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もしも人間が魔王になったら  作者: キバごん
呪われた子編
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第六十七話 心晴れない時はトイレに篭れ

「これは大きい……」


バル達は城の北西方向にいたーーー

そこに炎龍が舞い降りたからだ。


「本当に捕獲しなくちゃいけないのか?」


条件を背負い気だるそうな顔を浮かべるサタン。

巨大なものほど捕獲するのには時間がかかるーーーそれを知っているからだ。

できることなら討伐したい。


「魔王様がそう言ってるんです……それに裏があると書いていましたしーーー信じましょう」


「なんだかんだ言ってお前らあいつのこと大好きだよな……」


種馬変態魔王とか散々言っていたのに……


「そりゃ当然、私はあの方に救われましたし?」


じゃあ変態いうのやめてやれよ……

呆れるサタンーーー


「……はぁ……しゃあねえーーー乗ってやるか……」


「そうこなくては」



各々武器を構えるーーー



「……では……捕獲しましょう」


「殺さないようにね……」




前衛は得物を見れば一目瞭然ーーー

アイナ、シウニー、サタンの3人


サタンは飛びーー空中を支配する

二人は龍の手足を登り注意を引かせる



狙い通り龍がそれらを振り払おうとするーーー

そうだ、3人が攻撃の要ではない


地上に残った者達こそそれにあたる

魔力を高め一気に捕獲する計画だーー


そのために3人は傷つけず奮闘しなくてはならない


だが龍の攻撃を避けるのは容易そうだ



「やはり……ッ! 体が大きいとその分動きも遅いですね……!」

「ならばこちらのものです!」


背中に羽を生やす騎士二人ーーー

それにより顔めがけて急接近することができた


「ーーーーッ!」


アイナは龍の頬に蹴りを入れるーーー

たまらず顔をアイナからそらした


武器で傷つけてしまっては、力加減が難しい

打撃がちょうどいい攻撃手段なのだ




ーーーー


ーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー




先ほど、シウニーを場内に戻らせた後ーーー



「……魔王様はいかないのですか?」


「ーーまぁな……ちぃと気になることがある」


「なるほど、だから私の元に」

「……場所はどこへ?」


「この国の近くに森があるだろう、さらにその奥には山も見えるはず……そこを目指してくれーーーーーどう進めばいいかは口で示すからよ」


「それは決定的なことなのですね?」


「あぁ、確実にそう思う……頼むぞ勝」


「かしこまりました、全速力で向かいます」


言い終わると勝の背に飛び乗ったーーー




ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー


ーーーー




そして今に至るーーー

そこでは海斗の言うように、元凶たる者達が闊歩していた。


「よう閣下さん!!」

「また会ったな……!」


「き……貴様……なぜここに……!?」


海斗がいることに驚きを隠せない男ーーー

汗も吹き出て見るからにまともではなくなっている。


「なぜって……単にお前の運が悪かっただけじゃねえのか? ジニアイさんよ……」


「……!」


「でも俺の考えは当たってたってわけだ……あれだろ? 龍をおかしくさせたのもてめえらだろ」


「……あぁ……そうだ……」

「正しく我らの計画……先に龍で蹂躙し、次に我らで息の根を止める……その筈だった……!!ーーー貴様がいなければなぁ!!」


海斗の問いに素直に答えたジニアイ。


「そうかい……まぁ、俺が邪魔しねえでも既に折れちまってるもんだがな」


「なんだと……!」


「どうせ前と同じ恨みで行動してんだろ……?ーー支配下になる事を拒んだから滅ぼす……単純明快バカ丸出しの理由だよな」


「黙れぇ!!……貴様に何がわかる……!ーーこの世界では孤立したものから消えてゆく……他国を支配下に置こうとすることの何がおかしい!」


「別にそれ自体がおかしいなんて言ってねえよ、やり方が汚ねえって言ってんだよ」


「手段など選んでいられんのだ……!!……今もな……! やれェ!!この糞ガキを始末しろ!」


部下に命令を下すーーー

部下達は迷うことなく所持している銃を構えた


「勝、右に行けーーーーそこの奥の方で隠れていてくれないか……」


海斗から見て左は崖ーーー右には草木が生い茂っているのだ


木刀に手を掛け、彼らに聞こえないよう勝に言葉を飛ばす海斗ーーー

その眼差しはひたすらに前方の敵を牽制するかの如く睨み付けていた


「……わかりました……どうか、ご無事で」


足を引っ張らないためにも、願いを聞くためにもそう言うしかなかった



勝が海斗の言う通り隠れに行くーーー刹那


「撃て撃てェ!!撃ちまくれェ!!」


ジニアイが海斗の方へ指差し号令をかけた

当然部下達は海斗に向けて発砲する



「ーーーー」



とんでもない弾丸の雨だが海斗は焦ることはなかったーーー

部下の配置ーーーー持っている銃の種類

それらを全て頭に入れ弾幕が薄いところへと身を置きに行く


しかしいずれはそこも濃くなっていくだろう

従ってまた薄いところへと体を運ぶ


その繰り返しで敵へと近づいていく


それは実を結び、遂にたどり着いたーーー

彼らはどよめき正当な対処ができなくなる


「や……奴はやはり、銃ではダメなのか……ッ!?」


その勇しき海斗の姿に怯えるジニアイ


確実に兵を一人、また一人と蹴ちらす海斗ーーーー

もはや子供の姿ではなかった



このままではまた、あの時のように壊滅してしまう……


誰か……誰か止められる者はいないのか……!?








その願いは叶ってしまうーーーーー



順調に兵達を跳ね除けていた海斗

だがそこで


「……ひっ……!ーーーーっーーー」


怯えた一人の兵士が出鱈目に撃った弾丸がーーーーー



「……ッ!」



左肩に当たった



ーーーーしまっ……!



弾丸一発……これくらいならまだ気にしなくていい……!


そう体に言い聞かせるがーーー先ほどより動きが遅くなったのは明瞭



さらに、一瞬だけ痛みにより体を止まらせてしまった



それを見逃さずジニアイが片手銃を向けーーー

撃った


それは海斗の腹に命中し、大きく体を歪ませた


「ガァ……ッ!」


その歪みは崖の方へと移動し



海斗はなす術なく転落した





魔王様……ッ!


身を潜めていてほしいという願いだったが……

こうなれば話は別ーーー


勝は自分の身を案じず海斗が転落した方へと飛び出て行った。




「ほう……あの獣逃げたのかと思ったが、まだいたのかーーーー」

「まあいい……これほどの高さから落ちて仕舞えばひとたまりもないだろうしな……ふふ……」


「ふはははははは!! いずれにせよ私は勝った!ーーあの忌々しき小僧を打ちのめしたのだ! この他でもない私がなァ!!」



山にはジニアイの笑い声が響いたーーーー




















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