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第7話:Eランクパーティーと、ホワイト魔王城の昼休憩

いつもお読みいただきありがとうございます!


第7話です。

今回は勇者レオンの過去――「数年前のEランクパーティー結成」と、ポンコツ仲間たちの壮絶な(?)足引っ張りを追います!

そして後半は、魔王城での凛による「ブラック労働撲滅・HR(人事)指導」と、ガスカルのカップ麺事件をお届けします。


対照的な二人と、相変わらず重すぎるガスカルの忠誠心をお楽しみください!

――数年前、冒険者ギルド。


「すみません、誰か前衛(前線)で戦える冒険者はいませんか!? 私たち、ダンジョンに行きたいんですけど前衛が足りなくて……!」


ギルドの窓口で声を上げたのは、15〜16歳ほどの少年少女三人組だった。

弓を背負った少年**ロイ**、綺麗な魔法詠唱服を着た少女**エリーナ**、そして聖印を抱えたシスター風の少女**クララ**。

三人が身につけている装備や服の仕立ては一目で分かるほど上質で、どこかの裕福な貴族か豪商の子供であることは明らかだった。


しかし、ギルドカードの等級は最低ランクの『Eランク』。


窓口の職員は苦笑いしながら、ギルドの隅にあるベンチを指さした。


「前衛なら、ちょうどあそこに一人でパーティーを探している奴がいるよ」


三人が視線を向けると、そこには一人の少年剣士が座っていた。

背筋がピシッと伸びた品のある立ち姿――だが、着ている皮の胸当ては傷だらけで、服のあちこちには継ぎ当てがしてある。育ちの良そうな雰囲気に反して、装備はあまりにもボロボロだった。


同い年くらいの16歳。同じEランクの剣士、**レオン**である。


三人で少し躊躇した後、意を決してレオンのもとへ歩み寄り、軽く自己紹介を交わした。

これが、のちに『勇者パーティー』と呼ばれることになる四人の出会いだった。


---


【ダンジョン:限界突破の『キャリー(ワンマンプレイ)』】


――ダンジョン内


「ゴ、ゴブリンがこっちに来たわ! ロイ、射抜いて!」エリーナが悲鳴を上げる。


「任せろ! 俺の視力はタカ並みだ!」


ロイは気取りながら弓を引き絞った。フォームは完璧、力加減も百点満点――シュバッ!

矢は美しく空を切り、**止まっているモンスターの半メートル横を通り抜けて**天井の鍾乳石に突っ刺さった!


「なんで外すのよ! エリーナ、炎魔法で燃やしちゃって!」ロイが焦って叫ぶ。


「わ、わかったわ! 『大いなる炎よ、我が糧となりて……』あれ? 次のフレーズ何だっけ!?」


パニックになったエリーナは詠唱を崩壊させ、杖の先からプシューッと不発の煙と紙爆竹のような火花を出しただけだった。激怒したゴブリンが彼女に向かって飛びかかる!


「キャーーッ! クララ助けて! 回復ヒールしてー!」


「し、神よご加護をぉぉっ!」

すでに正気を失ったクララは、固く目を閉じて自分自身に魔法をかけまくった。

『ライトヒール!』

温かな光の粒子がクララを包み込む――**彼女自身はカスリ傷一つ負っていないのにもかかわらず!**


三人そろって完全なる無能&パニック状態!


――シュバッ! タアーン!


その瞬間、ボロボロの装備を着たレオンが、三人の間を風のように走り抜けた!


滑らかな剣筋でゴブリンの攻撃を受け流し、急所を的確に穿ち、もう一匹の脚を蹴り折る。無駄のない最小限の動き。

ほんの数秒で、襲いかかってきたモンスター群は全員床に転がり、沈黙した。レオン自身には傷一つついていない。


---


【休憩時間:レオンの本音】


休憩時間、汗を拭きながら水を飲むロイが、感心したように声をかけた。


「はあ……すごかったよレオン! お前、相当腕が立つんだな!」


そう言われたレオンは、木の椀に入った薄いスープを静かにすすりながら、死んだ魚の目で心の中でつぶやいた。


(……いや、すごいの俺じゃなくて、お前たちが弱すぎるんだよ! 止まってる標的を外す弓手、呪文を忘れる魔導士、無傷で自分をヒールする聖女って正気か!? 豪華な装備だけでどうやって今まで死なわずにEランクまで来られたんだ……)


だが、そんな本音を口に出すはずもなく、レオンは椀を置いて淡々と答えた。


「……いや、大したことじゃない」


---


【魔王城:HR魔王とカップ麺の制裁】


――場面転換:魔王城・正午


――ゴ―――――ン……


昼の正午を告げる鐘の音が響き渡る。

豪華な玉座の上で、リンは実家から届いたお母さんの手料理のお弁当を幸福そうに味わっていた。

そのすぐ下では、副官の**ガスカル**が胸を張り堂々と護衛に立っている。


――ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ


静寂を切り裂き、ガスカルの腹の虫が盛大に鳴り響いた。


凛は箸を止め、ジト目で見下ろした。


「……昼休憩ですよガスカル。食事をとってきていいです」


「滅相もございません、魔王様!」ガスカルは胸を叩いた。「我が君のお食事中にお側に控え警護を全うすることこそ、配下の誉れ! 食事など後回しでございます!」


凛は静かにため息をつくと、冷ややかな声で言い放った。


**「昼休憩の取得は労働者の基本権利です。そして休憩の辞退は、組織の福利厚生規定違反に当たります」**


「は、はい……? ま、魔王様……?」


凛は反論を聞く耳を持たず、空間収納ストレージから『カップ麺(とんこつ味)』を取り出し、水を注いで基礎魔法『ウォーター/ヒート』で一瞬でお湯を沸騰させた。


「はい、これ。3分待ってくださいね」


受け取ったガスカルだが、わずか**1分**ほどで香ばしい匂いが漂い始めると、待ちきれずに蓋を開けようとした。


「で、ではさっそく頂戴いたし――」


**「まだです」**


凛の低く冷たい声と、死んだ魚の目がガスカルを射抜く。


ガスカルはビクッと体を跳ね上げ、まるで鬼教官に叱られた新兵のように即座に蓋を押さえた!


**「は、はいっ!」**


……


そして、きっちり**3分**が経過した。


「開けていいですよ」


ガスカルがおそるおそる蓋を開けると――フワァァァッ!

濃厚なスープの旨味とスパイスの香りが爆発的に広がる! フォークで麺をすくい、口へ運ぶと――


――ガーン!


「な、なんという美味……っ! 口の中で濃厚なスープと麺が踊っておる……! これが神々の食卓の料理なのですか、魔王様……っ!」


「ただのカップ麺です。早く食べてください」


凛は素っ気なく答えたが――ガスカルの【魔王様崇拝フィルター】は暴走していた!


(おお……『従業員の権利』を守り、さらにこのような天上の至高の食を授けてくださるとは……! 魔王様はただ強大なだけでなく、配下の労務環境と健康までも管理される、全宇宙一慈愛に満ちた主君だぁぁっ!)


「うぐっ……うあぁぁぁんっ! ありがたき幸せにございます、魔王様ぁぁぁっ!」


男泣きしながらカップ麺を貪り食うガスカル。

凛はそれを見ながら、冷めた視線で心の中で呟くのだった。


(……労働基準法を守って、100円のカップ麺をあげただけなんですけど。なんで泣いてるんですかこの人……気味が悪いですね……)

ご覧いただきありがとうございました!


かつての勇者パーティーの「レオンワンマンキャリー時代」と、現在の魔王城での「HR魔王凛によるホワイト労務管理」のギャップ回でした!

ガスカルの単純さと、凛の淡々とした「労働基準法遵守」の姿勢をお楽しみいただけたでしょうか(笑)


次回・第8話からは、いよいよ【勇者レオンの本格訓練&レベルアップ編】に入ります!

果たしてレオンたちは、魔王(凛)に届くほどの強さを手に入れることができるのか……!?


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