」


はなから見捨てる気満々じゃないですか! 大体! どうやっていけばいいんですか!」


「泳いで」


「体食い散らかされるッ!」


飛んでも目立つ、泳いでも見つかる……

一体どうすればいいのか。

困り果てるシウニーにバルが口を開くーーー


「シウニー……」

「何かを勘違いしてはいませんかーーーーー?  あなたはただ危険にさらされるのではありません」


「姫……」


「今から輝かしい功績を残しに行くのです……未知なる存在に対して」

「でも、心が萎縮されることはありませんーーーー貴女が帰る場所は私たちがいます」


「……そう、ですね……」

「姫の……言う通りかもしれません」


優しい口調ーーー落ち着いた表情……非常に落ち着かせてくれる。

少しずつではあるが心が整えられてくるのだ。












「だから、私たちは貴女の屍を越えていきます」


「やはり私は死ぬ前提なんですね」


なんでこんなことに……

挑んでもいないのに死が目の前まで来てるような気がする。

本当にヤダ。


「大丈夫です、骨一本くらいは持って帰りますんで」


「何のフォローにもなっていない! どうせなら怪我なく全身を持って帰ってください!」



バルの追い打ち!

ひたすら絶望感を叩きつける結果になった。


そのシウニーを落ち着けるために海斗は静かに話し始めた。



「あのなシウニー、俺は何の策も無しに行けと言ってるわけじゃあねえ」

「あそこを見てみろ」


「……? 何ですか……」


海斗が都市に向かって指をさす。

それは都市の正面から右にそれた場所ーーーーークワガタの頭のような形をしていた。


「あそこはおそらく橋を架ける場所なんだろう……そうでなくちゃあんな変な形してねえ」


「でも……どうやって橋を?」


海斗は淡々と話すが箸を下す手段が分からない。

果たしてこちらが手を加えて下すことができるのか……

その中ーーーールシファーが双眼鏡で都市を見て、何かに気づいてたようだ。



「双眼鏡でチラリと見えますが、赤鈍く光るライトの下にスイッチがあります……あれが橋のスイッチかと」


「そんなところにスイッチ!? 不用心過ぎません!?」


どうにかしたら敵が入ってくるのに!?


「ちょうどいい、シウニー行ってこい」


「早! 自分は行かないから決断早!」


「わかったよ……命綱つければサッと行けるか?」


「命綱? あるんですか!? あったらいけますよ!」


なんだぁ、そんなものがあるなら最初から言ってくれればいいのに〜

シウニーの顔と心は平穏に包まれる。

これならいける!

騎士としての実力を思う存分発揮出来る!


そして海斗が出してきた命綱は



「はいこれで行ってこい」



釣竿だった。

シウニーに糸を巻きつけた状態だ。



「やっぱり私のこと餌だと思ってますよね!? 残機って思ってますよね!?」


「んなこと思ってねえよ、だから早く食われてこい」


「本音だだもれだよちくしょうが!!」


こんなんなら行きたくない!

第一痛いし! 手も縛られてるから泳げないし!


駄々をこねるシウニー。


ーーーすると、ブクブクと水面が泡立つ……そこから


「AAAAAAAAAAA!!!!!!」


「ーーー!」


巨大魚が姿を現した。

それは飛び、海斗達めがけて落下してきたのだ。


「お、自分から餌に飛びついてきたぞ」


「いやそんな悠長に構えてる場合ですか! どうにかしないとーーーーー」



目と鼻距離まで迫ったところでーーーー

アノミアが剣で切ったのだ。


地響きを起こして地面に横たわる魚。

息絶えたようだ。



「魚の三枚おろしは得意でな……腕をふるわせてもらった」


「流石アノミア、シウニーより頼りになる」


「私今ぐるぐる巻きで手が動かせないんですけど」


一先ず突然の危機は去ったーーー

良かったと胸をなでおろす一行。


「魔王様〜」


「んぁ?」


死んだ巨大魚の目の前に座り込むバル。

口の部分を指差していた。

その注目の理由は



「なんか今切った魚から人が出てきたんですけど」


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