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第48話:AIの叡智と山脈貫通計画

読者の皆様、こんにちは!


第48話では、エルフ族の深刻な肉不足問題を解決するため、魔王リンがまさかの異世界アイテム「スマートフォン」を起動!

AIによる身も蓋もないファンタジー畜産講座と、魔王城のケーキを貪る駄女神、そして次なる大事業「トンネル開削計画」の予感をお届けします!


どうぞお楽しみください!

エルフ族の肉類不足という切実な悩みを聞き終えたリンは、紅茶を一口啜ってから至極当然といった風に言った。


「肉が足りないのでしたら……家畜を飼育するか、人族と貿易を開けば解決するのでは?」


シルフィリアは小さく息を吐き、苦笑いを浮かべた。


「我がエルフ族は元来、平穏と孤立を好む種族ゆえ、人族との交流は皆無に等しいのです。それに……種族の壁というものもございます。人族側もまた、私たち亜人に対して常に偏見の目を向けておりますから……」


(あー、そういえば……亜人は全員『魔族』と一括りにされて追い出されたんでしたっけ)


リンは心の中で情報を整理する。


「では……畜産業はどうです? 自分たちで動物を育てるのは?」


「それが……私たちには食用として動物を飼育する知識も技術も、一切ございませんの……」


エルフの女王は心苦しそうに顔を曇らせた。


リンはしばし沈黙した後、上着のポケットに手を差し入れ、元の世界から持ち込んだ『スマートフォン』を取り出した。シルフィリアが奇妙な目で見つめる中、リンは画面を操作してAIアプリを立ち上げ、その場で音声入力を行った。魔王の手にある未知の魔道具に、女王は目を丸くして固まっている。


「ファンタジー世界における動物の飼育方法を教えて」


リンがスピーカーをオンにすると、機械的ながら滑らかなAIの音声が大広間に響き渡った。


『AIシステム応答:


1. 危険度と分類:

・一般/温厚な生物(ジャカループ、スライム、ペガサス等):現実世界のペット同様に飼育が容易。適切な餌と環境の提供が中心。

・魔導/知性を持つ生物(グリフォン、フェニックス、ケルベロス等):単なる命令ではなく、精神のソールボンドや相互の敬意が必要。

・災害/天災級生物(古の竜、クラーケン等):飼育ではなく「管理」および「交渉」の対象。

2. 重要な管理要因:

・特殊な食性:魔力、宝石、月光、あるいは人間の恐怖心を糧とする種も存在。

・適切な環境:サラマンダーには溶岩石のケージ、花精霊には純粋な魔力霧が必要。

・魔力制御:睡眠時やパニック時の魔力暴走を防ぐため、術式首輪などの対策が必須。

3. 訓練と契約:

・契約術式:血液や魔導ルーンを用いた精神接続。

・実力の証明:グリフォン等は己より強い主人しか認めない』


淡々と語るAIの説明を途中で遮るように、リンは眉をひそめて追記した。


「食べられるやつにして」


一瞬の静寂の後、AIは即座に音声を切り替えた。


『追加データ応答:


1. 肉質グレードと食材分類:

・一般魔導家畜(アイアンハイドボア、三本足の若鶏等):成長が早く肉量も豊富。一般的な食用。

・希少食材(黄金牛、天界コイ等):発光草を食す黄金牛は極上の霜降り肉となり、天界コイは延命効果を持つ。

・極上危険生物(ドラゴンテール、ダンジョンジャイアントスパイダー等):討伐・飼育ともに危険を伴うが、膨大な魔力を得られる。

2. 味を極める飼育技術:

・餌による風味付け:魔導ベリーを与えた豚は芳醇な花の香りの肉質となり、特定の鉱物を食した牛は美しい脂身を形成する。

・マナの安定化:ストレスを感じた状態で屠殺すると魔力が変質し、肉が硬化・毒化する。エルフの音楽を聞かせる等、精神的安定が必須。

3. 黄金律(絶対禁忌):

・知性生物の食用利用の禁止:人言語を話す生物(センタウロス、ユニコーン、九尾の狐等)の食用は倫理的欠如に加え、強力な呪いをもたらす。

・属性反動への警戒:強力な属性肉(フェニックスやアイスウルフ等)は、食べる者に十分な魔力がない場合、魔力酔いを引き起こす』


AIが至極大真面目にファンタジー肉の調理・飼育法を解説している間、リンはチラリと横に視線を向けた。先刻から一言もしゃべらない駄女神ガチャラが、無言のまま次のケーキを口へ放り込み、また丸々一個平らげたところだった。リンは心底呆れたように溜息をつく。


スマホの画面を閉じ、リンは再びシルフィリアに向き直った。


「……そういえば、魚を捕ることはできないのですか?」


「迷いの森には自然の水源が滝一つしかございませんの。森の近くにある水源といえば、魔王様が開削された用水路くらいでして……どちらも魚はほとんど生息しておりません」


「なるほど……ならば魚の稚魚を放流して養殖すれば……」


リンは言葉を切り、ふと世界の地理形状について尋ねた。


「海へ抜けるルートはないのですか?」


「ございませんわ」シルフィリアは首を振る。「東側には険しい山脈が聳え立ち、そのまま南へと長く伸びております。私たちは完全に沿岸部から遮断されているのです」


カチャリ……と、隣からフォークが皿に当たる軽い音が響いた。ガチャラが何食わぬ顔で次のケーキに手を伸ばしている。その底なしの強欲さに、リンは本日何度目かわからない深いため息をついた。


しかし次の瞬間、リンの瞳に計算高い理知の光が宿る。脳内で一つの仮説が組み上がっていた。


(連なる巨大山脈、ですか……。もし、山を打ち抜いてトンネルを作るとしたら、実現可能なのですかね……?)


---

最後までお読みいただきありがとうございました!


第48話では、スマホのAIを駆使した魔王リンの異色すぎる畜産講座と、エルフ族を阻む地理的障壁、そして静かにケーキを消費し続ける駄女神の姿をお届けしました!


山脈を穿ち、海を目指すという魔王の突拍子もない構想は実現するのか!?


ぜひ次回もお楽しみにお待ちください!


少しでも面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ぜひ作品ページ下の★評価、ブックマーク登録、いいね、フォローで応援していただけますと大変励みになります!


それでは、次回の更新もお楽しみに!

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