↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/61

第49話:イノベーションの開拓と、インスタント麺の秘密取引

いつも『魔王と勇者パーティ』をお読みいただきありがとうございます!

前話ではエルフの食糧問題を解決するため、畜産とトンネル開削計画が持ち上がりました。

今回は、役立たずなAI(?)への説教から、人間界の商人ガーシアとの秘密取引、そして魔王リンによる規格外のトンネル開通までをお届けします!

リンは深々とため息をつき、頭を抱えた。そして隣で優雅にケーキを食べている女神に冷ややかな視線を向けた。


「この世界のデータをアップロードしてAIをアップデートしたって言ってなかった?」


リンの低い声が響く。


「あの時は元の世界のAIよりずっと賢くなったって豪語してたじゃない。なのに何これ……情報がぐちゃぐちゃに混ざってて、全然意味が分からないんだけど」


**ガチャラ**は口いっぱいにチョコレートケーキを頬張っていたが、ビクッと身体を跳ねさせた。ゴクリと無理やり飲み込むと、口角にチョコをつけたまま胸を張って反論した。


「だ、だってこの世界のデータは膨大なんだもの! それにリンちゃんが細かく質問しないのが悪いんじゃない! このような神級のイノベーションを命じる時は、どの世界の情報を求めているのか明確に指定しなきゃダメでしょ! 適当に命令したら、トンネルの掘削技術と民謡の歌唱テクニックが混ざっちゃうのも当然じゃない!」


「それが本当に女神の言い訳……?」


リンはレベル10の呆れ顔を見せ、この世界のサポートシステムに対して完全に絶望したような表情を浮かべた。


「これじゃあエアコンの修理業者を呼んだのに、冷蔵庫のマニュアルを読み出されたようなものじゃない」


「例えが的確すぎて痛い……」


ガチャラは気まずそうに目を逸らし、誤魔化すように新しいケーキを口に運んだ。


二人のコントのようなやり取りを目の当たりにし、上座に座っていた**エルフの女王シルフィリア**はパチパチと目を丸くするばかりだった。


*(エーアイ…… アップロード…… 元の世界…… お二人は神々の古代語でお話しされているのかしら?)*


シルフィリアは心の中で困惑しつつ、気まずさを隠すように苦笑いを浮かべて紅茶を一口すすった。


数時間に及ぶ作戦会議の末、最終的に(通常モードに矯正された)AIが出した結論は「牛、ヤギ、ニワトリなどの家畜を確保し、エルフの食糧問題を解決するための牧場を開設すること」だった。そして、それを最も早く入手できる場所は人間たちの街である。


リンは迷うことなく目を閉じ、魔力を集中させると、遠く離れた大陸にいるお抱え商人**ガーシア**へ【念話】を繋いだ。


◇


人間界の国境の街——

ガーシアが帳簿の確認で背中を丸めていたその時、頭の中に直接魔王の声が響き渡った!


*『魔王ホットラインからガーシア様へ連絡です……種牛、種ヤギ、自由なニワトリを至急手配していただけないでしょうか?』*


「ひっ……!? ま、魔王リン様!?」


ガーシアは驚きのあまり椅子から転げ落ちそうになりながら、自分の胸を撫でおろした。そして悲痛な声を念話で返した。


「お戯れを、リン様! 家畜どころか、今の国境の街には自分たちの食べる食糧すらまともにないのです! イグニアとの戦いが終わったばかりで、王都からは厳しい徴発が……ゴホン! 中央への出荷要請が増加しまして、今や人々は靴の革を煮て食う惨状なんですよ!」


リンは計画通りと言わんばかりに、口元に薄い笑みを浮かべた。


*『ならば……大量の「インスタントラーメン(ママー)」をお送りしたらどうでしょうか? 街での配布や利益獲得に使っていただいて構いません。その代わり、かき集められるだけの種牛や家畜を手配してほしいのです』*


ガーシアの目が輝き、脳内の通貨マークが跳ね上がった!


「ま、神の秘薬と名高いあのママーですか!? 分かりましたリン様! この大陸で最も卵を産むニワトリを探し出してでも、必ずお届けいたします!」


*(私の秘密兵器は裏切らないわね)*


リンは心の中でニンマリと微笑んだ。この大陸のベテラン商人が、元の世界なら1袋数十円のインスタントラーメンに感謝してひれ伏しているのだから。


◇


次元を超えた交渉を終えたリンは、時間を無駄にすることなく、シルフィリア、ガチャラ、そして側近たちを連れて東の山脈へと転移した。そこは南の海へと続く道を阻む巨大な山々が連なる場所だ。


リンは念動力で上空へと浮き上がり、見渡す限り続く雄大な山脈を見下ろした。


「本当に長いわね……」


スマートフォンのカメラで撮影し、AIに最も岩盤が柔らかいポイントを計算させると、リンはしなやかに着地した。そして、山裾の岩肌にそっと素手を当てた。


*——フッ!*


緻密にコントロールされた膨大な魔力が手から解き放たれ、大地が*グラグラッ*と揺れた。しかし、崩落する土砂は一切出ない。


ほんの数秒後……山の中の膨大な岩石が一瞬にして消滅・融解し、**反対側の青い海と澄み切った地平線が見渡せる、巨大で平坦なトンネルが一瞬で完成した!**


「…………」


静寂がその場を包み込んだ。

シルフィリアも部下たちも、口をぐうの音も出ないほど開け、目を丸くして固まっていた。


「ひ、東の山脈を貫くトンネル……私たちが何百年かけても不可能だと思っていた作業を……!?」


シルフィリアは震える声で、開いた穴を指さした。


「魔王様は……一瞬でやり遂げたというのですか!?」


リンは手に付いた埃を払うと、まるで庭掃除でも終えたかのような軽い調子で側近たちに命じた。


「バーニム、ガルガル。作業員を手配して補強工事を進めてちょうだい。ゴブリンたちに壁の補強と道路の舗装をさせて、行き来しやすくするのよ。それと、夜道で迷わないように発光石の明かりを設置しておくことも忘れずにね」


「ハッ! 御意にございます、魔王様!」


二人は力強く返事をしたものの、主人の規格外すぎる地形改変能力に引きつった笑顔を隠せずにいた。


「ねえ……」


シルフィリアは思い出したように、隣でケーキを食べているガチャラに耳打ちした。


「魔王リン様は……山一つを一瞬で消し去るほどの力をお持ちなのに、どうしてAIの不具合ごときで子どもみたいに女神様と喧嘩されていたのですか……? 一体どのようなお方なのでしょう……」


ガチャラはケーキを一口食べると、いたずらっぽく微笑んだ。


「さあね? 謎が多すぎて読めないのが、あの子の魅力なのよ」


そう言って、真剣な目つきでトンネルの距離を測定し始めたリンの背中を、二人は温かい(?)目で見つめるのだった。


---

読者の皆様、第49話をお読みいただきありがとうございます!


今回はAIの迷走(?)から、ガーシアとのママー(カップ麺)取引、そして魔王リンによる圧巻のトンネル開通までお届けしました。次回はエルフたちの牧場運営と、いよいよ南の海への進出です!


※お読みいただき、ありがとうございました!


作品の最新情報やBGM・キャラクターソングは、

yt IsekAii や tt IsekAii にて公開中です。


ぜひ作品と合わせてお楽しみください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。