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1人が楽だと思っていたのに、あなたと2人が楽しすぎて  作者: あぽぉ


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16/21

私の居場所

そして、いよいよ一学期の期末試験が始まった。

勉強会の甲斐あって、中間考査よりかなり成績は上がった。

そして、試験が終わっても、放課後になると自然と私の足は図書室に向かっていた。

勉強会に参加することになった時は、成り行きだったし、試験が終わるまでならと思っていたけど、予想外にあの図書室での時間が心地よかった。

教室で1人でいる時は、なんだか落ち着かない感じがするけど、昼休みの中庭と放課後の図書室は、とても落ち着ける空間だ。

一緒にいる人のおかげかな。


図書室には、当たり前のように3人がいた。

試験で解けなかった問題の復習や、夏休みの課題に取り掛かっている人など、いつも通り、教え合いながら取り組んでいる。

私もいつもの席に座る。

勉強が一区切りつき、そろそろ帰ろうかと言う空気になった時、唐突に美希が言った。

「今週の日曜日、みんな空いてる?試験のお疲れ会しようよ」

それを聞いた佐々木さんと小林先輩は、「いいねー」と乗り気だ。

私も流れに逆らえず同意した。

流れに逆らえずとは言っても、嫌なわけではない。

むしろ、このメンバーならいいかなと思えている。

島崎くんの言うように、ほんと変わったんだな、私。


◇◇◇


そして日曜日。

島崎ベーカリーに行きたいと駄々をこねる桃花を制し、お疲れ会の会場となるカラオケ店に向かう。

待ち合わせ時間の5分前に到着すると、すでに佐々木さんが待っていた。

いつものお下げは下ろしていて、少しウェーブのかかった髪が背中まで伸びている。

服装は、白のブラウスに紺のロングスカートと、清楚な感じだ。

イメージ通りだな。

「早いね」

「今来た所だよ」

そんな挨拶を交わし、会話が途切れる。

佐々木さんと2人っきりって、久しぶりだな。

何を話せば。

こういう時のコミュ力のなさは、変わってないな。

すると、佐々木さんが沈黙を破ってくれた。

「つむぎちゃん、無理して私たちに付き合ってない?」

「え、」

「ほら、1人が楽って言ってたのに、美希ちゃんが強引に勉強会に誘ったから、断れなかったのかなって」

島崎くんと同じことを、心配してくれてたんだ。

私、自分が人に気を使うのがしんどいとか言いつつ、周りの人にめちゃくちゃ気を遣わせてる。

「全然そんなことないよ。自分でも驚くほど、みんなといるのは落ち着くんだよね」

佐々木さんが、安堵したように息を吐く。

「それならよかった。私も4人でいるの楽しいよ」

その時、ピンクのワンピース姿の美希と、ブルーのシャツにジーパン姿の小林先輩が、やって来た。

美希はやはり、お嬢様オーラが滲み出ていて、小林先輩はスタイリッシュに決まっている。

「わー、みんなの私服新鮮ね」

互いの私服姿を、一通り褒め合い、私たちはカラオケ店へと入って行った。


で、カラオケに来たのはいいが、誰かと来るのが久しぶり過ぎて、何を歌えばいいのやら。

1人の時はひたすらアニソンなのだが、おそらく喜んでくれるのは小林先輩だけで、あとの2人には引かれるかもしれない。

悩んでいると、美希が一番手に名乗りをあげた。

今流行りの、女性アイドルグループの曲だ。

っぽいなー。

次に佐々木さんが、マイクを取る。

こちらは意外にも昭和の歌謡曲だ。

最近の曲には疎いらしく、親が聴いている昭和の曲しかわからないとのこと。

そして気になる小林先輩は……アニメの曲だ。

けど、声優さんが歌ういかにもなアニソンではなく、普通のJ-popアーティストが、アニメに提供した曲だ。

なるほど、そう来たか。

しかもこの曲は、夏目友人本のオープニング曲だ。

「知らないなー」

「でも、いい曲だね」

と話している2人に、これはアニメの曲で、アニメも素晴らしいと熱弁したい気持ちを、グッと堪えた。

歌い終わった小林先輩が、私の方を見る。

こっそりグーサインを出すと、笑顔が返ってきた。

私も、小林先輩に習ってアニソンと気づかれないアニソンを歌った。

案の定、小林先輩だけ知っているようで、視線で会話を交わした。


その後も、4時間ほどカラオケを楽しみ、私たちは解散した。

なんだかんだ、楽しかったな。

また、4人で出かけたいと思った。


帰り道、突然スマホに着信が入った。

画面を見ると、妹の桃花の名前があった。

妙な胸騒ぎを抱きながら、通話ボタンを押す。

「もしもし桃花? どうしたの?」

すると、予想外の人の声が返ってきた。

「春野か?大変なんだ。桃が……」

それは、初めて聞く彼の酷く焦った声だった。

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