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1人が楽だと思っていたのに、あなたと2人が楽しすぎて  作者: あぽぉ


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12/21

放課後の勉強会

もうすぐ、夏休み前の定期考査。

元々、無理してレベルの高い高校に滑り込んだので、入学してからも大変だろうとは覚悟していたけど、思った以上にやばい。

とりあえず、今日から放課後は図書室で勉強して帰るか。

家ではなんだかんだ集中できないし、わからないところがあれば先生に聞きに行けるし。

てなわけで、私は図書室の扉を開いた。


さすが進学校、あちらこちらで勉強中の生徒が、参考書とにらめっこをしている。

その中に、見知った横顔を見つけてしまった。

佐々木さんだ。

そういえば、放課後は図書室で勉強してるって言ってたっけ。

その隣には、もう1人女子生徒が座っていて、時々佐々木さんに話しかけている。

あれは……美希さん?

あの2人、知り合いだったの?

そういえば、佐々木さん、図書室で一緒になる子と仲良くなったって言ってた。

まさか、美希さんのことだったとは。

美希さん、島崎くんと同じ高校に行くために、必死に勉強したって言ってたし、私と同じく授業についていくのに必死なんだろう。

それで、日頃から放課後ここで勉強していたのか。

試験前になって焦っている私とは大違いだ。


私は2人に気づかれないように、一番離れた席に座ろうとした。

が、何を察したのか、佐々木さんがこちらを見た。

気づかれた。

でも、声はかけてこない。

彼女は、私が好んで1人でいることを知っている。

それに、美希さんと私が知り合いだとは知らないのだろう。

気を遣ってくれている。

なのに……。

「あらー? 春野さんじゃない? こっちこっち」

手招きする美希さん。

周りの人たちの視線が集まる。

何してくれてんだ。

「ちょっと、美希ちゃん。図書室で大きな声出しちゃダメだよ」

慌てて、美希さんを止める佐々木さん。

私は苦笑いを浮かべながら、仕方なく2人に近づいた。


「やぁ。…美希ちゃん、春野さんと知り合いなの?」

「うん。まぁ、友達の友達みたいな感じかしら」

いつから友達に?

「へー、そうだったんだ。春野さん、勉強しにきたの?」

「あー、うん。試験勉強しようかと」

「じゃあ、一緒にしましょうよ。加奈子ちゃん、頭いいし、教えるの上手なのよ。ねー、加奈子ちゃん」

「そうかな。教えるのは私の勉強にもなるから、全然いいんだけどね。私でよければ」

美希さんが、佐々木さんの隣に座るよう促してくる。

んー、どうしよう。

まだ、美希さんへの苦手意識は克服していないんだけど。

だけど、勉強を教えてもらえるのはとても助かる。

ここは、試験のため。

「じゃ、じゃあ、仲間に入れてもらおうかな」

こうして、試験まで放課後の3人での勉強会が始まった。


美希さんの言う通り、佐々木さんはとても教えるのが上手だった。

美希さんも、意外と静かに勉強に取り組んでいた。

予期せぬメンバーと試験勉強することになっちゃったけど、この空間は結構快適かもしれない。


◇◇◇


「美希と勉強?」

島崎くんに、図書室でのことを話すと、とても驚かれた。

「私もびっくりだよ。まさかこんな展開になるなんて」

「また、美希のやつが強引に誘ったんだろ」

「まぁ、きっかけは美希さんだったけど、意外と勉強捗ったよ」

「それならいいけど、無理してつるんで、またうじうじ悩むなよ」

「なにそれー! 大丈夫だもん。多分」

でも、島崎くんなりに心配してくれてるのかな。


その日の放課後も、図書室で3人並んで勉強会。

佐々木さんは理数系が得意だけど、英語は苦手らしく、3人で英文に悩まされていた。

「ここはこうじゃないかしら?」

「いや、それは違うんじゃないかな」

「じゃあ、どれが正解よ?」

「んー、春野さん、どう思う?」

「えー、全然わかんない」


その時、私たちの斜め前に座っていたメガネの男子生徒が、こちらに話しかけてきた。

「ちょっといい?」

「あ、すみません。うるさかったですよね」

「いや、その問題は……」

そう言って、丁寧に解説しながら問題を解いていく彼。

「あー、そういうことだったのね」

「ありがとうございます。助かりました」

3人で頭を下げる。

「あなた、頭いいのね」

「まぁ、僕、一応2年だから。そのくらいなら教えられるよ」

「先輩でしたか」

美希さんが慌てて頭を下げる。

「僕こそ、盗み聞きみたいなことしてごめんよ。英語なら僕も教えられると思うから」

そこから、英語は彼に教えてもらうことになった。

彼は、2年生の小林悠太先輩。

とても優しく、謙虚な人だった。


家に帰ると、母と桃花が何やら揉めていた。

「あんなヤンキーと関わっちゃダメ」

「りゅう兄ちゃんは優しいもん」

まさか……。


「どうしたの、2人とも」

「お母さんが、りゅう兄ちゃんのこと危ない人って言うの。そんなことないよね? りゅう兄ちゃん、いい人だもんね?」

桃花が涙目で私に同意を求めてくる。

「紬も、あのヤンキーと知り合いなの? あ、そういえば、あの制服、あんたの高校のだわ。優等生ばかりが通う学校かと思ってたのに、あんなヤンキーがいるだなんて」

「島崎くんは真面目だし、成績も私なんかより全然いいし、優しい人だよ」

私は、つい熱くなり、母に食ってかかっていた。

「あんな格好してる子が真面目なわけないでしょ」

鼻で笑いながら言う母。

私は、怒りが湧き上がってくるのを抑えることができなかった。

「人を見た目で判断するとか最低。お母さんはいつも自分が正しいと思ってるよね。私たちの言葉に耳を傾けようともしないで。そんなんだから、お父さんに逃げられんだよ」

そう言い捨て、私は家を飛び出した。

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