(特別編):ワガママ女神の副業事情と、地獄のキャリー(※本人は激弱)
読者の皆様、こんにちは!
今回の特別編(第50.5話)は、本編の裏側で繰り広げられる「魔王城の日常とゲーム事情」のお話です。
わがまま女神ガシャラが一体どこから大金を手に入れてリンにバイト代を支払っているのか……その意外な秘密と、カオスすぎるMOBAゲームのランクマッチ風景をお楽しみください!
ご存じだろうか……?
あのワガママな女神ガシャラが、一体どこから大金を手に入れてリンにアルバイト代を払い続けているのかを。
事の始まりは、神レベルの暇持て余しからだった。
かつて退屈の極みに達していたガシャラは、一人で時間を潰すためにMOBA系のゲームMODを自作し、ボット相手に無双して遊んでいた。
しかし、ボット相手にもすぐに飽きてしまった彼女は、その自作MODを元の世界のインターネットへ何気なくアップロードしてみたのだ。
すると——まさかの大爆発!
ヒマ潰しで作られたはずのMODは大ヒットを記録し、最終的には大手ゲーム会社が権利を買い取り、世界的な大人気MOBAゲームとして正式リリースされるに至った。
そう、これこそがガシャラが現在も潤沢なライセンス収入を得て、リンに惜しみなくお給料を支払えている資金源の正体なのである。
当然、そのゲームにはガシャラのお気に入りである「キャリー」キャラクターが存在する。MOD時代に彼女自身がデザインしたキャラであり、その姿はリンをモデルに作られていた。(正確に言えば、リンの人間状態の姿をこのキャラに基づいてデザインしたのだが)。
そして見た目だけでなく、そのスキルの元ネタは現実世界におけるガシャラの壊れスキルを弱体化したものだった。
* スキル1 - アブソリュート・ストライク(Absolute Strike): 現実の一撃即死能力から、「攻撃を当ててスタックを溜め、最大になると大爆発ダメージ。スタック完了時に敵のHPが15%未満なら即座に処刑(即死)」へ調整。
* スキル2 - アブソリュート・ディフェンス(Absolute Defense): 全事象を無効化する絶対防御から、「発動時に受けるダメージを50%軽減し、3秒間状態異常を無効化する」へ調整。
* スキル3 - 女神の分身(Goddess Clone):*本体の100%のステータスを持つ分身召喚から、「ステータス50%・被ダメージ200%の分身を1体出し、再発動で本体と位置を入れ替える」へ調整。
* 必殺技(Ultimate) - 女神の領域(Goddess Domain):自動で全敵を引き寄せる領域から、「広範囲の領域を展開し、内部の敵にサイレンス(スキル使用不可)とステータス50%低下を付与。奪ったステータスは5秒間自分のものになる」へ調整。
文字通り、環境を破壊するレベルの超絶ぶっ壊れキャリー性能!
……なのだが、最大の cohort(問題)は、プレイヤーであるガシャラ本人のプレイスキルが絶望的なまでに「ヘタクソ」だということだった。
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魔王城の応接室にて——。
「リンちゃぁぁぁん! 助けてぇぇ! ダイアモンドランクから落ちちゃいそうなのぉぉ!」
ソファーで快適にマンガを読んでいたリンの袖を引っ張り、ガシャラが泣きついている。
ゲームの3人チームマッチングにおいて、ガシャラは毎回真っ先にリンへ泣きついてキャリーを要求するのがお決まりだった。リンに断られると、今度は「リン2(意志を持つ分身)」を呼び出しに行って強引に引っ張り出すのだ。リンもリン2もプレイスキルは最高峰の「グロリアス(Glorious)」ランクだが、あまりにガシャラがしつこくつきまとうため、鬱陶しくなって付き合わされているのが現状だった。
「はぁ……何十回キャリーしてもすぐ元のランクに落ちるのに、よく飽きないわね……」
リンは呆れ果てて溜息をつき、マンガを置いてスマートフォンを手に取った。
今回の3人パーティの編成は以下の通りである。
1. **ガシャラ:** キャリー(Carry)を担当。お気に入りのぶっ壊れキャラを使うが、ファームもできずにデスを重ねる。
2. **シルフィリア(エルフの女王):** ジャングル(Jungle)を担当。「エルフなんだから森にいるべきでしょ!」というガシャラの謎理論で配置されたが、普通に森で迷子になり、ガシャラと同じ勢いで死にまくる。
3. **リン(またはリン2):** サポート(Support)を担当。マッチング速度を最優先するために押し付けられた。
画面上のピック画面を見つめ、リンの目が完全に死んでいく。
(チームの火力と試合を壊す主軸である『キャリー』と『ジャングル』が両方とも激弱……。一番プレイスキルがある私が、一番金欠でキャリーから程遠い『サポート』をやらされるなんて、一体どうやってこの二大巨大お荷物を抱えて勝てばいいのよ……?)
「大丈夫よリンちゃん! シールドを張って私を守ってくれればいいから! 火力は私がドカンと出してあげるわ!」
ガシャラは自信満々に胸を張るが、彼女の画面ではすでに試合開始直後に敵に突っ込んで「First Blood(初キル)」を献上していた。
「も、申し訳ありません魔王様ぁ! ゲーム内の野良クマに殴り倒されてしまいました……!」
隣ではシルフィリアが画面の暗転(リスポーン待ち)を見つめながら青ざめている。
リンはこめかみを強く揉んだ。
(……この貧乏サポートの装備で、敵に育ちすぎたモンスターを抑え込めって言うのね。拷問か何かかしら?)
それでも、グロリアスレベルの圧倒的なゲームセンスと怨念に近い集中力で、リン(そして時にはリン2)は金欠サポートの身でありながら完璧なクラウドコントロールと集団戦の指揮を執り、ガシャラとシルフィリアという二大お荷物を引きずりながら、毎試合泥沼の勝利を捥ぎ取っていくのだった。
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(※なお、後日談として……今後の苦労を察したリンの前に、やがて水のエレメンタルドラゴン「ネレーア」がリン2の専属メイドとして降臨し、ゲームに参入することになる。ネレーアは自身の属性に合わせて『メイジ』を担当することになるが、太古のドラゴンとはいえゲーム初体験のため、シルフィリアに負けず劣らずの激弱っぷりを発揮するのはまた別のお話である。)
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特別編50.5話をお読みいただきありがとうございました!
圧倒的ぶっ壊れ性能のキャラを使いながらデスを積み重ねる女神ガシャラと、エルフだからという理由でジャングルに入らされてクマに殺されるシルフィリア……そしてそれを貧乏サポート枠で必死にキャリーするリンの苦労が伝わりましたでしょうか!
今後、ネレーアがメイドとして加わることで、ついに5人フルパーティが完成します! 今後の魔王城の賑やかな日常もぜひお楽しみに!
作品のキャラクターソングやBGMなどの音楽作品は、YouTube Aii / TikTokの IsekAii チャンネルにて公開中ですので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね!




