第六十五話 久しぶりに会う友達は案外変わってないもんだ
「海斗か!!?ーー海斗なんだな!?」
うっすらと涙を浮かべる青髪の女性ーーー
海斗の方向へ手を伸ばす。
「い、いや……人違いじゃないかな……多分……」
「人違いなわけあるか!……私が……この他でもない私がお前を間違える訳無いだろう!?」
「海斗ぉぉ…会いたかったぞぉ……!」
周りの目も気にせず海斗の胸に飛びついていった。
「ちょっ……!ーーーおま、抱きついてくんな……!」
「カイトォォォ!?私というものがありながら違う女騎士と浮気カァァァ!?ーーーあの時の純潔散らしはなんだったんだぁぁぁ!!」
その光景にアイナが感嘆の声を上げる。
「純潔散らしてないし添い寝しただけだし!」
「やっぱり魔王はド変態だったのか!」
「やめてサタンンンン!それ以上不名誉レッテル貼らないでええ!」
それに続いて
「種馬……?」
「やめてええええ!!心豆腐だからやめてえええ!」
「でもボクは……人形として扱われても良いから……」
「扱わないから、物として見ないから!」
ーーーー
「海斗は今何をしているんだ?……元の世界に戻ったはずだが」
「まぁ……うん、そうなんだけど……」
頭を掻きながら答える海斗ーーー
どこか照れくさそうだ。
「海斗は魔王をやってるんだ」
なかなかはっきり言わない海斗を放って先に真実を言うサタン。
その言葉にーーー
「魔王……」
「そうか、魔王……ーーーッ!?」
「お前王になってるのか!?」
かなりの驚きを示す青髪の女性。
「う、うん……」
「なぜだ海斗オオオォォ!?ーー私達がこの国の王に就いてほしいと言っても拒否ったのにイイィィ!!」
頭を抱え唸り声を出す女性ーーーー
「……そうなんですか?魔王様」
「……ぉぅ……」
答えにくいけど、実際そうだ。
俺は国王になって欲しいと言われたーーー国中の女騎士から。
だけど俺は受け入れなかった。
精神的にも年齢的にも子供だったからだ。
「なんで魔王にはなって私達の上には立ってくれない!?ーーあれか!?淫魔の上に立って好き放題しゃぶりしゃぶられ放題だからか!?」
「そうじゃねえよ!」
ほんとやめてそういうこと言うの!
「え……そうなんですか……?」
「じゃねえつってんだろ!つかテメェが無理やり魔王にならせたんだろが!」
ほらー!バルが反応した〜!
「私達もやれと言われたらやるぞ!どこでもしゃぶるぞ!」
「私もだ海斗!悪魔の底力を見せてやる!」
張り合わんでいいから騎士二人!
「えぇ、魔王様気持ち悪い……流石に堕天使でも引きます……」
「だぁ……っ」
「これまでのまな板呼び謝ってください変態」
「……キモ……ッ!」
「一旦落ち着けお前ら」
ーーーーーー
ーーー
「なるほど……魔王様は過去に転移した経験をお持ちなんですね」
「そうだ……」
二、三分経ち、全員心が平静を取り戻しすことに成功した。
「なぜ言わなかったんですか」
「言いにくいというか……どうやって説明していいか分からなかったんだよ……」
話すと長くなりそうだし……
「……」
……なんでさっきから見つめてくるんだこいつは……
「……なんだ」
「……」
「………へへ〜……」
「」
女騎士は変なのしかいないのか……
「……あの……そろそろ依頼の件を……」
シウニーが口を開くーーーそうだ、俺たちはただ話をしに来たんじゃねえ、ドラゴンの討伐に来たんだ。
「ぁ、あぁそうだったな……すまない、海斗の目を見るのに忙しくて忘れていた」
本当にこいつなに言ってんの。
「城の中に来てくれ、そこでその話をしようーーーーあ、名乗るのを忘れていたな……私はアノミア・ルーツ、よろしくお願いする」
「よろしくお願いします……こちらは人数が多いのでまた後ということで……」
「わかりました……さて」
大きく息を溜め始めるアノミアーーーー何しようとしてんだ……まさか
「おーい!皆ー!海斗が戻ってきたぞおおおおお!!」
「言わんでいい!言わんでいいから!!」
ーーーーーー
ーーー
城内に入り巨大な扉の前までやってきた海斗達ーーーー
「この扉を開ければ国の頂点に立つお方、シェイラ様が待っている」
「あ、シェイラか……あいつも元気にしてんのか?」
「そりゃそうだ!ーーその上、以前よりますますお美しくなっている……」
シェイラは、高身長で胸はでかく、いわゆる天性の体を持つ女騎士ーーー
目はルビーのように赤く輝いていて、髪の生え際は黒ーーー先端に行くほど白くなっている。
女性から見てもかなりの美人なはずだ……
それなのにますます綺麗になっているのかーーーーすごく楽しみだ。
「では開けるぞ……シェイラ様!クエスト受注者を連れてまいりました!」
静かにーーー重く慎重に扉を開くと
「おぉ……受けてくれる者がいたか……!」
シェイナが椅子に座っているのが見えた。
「かなりの勇ましさを持っているのだな! 一体どんな者た……ち……」
「……」
「……おっす」
「……か……海……」
海斗を見るや否や体を震えさすシェイラ。
「そうですシェイラ様!海斗です!海斗が再び来てくれました!!」
「か、か……いと……お前……!」
「久しぶりだなシェイラ」
「海斗オオオォォォ!!会いたかったぞおお!!」
身を起こし猛スピードで海斗に近づいていく。
その姿は虎が獲物を見つけた時の如くーーー孫を見つけた祖父母の如くであった。
「お、おう俺もだz、ちょお前も抱きついてくるんかいいぃぃ……っ!ーーイダダダダ!もうちょっと優しく!ただでさえお前胸でかいんだから!!くるじぃ……!!」
海斗ぉ、海斗ぉと喜びを全身で表現するシェイラ。
引き剥がそうとする海斗であったが……まんざらでもなさそうだ。
その光景を見てバル達はーーー
「……」
「なるほど、たらしですか」
「たらしだな」
「種馬で、たらし」
「種馬たらし変態魔王」
「違いますよ、種馬たらし変態ロリコン魔王ですよ」
「お前ら覚えとけよ」
言いたい放題だ。
「海斗オオオオオオオオ!!」
「海斗オオオオオオオオ!!」
「お前らはもっと騎士らしくしろや!」
ーーーーー
「なるほど……海斗は無理やり魔王に……」
「そうだ、決して自分からなったわけじゃないから」
魔王になった経緯を話した海斗。
「……」
「……では我らも無理やり国王になってもらうことも可能というわけか……?」
「いや、そうはならないから」
「流石シェイラ様!では早速取り掛かりましょうか!」
「いや、まだいいーーー依頼が終わったら体力も気力も消耗してまともな思考ができなくなっているだろう、その時に拘束して契約を結ばせよう」
「本人目の前にいるんだけど、作戦だだ漏れなんだけど」
こいつらよく騎士やれてんな。
「あの……依頼の方はよろしいでしょうか……?」
またしても依頼の話を持ち出すシウニー。
再開の感動に浸るのもいいがまずは依頼だーーーさりげなく空気を読むところがシウニーの良いところだ。
「……そうだった……海斗の体を見るのに忙しくて忘れていた」
「お前もかい」
こいつらよく騎士や(ry
「紙を見てくれているのならわかると思うが……内容はドラゴンの討伐だ」
「ドラゴンがなんかしたのか?」
「あぁ……ここはまだ目立った被害はないのだが……ここから一番近い国が襲われた」
「ドラゴンが近づいていることを事前に察知し、国民は非難していたようだがーーーー国の三分の一は壊滅したそうだ」
「……ぅぁ……」
凄まじい事件だ……
確かにドラゴンの印象はそんな感じっちゃあそんな感じだが。
「しかしな……それ自体おかしいのだ……」
顔をしかめるシェイラ。
「……?ーー何か違うのですか?」
「あぁ……今言っているドラゴンは炎龍と呼ばれている、その炎龍は普段おとなしいのだーーー人間は一切襲わない」
「だが最近になってーーー先ほど申した事件を引き起こした」
「……それは、おかしいですね……」
そうなのか……
当然被害をもたらした……
「思春期じゃねえのか?」
「思春期て……ドラゴンに思春期あるんですか……」
「ほら、富士山も思春期だって聞いたことあるし、案外ドラゴンもあるんじゃねえかな」
「……そうだといいのだが……」
考えを膨らませる海斗達にアノミアが一枚の紙を手渡す。
「ーーーとりあえずクエストの契約書を書いてくれ海斗」
「ぁ、あぁ……」
それを手に取り書かれてある文章を読むが……
「これ王になるための契約書じゃねえか!」
「ーーッチ、ばれたか」
「しょうがないアノミア、次はプランBを決行する!」
「いやだから本人目の前えええええ!!」




